兄が嫌い

わたしは兄が嫌いだ。

わたしの兄はいわゆるこどおじ(大人になっても子供部屋で生活をしている人のこと)
30にもなって、実家に住みフリーターのような仕事をしている(聞きたくもないので詳細は知らない)。

3つ離れているのだが、県外の大学に行き、2年くらいで中退して実家に帰ってきた。
兄がいない時期(1,2年くらい？)は気が楽だった気がする。
それが急に帰ってきた。学校にも行かず、アルバイトもせず、ただ家にいた。

そのころはたいして気にしてなかったけど、自分が大人になるにつれて嫌悪感を抱くようになっていった。

なんとか母が地元の短大に通わせて卒業はしたけど、それからもしばらくの間はニートだった。
いわゆるコミュ障で、バイトの面接も通らないような奴だ。

なんで、こんなことを書いているかというと
年末年始という多くの人が家族で過ごすような時期に、実家にも帰らず一人暮らしの家で過ごしているうちにふと考えたからだ。
親が嫌いなわけでも、不仲なわけでもないのに、実家に帰るのは嫌いなんだよなって思い出したからだ。
もちろん、実家に帰りたくない1番の理由は兄。顔も見たくないし、口もききたくない。(実際10年以上、ろくな会話はしていない)

年末年始に限らず、GWとかお盆とかそういった時期がすこぶる苦手だ。
理由は兄だけではなくて、仕事であまり家にいなかった父も理由の一つだと思った。
一般的に家族でなにかするような日も、父の帰りは遅かった。
だから、特別なことをした記憶も少ない。
多少はしてたと思うけど、ある程度大きくなってからはクリスマスもいつもより特別なご飯とかはあったけど、そこには父はいなかった。
いたとしても、口数が少ない人なのでだからどうってことはないんだけど。

そういったこともあってか、実家に帰る意味がいまいちわからない。
元気だよってところを親に見せるために年に1回は帰るようにしているけれど、乗り気だったことは少ないかも。

兄の話に戻る。
大学に進学する際に私は実家を出たのだが、実家から通える大学で行きたいところがなかったのもひとつだが
兄から離れたくて、というのも理由の一つである。

大学生のころに、母から衝撃的な一言を言われた。
「お兄ちゃんが、バイトを始めたの。お小遣いをあげなくていい」って。
私はとても驚いた。今までお小遣いあげてたの？って。
働いてないから、当たり前なのかもしれないけど、大学生のころバイト漬けだった私にはショックが大きかった。
そのころから、嫌悪感が強くなっていった気がする。

これってある種のコンプレックスだよなって思って検索してみたら、ぴったりのものがあった。
それは「カインコンプレックス」だ。

ユングによれば、兄弟の関係において差別的に親の愛情を受けた場合、それによって苦しんだ原体験は、兄弟以外の関係にも投影されていくという。このコンプレックスを負う者は、親の愛を巡る葛藤の相手となった兄弟と同じ世代の周囲の人間に対して憎悪を抱くこともあるという。これをユングは旧約聖書、『創世記』偽典『ヨベル書』の神話を基に「カインコンプレックス」と呼んだ。

兄弟が大人になっても不仲
職場の同僚などもライバル視ばかりして仲良くなれず苦しい
兄弟差別や比較をした親が年々憎くなってくる
などの悪影響があるようです。

https://yumeneko365.com/cain-complex-1/

1番目と3番目はもろに当てはまっている。
2番目はかすってるかな。いわゆる同期？的な存在とは上手くいかないこともある。(特に同姓)

兄は、いわゆる手のかかる子だった。
それに比べて私は割と手のかからない物わかりのいい子だったと思う。
兄を見て、育ったのもあるかもしれないけど。

当時はあまり思わなかったけれど、母はなにかと「兄が、兄が、、、」と愚痴めいたことを私に話していた。
はいはい、と聞き流していたけれど、聞いていて気持ちがいいものではなかった。

それは一人暮らしを始めてから、母が遊びに来たときや、実家に帰った時も同じだった。
別にいいんだけどさ、聞きたくはないわけで。

冷静に考えれば、考えるほど、なんでが増えていった。
「なんで私は一人暮らしをして、生活費を払って、家のことをやってるのに、あいつは全部親にやってもらってんの？」とか
「いつまで、親のすねをかじり続けるの？」とか。
なんであいつだけ？？ってなる。
だからこそ、自立したいと強く思う。実際、生活は自立できてるけど。

親は嫌いじゃないけど、兄が嫌すぎて実家に近づきたくない。
どうせ、あいつはなにも思ってないんだろうな。

わたしもアラサーになって、周りの人が結婚したり、子供ができたりしてるけど、祝福はするけどいいなって思えないのはこの影響もあるのかなって思うようになった。
父が家にあまりいなくて、子供にさみしい思いをさせないの？とか。自立した大人にちゃんとなれるの？とか。
あこがれはあるけど、それと同時に恐怖もある。
何よりも、自分と同じような感情を自分の子供に抱かせたくない。
子供のころよりも、大人になってからのほうが苦しむから。

仲のいい友達は、ほんと私って兄きらいだよねっていうけど、わりと嫌いとかそんな簡単な感情だけじゃないと思う。
知らないって思う一方で、憎い。
好き好んで、兄弟なんじゃないって思う。
仲のいい兄弟姉妹の話を聞くと、幻のように聞こえる。

別に特別な人じゃなくていいから、ふつうの、ふつうの兄がよかったって。

ね、怖いよね。
考えることはどうやったら兄と縁を切れるのかを考えることがある。
何かがあっても、お願いだから私に連絡がこないでほしい。何もしたくない。かかわりたくない。

別に好きにしてていいから、どうか、どうか、私にかかわらないでくれって。