「リアルですね」
最近、Iターンした女子として、電話取材を受けた。
自分の出身地やIターンに至った経緯をぽろぽろとお話した。
そのあといくつか質問を受けた。
「困ったことはないですか?例えば虫が出るとか、スーパーまで車で30分とか。」
「休みの日は何してますか?例えば川へ行ったりとか?」
「生活費とかどうですか?イメージは食費が浮くとかなんですけど」
おぉおぉおぉ、すごいイメージ持ってる!
自分自身が住むまで、さらに住んでからもそうだったが、
「田舎暮らし」のイメージ・固定概念は強い。
「ああ、虫はもう毎日出ますよ、共存です!
怖いとか言ってる場合じゃありません。たくましくなりますよ!」
「車で20分くらい行かないと、スーパーも飲み屋もカラオケもないです!」
「普段は山にこもっている分、休日は逆に水戸とかつくばへ出かけますね。
買い物とか人に会いに行くとか。車で30分や1時間で行けちゃうので。丁度いいんです。」
「物価は基本的に安いですよね~。
私は会社勤めで地域の人との関係性づくりが薄いですけど、それでも、お野菜や果物をいただけたりもします。」
**ちょっと困った、不便な暮らしだからこそ、ネタにして笑いとばす。
そうすると、自分が楽しく暮らせるのだ。 **
「恋愛とかどうなんですか、出会いって少なそうなんですけど」
「そもそも若者の人口が少ないですからね。他の場所がどうかは分かりませんが。
ただ結構面白い人多いですし、そんな人たちが集まる場には積極的に出るので、出会いは多い方ですよ。」
「ずっとここにいるつもりですか?」
「いやー、全然ないですね。ここにこだわる理由はないので。」
「藤岡さんは何を目指してるんですか、夢とか」
「んーーー、そうですね。こうなりたいって具体的なものはないですけど、
今のお仕事や自然や周りにいる人が好きなので、ここにいます。
ただこれから自分のやりたいこととか、行きたいところ、一緒にいたい人ができたら、また移ると思います。」
「あー、なんかすごくリアルですね。」
20分電話口話して、やっと腑に落ちた声と口調になって言った。
電話を切った後、
「そりゃあリアルだよ!ここで実際に生きてんだから!」
と笑って先輩と話していたが、
この感覚は、実際に田舎へ住んでみたからわかることだし、
Iターンならではの感覚もあるのかもしれないと思った。
Uターンであれば、家族がいる、土地がある、家がある、地域が好き。
そんな理由があって、帰ってくることもあるだろう。
Iターンであれば、その地にとどまり、こだわり続ける理由は、薄いと思う。
極端な話、どこでもよいのだ。
とっかかりは人それぞれで、私の場合は、「人」なのだ。
一緒に歩きたい人がいるか、渦に巻き込まれたい人がいるか、居心地のいい人がいるか。
自分の飛び込みたい理由を見つけたり、
新たな一歩を踏み出したいと決意を固めたとき、
ふわりと移れる、しなやかさを持っていたい。
縁とタイミングを大事にして、運を引き寄せる。生きたい道を歩く。
私と同い年らしい取材担当者の方に、
田舎暮らしのイメージとはまた違う、
リアルをお伝えできただろうか。
無理のない、若者らしい、等身大のIターン生活があることが伝わっただろうか。
いろんな人に「こんな生き方もあるよ」と伝えていけたら幸せだなあと思う。
(※表紙カバー:田舎で必需品の車。買い物や仕事で街へ行くだけでなく、休日遊びに走り回るのでなおさらすぐ距離数を稼いでしまう。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?