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読書の本質について【第1回読書会レポート】

はじめに

2022年8月28日(日) 19:00、第1回『読者による文学賞』による読書会と銘打って、オンラインで読書会を開催した。
司会進行はぼく、みのくまが務めさせていただいた。

準備期間は約1ヶ月半。スライドやポスター画像を作り、Twitterで宣伝を行なってきた。
いままで読書会に参加したことがなかったので、当日までに3つの読書会に参加して、読書会運営のヒントを探した。

ほかにも参加募集の方法やトラブルへのリスクヘッジ、オンラインでの不具合回避などを入念にチェックした。
読書会運営を手伝ってくださる方にお願いして、リハーサルまで実施した。

そもそもぼくは人前で話すのが苦手なため、なんども読書会進行のロールプレイングを繰り返した。
特に発表者への質問については何度も推敲を繰り返し、少しでも参加者に有意義だと思っていただけるものに練上げる努力をした。

本記事は、記念すべき第1回読書会のレポートを記そうと思う。
なぜ、いきなり冒頭に自分の努力をひけらかしたかというと、少しでもぼくの「本気」を分かっていただきたかったからだ。
ぼくは「本気」で読書会を運営しようと思ったし、その「締めくくり」である本記事も、「本気」で書こうとしている。

ただ、どのような読書会であったかを、ここに記すことはしない。
先ほどレポートを書くと記したが、それは正確ではなかった。(タイトルにまで入れてしまった。)
読書会の内容に興味がある方は、ぜひ参加を検討してほしい。
どんな会話が繰り広げられたかは、参加者のみが知る楽しい思い出なのだ。

では、本記事では読書会について何を書くというのか。
それはこの読書会を開催したことで得られた一つの知見についてだ。
そしてそれは、読書の本質と深く関わっている。

読書感想の相違の原因

第1回読書会でぼくが設定したテーマは「わたしがえらぶ第1回〜3回『読者による文学賞』最終選考作品」というものだ。
煩雑になるので『読者による文学賞』についての説明は省くが、興味のある方はTwitterなどで検索してほしい。
ここでは対象になった作品群のみ下記のスライドに示すこととする。

今回の読書会では、参加者間で選書が重なることはなかったが、ぼく自身ここに示した全29作品を読んでいたため、どんな感想が語られてもリアクションできる用意があった。

実際、一人一人感想を語り合う時間になると、その多様な感想に驚くことになる。
まず、同じ小説を読んでも印象に残った場面がまったく異なるということだ。

例えば、ある小説で少々陳腐な演出が挿入されていたとする。
その箇所によって、作品全体が陳腐に感じてしまう人と、確かにその箇所は陳腐だが、作品全体としては楽しめた人がいる。

同じ小説を読んでいるにも関わらず、この感想の相違はなぜ生まれるのだろうか。
もちろん、人それぞれ引っかかる部分、印象に残る部分が異なるからである。
では、それはなぜ異なるのか。

もちろん、多くの要因が複雑に絡んでいると思われるので、一概に原因を特定することはできないのかもしれない。
だが、この読書会を通して、僕はある仮説を立てた。

この違いは、おそらく読者の「人生」が投影されているからなのだ。
そして、それこそが「本を読む」ということに他ならない。

「本を読む」という行為

ぼくたちは本をどう読んでいるのだろうか。
もちろん、文字列を追って情報を脳内で組み立てている。
だが、どの部分で敏感に反応するか、どの登場人物に感情移入するかなど、読者に委ねられている「情報の空白」が存在する。

この「情報の空白」によって、ぼくたちの読書感想は多様化しているのだろう。
では、「情報の空白」の埋め方が人それぞれ異なるのはなぜか。

いや、問いを変えよう。
「情報の空白」の埋め方が異なるとは、つまりそこにこそ個人の「固有性」が存在しているのではないか。
ひとそれぞれの「固有性」とは、もっと具体的に言えば「人生」そのものなのではないか。

つまり、ぼくたちは、本を自分の人生で補完して読んでいる。
だからこそ、読書感想に相違が生じる。
そしてもっと重要なことは、それを自分自身では自覚できないということだ。
だからこそ読書会を経ることで、他人と読書感想を語り合うことで、この命題が露呈したのだ。

おわりに

言わずもがな、本を書いている著者はクリエイターである。
だが、その本を読者は、自分だけの「固有性」である人生を使って読んでいるのだから、そこには限りなくクリエイションに近い運動が起きているのではないか。

読書会は、自らのクリエイションを自覚できる最適な場なのだ。
そしてまた、他人のクリエイションを知覚できる最適な場でもある。

ぜひ今後は実作者や、作家希望の方もご参加いただけて、何か持ち帰って頂けるような読書会を運営したいと考えている。


以上で、第1回『読者による文学賞』による読書会の開催報告としたい。
本当はもっともっと読書会で得られた知見は多いのだが、まだぼく自身まとめられておらず、なかでも一番印象に残ったことを今回記事に記した形になった。
いつか、ちゃんとクリアに書きたいと思う。

今後、この読書会は毎月開催する予定である。
第1回よりも第2回、第2回よりも第3回と、順次パワーアップしていくつもりだ。
ぜひ、今後の行く末を見守ってほしい。
そして、都合が合えばご参加いただきたい。

絶対に後悔させない、一味違う読書会を提供することをお約束する。

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