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お一人様

こんばんは。

水曜日はサービスデーなので木曜日終演の映画を駆け込みで観にいくという予定を立て当日朝8時には起きたものの、カーテンと窓を開けて肌寒くて布団に逆戻り、心地良くてつい二度寝してしまった。

起きてから昨日晩ご飯に作った鮭としめじの炊き込みご飯にお湯をかけて湯漬けにして食べた。これがとても美味しい。コーヒーより冷たい水よりあったかい白湯が合う。

映画が夕方の回しかなかったので、時間に余裕はある。だけどせっかく梅田まで足を伸ばすからそろそろ家を出ようと思っていたら、父が珍しく半休をとって帰ってきたので最寄り駅まで送迎してもらった。

「今から映画観に行くよ」「こないだ一緒に観に行った映画もっかい観にいきたいねんな」「録画したあれ消しちゃったかも、観る?」「晩ご飯は先に食べておいてね」と何となく喋る。父とはたまにレイトショーを観に行く。いつもご飯とセットなのでちょっとしたデートをする。社会人になって奢られるのが当たり前じゃないことだと気づいてから財布を持つようになったけど「お前より稼いでるから」と黙って奢ってくれるところね。二度寝して良かったー。

電車の中でハンバートハンバートの〈愛のひみつ〉を聴きながら、外をぼーっと眺めた。歌詞のある音楽を聴くときは本が読めない気がして読まないし、でも携帯を見つめて俯いているのももったいない気がするから意識してぼーっとするようにしている。朝日新聞デジタルで二人のアルバム制作時のインタビュー記事を読んだ。とても良かったのでまた別で書きます。

梅田に行くといくつかお気に入りのカフェや喫茶店があるけど、気分的にチーズケーキが食べたくて、焼き菓子を出してくれる無愛想なおじさんがやってるカフェに行こうと決めて駅の出口を降り寄り道せずにまっすぐ歩いた。店内は3席(3つテーブルがあるだけ、2脚ずつ椅子がある)のこじんまりしたカフェで、ついた時は私一人だった。何度か利用しているけど認識してくれているのかも謎、ただ本読んでコーヒー飲んでてもそのおじさんがいい感じに気配を消してくれる、たまにどっか行く(タバコ?トイレ?)からなんか落ち着くのよね。無愛想だけどお会計の時はちゃんと目を見て挨拶してくれるし、二人でお茶するときには言わなくてもフォーク2つ付けてくれるし、焼き菓子も珈琲も全部美味しいから私の中ではちゃんと好きな人認定されている。

山崎ナオコーラの〈かわいい夫〉を読んでいた。表紙がかわいい夫婦のイラストなんだけど、読み進めるとタイトルから想像する旦那さんへスポットを当てたものというより著者自身の生活を軸にしたエッセイで今の自分が共感できる人柄だと感じられた。吉本ばななが大好きでこの間エッセイ本を買ったけどいまいちハマらず、物語は好きでも本人と気が合うかは別だなと思ったところだったから尚更嬉しく思ってしまった。一昨日友人の家に泊まった際に薦められ〈人のセックスを笑うな〉を観たところでもあった。いい巡り合わせだ。

映画が始まる前に本屋に寄った。前から欲しかった雑誌と、山崎ナオコーラの影響で詩集を買った。好きな人がいいと言っているものはすぐ試す質だ。

映画館までの道が梅田を歩く中でも一番好きかもしれない。賑う梅田の中心から別世界へ行くような感覚で地下のトンネルを抜けていく。静かだけど自分の足音が聞こえないくらいサラリーマンやOLさんがコツコツ音を立てながら歩いていてその中を避けるように目立たないように歩き続けると喧騒からは離れた外へ出る。例えを考えてみたら、千と千尋の神隠しの冒頭で千尋たちがハクたちの世界へ繋がる山奥のトンネルを抜けていく感じに似ているなと。ちょっと駅からも遠いし、カフェからも距離があるのが面倒ではあるけどそれも見込んで本屋に行き、歩き出して、ぴったりの時間に劇場へ着いた。ここの映画館はお一人様が多いのですれ違う人に何となく親近感を抱きつつ、ドリンクを買って真ん中の席に着く。いつもは最後列の端っこを取るが、ここでは縦も真ん中より前、横も端より中央が観やすい。

良い映画と好きな映画は違うなと最近気づいたんだけど、今日の映画は好きな映画だったのでまたまた嬉しくなった。映画館を出てビルの上空を下から眺める瞬間が昔から大好きだ。

帰りにまたハンバートのアルバムを聴く。おじさんのカフェに行って、おじさんの映画を観て、帰りの電車で相席なのもおじさんだったのでなんか落ち着くなおじさんとか思ってた。

一人でこうやって過ごすのも大好きだなと思い出すような一日で、そんな日の方が好きなものに出会える(気付けるとも言えるかも)気がして幸せでした。あと自分の中で好きなものに対して素直になってきてる。嬉しい。それについてもまた書きたいなー。

おやすみなさい。


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