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風邪をひくみんなへ

私の理想の子供たちは、頑丈で病気をしない。
すなわち皆勤賞がもらえるタイプだ。

宮沢賢治の、かの有名な詩。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ

この詩が、又はこの詩に込められている人間の理想像が、
自分が自覚していたよりも根強く深く、こうあるべき姿として自分の頭の中に焼き付けられていたことを発見する。

自分の子供たちが風邪をひいたり具合が悪かったりすると、心の隅っこで小さく落胆している自分がいる。
ああ、頑丈で強くあるべきなのに。
風邪なんてひいたら負けたのと同じだ。
私の管理不足か。子供がひ弱なのか。

そんな思いが脳裏を通り過ぎていく。
意識的にはちゃんとわかっている。
風邪をひくかひかないか、または体が強いか弱いかなどの要素には、自分がコントロールできる限界がある。遺伝、環境、性格。
遺伝の要素が一番大きいだろう。
そして遺伝されるものは、自分がどうこうできる代物ではない。

それでも自分のマインドは、世間のこうあるべきに、洗脳されている。
大人が病気して、ちゃんと健康管理してないから、と言われるのと同じことだ。
私はもちろん自分が風邪をひいた時も、落胆している。
体弱いな、ひ弱だな、健康管理が不十分だから、つまり自分のせいで病気するんだ。こんなふうに考えて、調子の悪さで既にやられているメンタルにさらに拍車をかけるのが癖である。

ひどい母親だな、と言われても無理ないが、そんな感情を私は自分の子供たちにも持ってしまう。
そして毎回その感情に抗っている。
だって私自身が知っている。
病気するときはするんだよ。
どんなに気を付けてても風邪はひくんだよ。
ひきたくて風邪ひく人なんていないんだよ。

ちなみにうちには、
雨にも風にも雪にも夏の暑さにも負けない人間は住んでおりません。
私も夫も息子たちも、風邪はひくし頭痛はする。
足が痛かったり、皮膚が痒かったり、寝違えて首が回らなくなったりする。
ただの生身の人間だ。

風邪をひかない人たちは羨ましいが、その人たちは遺伝子が良かったんだ、ラッキーだったんだと考えるようにしている。
健康管理なんてやってても、うつる時はうつる。
世界は不公平。
それでいいんだ。

それでも生きていきましょう。

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