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あらゆる幸福はこれから訪れる

大人になるにつれて、
学生時代の友人とのつながりが少しずつ薄れていく。

それを何だか寂しいと思ってしまう。
もう、あの頃のような濃密で束の間の、幸福な時間は訪れることはないのだろうか。
独り寂しい部屋の中で、そんなことが頭をよぎる時がある。

それぞれの進むべき道があって、その人たちの歩みを邪魔してはいけない。

人生という線がいつも互いに重なり合っていることはなくて、
それぞれに大事なことや大切な人ができて、
それらを守るために私たちはこれからも進んでいく。

そして、それはとても素敵なことなのだと思う。

***

職場の人たちの飲み会に参加した。
異動してしまったメンターの先輩や、いつか話してみたいと思っていた綺麗な先輩もいて、本当に楽しい一瞬ひとときだった。

今までは係の会や男性職員だけの会に参加してきたけど、
この前のはお母さん職員の人から誘われて行ってきた。
いつもとは全然違うメンツで、比較的若い20代の人たちが多かった。
その中でも、自分がいちばん歳が若いのだけれど…

いつもは比較的年齢層が上の方が多かったので、何を話せばいいのかわからず、仕事の愚痴ばかり話すわけにはいかないし、かといって趣味の話ができるわけでもなくて、なんだか気まずいな~だなんて思っていた。

だけど、今回参加した会は今までかかわりのなかった係の人たちもいて、
それでいて年齢も2~3歳上くらいで楽しくお話しできたと思う。
それに美人さんばかりだった。

日本酒の角打ちができるお店に行って、
普段飲めないようないろんなお酒を楽しむことができた。
今まで自分がいた世界にはなかった体験がたくさんあって、自分の世界がまた一つ広がったように思う。

***

今までの友人とのつながりは、
住んでいる場所が近いから、当然のように会えると思ってしまうけれど、
地方から働きに来ている人たちもたくさんいて、そういう人たちは帰省したタイミングでしか会うことができない。

そう思うと、会えないことは別に何もおかしなことではない。
何か一つの関係に固執するのではなく、これからもいろんな人に出会っていくことが大事なのだと思った。
その中にはいい人もいれば嫌だなと思う人も当然にいる。

きっと、それをずっと繰り返していく。

過ぎし日の水をもう一度味わおうと望んではならぬ。
未来のうちに過去を再現しようと努めてはならぬ。各瞬間ごとに類なき新しさを摑み給え。そして君の喜びをあらかじめ準備してはならない。それともその準備した場所に着くと、また別個な喜びが突然君の前に現れるものだということを知り給え。

ジッド『地の糧』

あらゆる幸福はこれから訪れるのであって、もうすでに過去にはないのかもしれない。
もっとも美しい思い出も、幸福の残骸にしか過ぎないのだから。
人は未来に向かって今を生きている。
常に新しい幸福を掴めるように歩みを進めていきたいものだ。

それに今生の別れになるかなんてわからないし、
縁があればまたいつか会える。

だから、たとえ今は会うことができなくても、
また会える日を楽しみに生きていけたらいいのだと思う。

そんなことを思った。




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