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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2」は英ブライトンの考現学としても読める良著 #ブレイディみかこ #読書メモ

ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」シリーズの2作目を読み終えた。新潮社の「波」に2019年〜2020年頃に掲載されていたのが初出らしい。

以前、一作目を読んだことがあり、とても気に入っていたので、2作目を知ったときは迷うことなく購入を決めた。

二作目も一作目と同様に、「政治」や「社会問題」など大きな話と、「家電が壊れた」とか「学校での行事」など手触りのある小さな話を自由に行き来する内容/構成や、グイグイ引き込まれる読みやすい文体が一貫しており、今回も一気に読み終えてしまった。

きっと私自身、大きな話だけだとページをめくる手が重たかっただろうし、(身近で等身大の)小さな話(ノンフィクション)だけだと、書棚から手に取ることはなかっただろう。そのバランスがとても絶妙だ。

また、イギリスのブライトンという街を中心に展開される両作品は、ブライトンの現代生活者研究を当事者目線で丁寧に紡ぐ「考現学」としても読み応えがある。

故に、たとえ訪れたことがなくても、見晴らしの良い高台から眺めるブライトンの海や、ストリート別のグラフィティの質の違い、ロンドンだけでなく世界中からの移民が織りなす街の日常に思いを馳せることができる。

あまりにも身近にあることを書いて。私の家族とか、息子とか、息子の学校とか日常のことを書いているので、これ本当に面白いのかなっていうような(笑)、そういう気持ちもあったんですね。
/分断にどう向きあうか ブレイディみかこさんインタビュー 毎日新聞

帯には「完結」と書かれてしまっているが、もう私は三作目を期待してしまっているし、何かしら地続きになっている作品を出してくれないかと、待ち遠しく思っている。

出典

photo via Viktor Forgacs on Unsplash

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