見出し画像

挑戦し続ける三日坊主は強い

 三日坊主。誰もが一度は(あるいは何度も)体験したことがあるのではないだろうか。ちなみに私は、高校生になったとき「毎日お弁当を自分で作る」と得意顔で家族に宣言したものの、1日で力尽きた。一日坊主どころか、丸坊主にして反省すべきである。
 「三日坊主」という言葉には、ネガティブな印象があるが、この言葉を「七転び八起き」と掛け合わせると、実は三日坊主というのはなかなかにポジティブなのかもしれないのであることに気が付いた。とりあえず、聞いてほしい。


報われないかもしれぬところで、どう戦うか

 最後の三者面談が終わり、自分が選ぶ道と向き合う中で、気が引き締まった人も多いと思います。緩まず、たゆまず、今できることを一つひとつこなすことで、自分を信じる心を育てていきましょう。
 「努力は人を裏切らない」という言葉がありますが、それは「努力すれば必ず良い結果につながる」ということではなく、「努力したことそのものは、いつか必ずあなたを支える力になる」という意味なのだと、私は思っています。
 あなたが今重ねている努力、それは人生100年時代と言われる、これから続く人生の中で、あなたを支えてくれる力そのものです。

画像1

 さて、みなさんは「羽生善治」という名前を聞いたことがあるでしょうか。数年前に将棋界を大いに賑わせた名です。羽生棋士は、永世称号である竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、7つのタイトルを全て手にする「永世七冠」という前人未到の快挙を達成しました。
 プロの棋士になるための道のりはもちろんのこと、タイトルを獲得するための戦いに臨む階級になるだけでも最低5年はかかります。ちなみに羽生棋士は8年かかったそうです。また、それぞれのタイトルには獲得条件も設定されており、羽生棋士を除いて、長い将棋界の歴史の中で、全てのタイトルの称号を保持した棋士は存在しません。
 「常に挑戦し続けること」が求められる将棋の世界で、偉業を成し遂げた羽生棋士。彼はインタビューの中で、次のような言葉を残しています。

「何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。」

 以前、学級通信に載せた「結果」より「過程」が大切だという話と相通ずるものがあるな、と思いました。
 年が明けたり、春が来たり、人は何かの節目で、往々にして心新たに目標を立てます。
 しかしながら、「継続は力なり」とはいうものの、決めた目標や夢を追い続けるのは難しいものです。三日坊主を繰り返すうちに、いつしか「どうせ続かないでしょう」と端から否定されるようになり、自分自身でも「長続きしない」と思い込んでしまう。そして、「こうなったらいいな」という夢や理想を語るだけで、行動しようともしなくなる。「挑戦」という言葉に、胸が高鳴ることも、高揚感で心が満たされることもない。
 でも、そもそも「三日坊主」って、そんなに悪いことなのでしょうか。確かに、3日足らずで取り組みを諦めてしまうのは問題かもしれませんが、一度決めたからといって、最初から1週間も1ヶ月も続く人は、大人だってなかなかいません。

 でも、こんな風に考えることもできます。「七転び八起きの三日坊主」。たとえ「三日坊主」になったとしても、1~2日休んで、思い出して、また取り組むことを1年間続ければ、365日のうち、200日は実践したことになります。1年のうち200日取り組んだとなれば、立派なものだと思いませんか。
 途中で休むことがあっても、あきらめそうになっても、断念せずに何度も挑戦し続ける。
 そんなことを繰り返すうちに、自ずとあなたの後ろに道は連なり、想像もしていなかったような景色の前に立っている日がくるものなのでしょう。

ーあとがきー
 子どもたちには、学期のはじめやテスト計画を作るときに、常に目標を立てさせます。毎朝、クラスの1日の行動目標も学級委員が発表してくれます。それでも、正直、担任である私自身、朝立てた目標でさえ、昼休みを過ぎる頃には、すっかり忘れてしまっていることの方が多いものです。
 目標を意識せずに1日を過ごした子どもたちを指導することもありますが、「七転び八起きの三日坊主」という教示を得てからは、とにかく折に触れて目標を立て続けることの方が大切なのではないかと思うようになりました(もちろん、1つの目標を意識し続けることができれば、申し分ないのですが)。
 そこで私が立てた作戦は「達成するまで(あたかも新たな目標かのように)同じ目標を何度も立てる」です。「時間を守って行動しよう」という目標を1週間毎日立て続けてみたところ、1日坊主×5日(月~金)で、だんだんと日を追うごとにできるようになってきました。
 そう考えると、目標は追い続けるのと同じくらい、立て続けるのも大切なのかなぁなんて思ったりしつつ、雲なき空を見上げながら、今日の目標を探す私です。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?