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他イクツさんの名前の由来は…共グモさん

大切なのは
人間として
光っているかどうか
力を出せるかどうかである。
その力の根源は自覚である。

2014年新聞

他イクツさんは、古来「花の王」「富貴花」と呼ばれた牡丹(ボタン)の花の写真を見て言いました。

「牡丹は春の花なのですが…手間をかけて育てることで、冬の厳しい季節にも咲く花となりました」

「ボタン…ぼたん…ボタン…ぼたん…あ、こんなところに…あったのか…」
自バッタさんは机の下に転がっているボタンを見つけました。「確かにな…このボタンは厳しい冬には欠かせないんだ。ありがとうよ~」と、ボタンに感謝をしている自バッタさん。

「確かにボタンはそうですね…」他イクツさんは、自バッタさんの言葉にボタンの存在を再確認したのでした。「目先の華やかさでは決まらないというならば、ああ…ボタンは陰徳を積んでいるのですね!」

他イクツさんは立ちあがり、棚から箱を持ってきました。

「ほら、見てください!こんなにボタンが落ちていたのですが、自バッタさんは今まで全く気づかなかったのですね。わたしはやっと自バッタさんに気づいてもらえて、とても嬉しいです」

他イクツさんは、ようやく自分の仕事を自覚することができました。

他イクツさんの名前の由来は…「他意靴」から来ているのです。同じ発音の言葉でも、文脈によって捉え方が違うことを知り、この人が言っていることは何なのだろう…と考えるようになったのです。

他イクツさんは、相手と自分の話が全然かみ合わないという経験をたくさんしてきたのでした。そのことで周りの人たちから仲間外れにされたり、陰口を言われてきたのでした。周りの人たちから相手にされないということが、どんなにつらいことなのか…大人をずっと見ていて、感じ、知るようになっていったのです。

他イクツさんは、介護施設で仕事をしていたので、人が周りから相手にされないということが、どれだけつらいことなのか…心で感じるようになりました。たぶん…自分も同じような経験をしてきたからでしょう…ね。

そんな他イクツさんの相手をしてくれていたのが、寄り添って歩いてくれる共グモさんでした。自バッタさんを紹介したのは、共グモさんだったのです。あのリューちゃんを探していたカメバ―さんも、共グモさんが自バッタさんの仕事を教えて「きっと助けてくれるから、行ってみなさい」と背中を押してくれたのです。

共グモさんがいたからこそ…なのですね。でも、気候によって姿が変わり、見えたり、見えなかったりするものですから…なかなか共ぐもさんのおかげという認識ができないのが、私たち人間なのです。

(終わり)