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デザインにできること

将来はデザイナーになりたい。そう思ったのは19歳、デザイン学校に通っていた時でした。子供の頃から絵を描くことが大好きで、小学校の美術で先生に褒められ、賞をもらうことが嬉しく、それがきっかけで、運よくデザイン事務所にも就職することができました。

そこから約35年間、デザイナーとして働き、生涯の仕事とするためにデザイン事務所を設立しました。

個人的な思いですが、この35年間変わらないことは、デザインの仕事が大好きだということ。世の中にさまざまな仕事がある中、心から好きだと思え、一生の仕事に出会えたことは、幸せなことだと感じています。私自身には特別な才能はありません。

ただ、私に才能があるとすれば、この好きなことをやり続けられることと思うようにもなりました。


変わらないことがもう一つ。「デザインにできること」、正しく言うと「デザインの力でできるかもしれないと思うこと」が、自分自身と会社の成長、そして人との出会いによって増え続ける。

だからプロジェクトレベルの達成感はあったとしても、基本的には満足することがなく、次のステージへ向かって進み続ける。これから先もこの二つは変わらないのではないかと思います。

35年間で変わったことは、数えきれません。技術面では、カッターナイフや定規、ロットリング(製図用のペン)を使ってデザインを仕上げていたアナログの時代から、Macの登場により、デザイン制作がほぼパソコン上で完結できるデジタルの時代になりました。

優れたソフトやフォント・素材集の誕生でスピードも各段にあがり、デザイン表現も多彩で豊かになった反面、デザイナーの負担する作業は多くなり、それがプロのデザイナーの仕事として当たり前となりました。

それと同時に、パソコンの機能がさらに進化することで、ある程度の知識があれば、プロのデザイナーでなくても簡単なデザインならできるようにもなりました。
さらに現在進行形で、AIによる画像生成や文章の作成など、技術面での進化のスピードは今後も加速していくでしょう。

しかし、先行きが不透明で将来の予測が困難と言われる時代、技術面の進化に対応するだけでは、プロのデザイナーとしては生き残れません。

私たちは表面的なデザインだけでなく、人・組織が社会・未来に向けて伝えたいことの本質を見つけ出し、カタチにしていく力、相手の思いや時代の流れから、今はまだ見えないものを感じ取り、想像力を総動員して見える化する力が求められていると感じています。

これは今の時代に限らず、そもそもデザイナーとして身につけていかなければならない力だと思います。そしてこれからも、デザイナーにできることは大きく変化していきますが、求められることが増えて可能性が広がると感じるか、AIの進化で仕事がなくなってしまうと感じるかは、デザイナー次第。

だから、デザイナー自身の可能性を広げるためにも、広い視野と高い視座で、もっと行動し、経験し、考えて、進化していく必要があると感じています。キャリアのあるデザイナーはこれまでの知見・体験をアップデートして、その人にしかできないことにチャレンジすることで新たな価値が生まれます。

例えば、デザイナーを育成するための教育や仕組みづくり。また、若いデザイナーは常識・固定概念に縛られない自由な発想と技術で古い壁を乗り越えることも可能です。例えば、新たな発想、新たな組み合わせによるビジネスの立案。

経験や立場に関係なく、一つでも多くの「デザインにできること」、「デザインの力でできるかもしれないと思うこと」を探索し、行動していくことが、私たちデザイナーが進化するために大切なことだと思います。

そのために、デザインの力と可能性を信じて、まずはデザイナーが学び、行動すること。

私自身もこれを実践しながら、デザインにできることを広げていきます。


⚫︎この記事を書いた人
清水 啓介(しみず けいすけ)/  L4D / 代表取締役
1967年生まれ、山口県出身。高津川リバービア取締役。映画(マーベル)と読書(ビジネス書)とポールスミスが大好き。好奇心旺盛でリスク耐性が強い。稲盛和夫氏より経営を学ぶ。
Facebook:https://www.facebook.com/keisuke432/


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