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おっさんずラブリターンズ#8 誰かの中にいる誰かごと愛せるか

8話は黒澤武蔵への感謝回と受け取りました。ズコーーッ案件だとは思っていたけれど、ホームパーティに集まったメンバー同様心配していたので、青汁の力で蘇ってくれるならそれでよし。
春田との思い出の地、大場海浜公園でのふたりのシーンは、おっさんずラブの真骨頂。他のドラマでは絶対見られないものを、見せていただきました。
(私は、真夏の炎天下の聖地巡りで、かの地になかなか辿り着けず、死を覚悟したことがフラッシュバックしました笑)

それにしても、リターンズは夕景のシーンがとても美しいですね。

ふたりだけの価値観

私が、印象に残ったのは、牧と春田が家政夫サービスをやめる話をしているところです。

春田が家事をやってくれるようになったし、将来のために貯金もしたい。だからサービスを辞めたいと提案する牧。ここポイントで、別に春田の家事力が向上したからサービスをやめるんじゃなくて、”家事を自分の仕事だと思ってくれるようになったから”ふたりでやっていけるって思ったのかな、と。

春田の家事、唐揚げが多少上手になったとはいえ、まだ、牧にとってはイライラするレベルの未熟さだと思うんですよ。でも、自分が期待する水準じゃなくてもよしとする。そして、未熟ながらも、やってくれたことに感謝する。1話で掃除機ぶん投げて、褒めることなんて一つもねえ!って言ってた牧とは、変わってきていることを感じます。

春田も、”やらされている感”じゃなくて、結構楽しんでやっている様子。些細なことで牧が褒めてくれるようになり、心の底から嬉しそう。(そう、牧君。やってもらった時は、内容がアレでもダメ出ししないで、とりあえず褒めとくの大事なんよ!)

牧は、武蔵に会えない寂しさを口にする春田に、”ホームパーティをやって、部長に遊びに来てもらうこと”を提案。この提案、瞬時に出てくるってことは、春田がそう言うことを見越して、あらかじめ考えてたと思うんです。表情もね、”そう言うと思ってました”って顔してる。

嫌いなホームパーティも「仕方ないです。貯金のため」って言うけれど、そこは「春田さんのため」なのだろう。それは、春田のためにガマンする、自分を犠牲にするって事とはちょっと違う。大切な人の喜ぶ顔が見たい、相手の嬉しいを共有したい。長く一緒にいると、そんな気持ちになる瞬間がある。そして、やってみたら案外自分も楽しくて、ホームパーティーも悪くない…なんてなるかも。

これがね、鉄平兄が言った”喧嘩したり歩み寄ったりしてるうちに、自然と二人だけの価値観が生まれてくるんだよ”なんじゃないかな。

恋愛中は、自分の価値観に相手を寄せること、逆に相手の価値観に寄せていくことでうまくいっているかもしれない。でも、結婚ってこれまで過ごしてきた時間の何倍も長い時間を過ごすから、それをやっていたら自分を大事にされてない気がして、お互い疲れちゃうんじゃないかな。
それでね、ぶつかったり譲ったりしているうちに、意識しなくてもふたりともが楽な立ち位置って勝手に見つかると思うんです。まあ、お互いにムダに疲れたくないしね笑

まだ、一緒に暮らして2ヶ月の春田と牧だけれど、この短いシーンで私はしみじみ彼らがふうふになったんだなあって感じました。この境地に至るまで、2年くらいかかってもおかしくないのに、本当に春田は優しいダンナだなって思うし、牧君も心の広い賢いダンナだなって思います笑

やばい。書きたいことがたくさんあったのに、数分のシーンで長文になっちまったぞ…。

誰かの中にいる誰かごと愛する

結構大きなテーマだと思うのだけれど、リターンズを見ていると何度もそれがよぎります。

菊様が象徴的で、彼は和泉の中にいる秋斗ごと、和泉を愛しているんだろうと感じます。もし、この先、菊様が和泉とうまくいったとして、決して和泉の中の秋斗を消そうなんて彼は考えないだろうと。そういう人が寄り添ってくれることで、欠けてしまった何かが埋められていくこともあるのではないか。そう考えると、和泉さんのお相手は、秋斗ごと愛してくれる菊様しかいないんじゃないかと私は思います。

武蔵は、もう春田の中にいる牧ごと愛しているとしか思えない。牧が欠けたら春田じゃないし、牧を全力で愛している春田ごと愛おしくてしょうがないのだろうな、と。
その愛は、恋ではないし、姑でもないし、上司でもないし、父でもないかもしれないし、人類愛なんて大袈裟なものはなおさら違う。でも、そういう名前がつかない愛があってもいいんじゃないかな。

おっさんずラブって、そもそもそういう物語なのだと私は思っている。

既存の型に嵌め込んだほうが理解しやすいから、人はその感情や行動に何らかの名前をつけて安心しようとする。けれど、名前のない説明のつかない感情(愛情)って、みんな普通に持っていると思うのです。それが、相手を大切にする気持ちにもとづくものだったとしたら、良い×悪い、普通×普通じゃないとか決めないで、ゆるやかに受け入れあえたらいいんじゃないかなって。

牧も武蔵を慕う春田ごと、春田という存在を認め、愛するところに今立ったのではないかと8話を見て思いました。

武川さんは、春田を愛する牧ごと愛する方法がないものかと、四苦八苦して迷走中笑

みんな、いびつさも含め人間臭くて、私は愛おしい。

それにしても、人間愛の春田創一。引くほどの人間愛ゆえに罪つくりなまさに罪人だよ、君はw
長くなってしまったので、それは別記事で書くことにします。

* * *

8話の感想の最後に伝えたいことは、部長、ふたりのそばにいてくれてありがとう
”牧、はるたんのいいところ10個言えるか…”で、家族の手前泣かずにガマンしていたのが、もう辛抱たまらんくなって崩れ落ちてしまった。鋼太郎さんのアドリブと聞いて、吉田鋼太郎にもひれ伏してます。

それにしても、最終話。
なんか、ザワザワするのもおっさんずラブ笑
ご飯が食べられなくなるほどのストレスはない。5歳年をくったS1ファンの心身への配慮多謝。しかし、なっんかザワザワするぅ〜。

追記:TV LIFEの圭さんと徳尾さんの対談を読んで、そんなにザワつくことないと思った次第。座長ありがとうの、優しい回になるといいな。

ロスはすでに始まっているのですが、とにもかくにも最終話。今だけでいいから、ふたりが同じ場所で手を取り合い歩み出すラストを描いて欲しい…というのが、私の最後のわがままではありますが…。公式がどんな答えを出してくれるのか、覚悟を決めて見守りたいと思います。

あ、お家を売っちゃった武蔵が、公安ずの後に引っ越してくる…って言う線は引き続き推してみよう。(春牧このまま同居エンドよ)


おっさんずラブリターンズ感想まとめはこちら

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