見出し画像

男性性被害者

性被害者。その言葉は、数年前まで、女性の専売特許であった。性被害に遭うのは女性。男が性被害に遭うということはそれまでにあったけれども、裁判になることもないし、公に出てくることもない。出てきていたら、もっと自分の人生は変わっていたのかもしれないと思う。

1990年代前半の東京。当時中学生であった自分が男性性被害に遭うとは。

今と違って、LGBTの人たちがテレビに出る時代ではなかった。と言っても全然出ていないわけではなく、所謂おかま、としてごく一部のタレントさんが出ていたくらい。インターネットもまだない。ポケベルですらあったのかどうかそんな時代。

小学校6年間同じクラスで、中学に入ってもまだ好きだった幼馴染のような女の子がいた。普通の男子学生。知識としては、男が好きな男がいるというのは知っていた。だけれどもそのくらい。中学生になって、同性が気になる年頃。ほのかなプラトニックな思いがなかったとは言わない。だけれどもその程度。好きな女の子はいたし、結婚したいって思ってた。

もう一度言うけれども、時代は1990年代前半。世界一安全な都市と言われていた東京での出来事。

夜、コンビニまで買い物に出かけた夏の日。中東アジアの外国人に車から声をかけられ道を尋ねられる。それに丁寧に答えてしまったのが運の尽き。バンに引き摺り込まれ何が何だかわからないうちにキスをされレイプされた。今でも当時の記憶はない。思い出せない。ただ、終わり際に訴えられないようにするためなのか、お札を手に握らせてきたのは覚えている。そして、そのままもっとお金あげるから部屋に来ないかと言われて、まだ中学生の身。親に出かけてくると言いにいってくるからここで待っていてくれと伝えて、逃げ帰った。帰宅してトイレでトイレットペーパーをひたすら使って泣いた。シャワーを浴びて何度きれいにしてもきれいになっていない気がして泣いた。

それが中学生の頃の話。誰にも言えず。中学高校とずっと悩みに悩んで、精神科医にかかって、自分を見失っていた頃のきっかけの話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?