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氷と水の芸術祭 文芸作品第三展示室

のどかにみえる雪合戦にも掟がある。水の中に雪玉を入れてはいけない。水によって雪玉が融け表面が氷のように固まり、人にぶつけると野球ボールが当たったかのように衝撃が大きいからだ。

僕は大きめの雪玉をつくると靴紐を結びなおすふりをして運動場の隅に移動した。水溜まりに張った氷を割り、雪玉を水につけた。しばらくし氷が固まったのを確認する。急いで戻ると、向こう陣地の隅っこにいる澤木さん目がけて投げつけた。

悲しみと苦しみはココロの澱おり
時が経てば底に深く沈むけれども、、、
消えはしない
揺さぶられれば何度でも浮かんで
舞上がってココロを濁らせる
でも、もしも、、、
たくさんの綺麗な水が注がれたなら、、、
水と共に溢れた澱は流れ去っていくだろう

けれど、、、いつの間にか澱はまた溜まっていく

午後3時を回った頃、お客さまがやってきた。歳のころは30歳くらいだろうか。顔立ちの整ったスラリとした女性だ。
 「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
 そう声を掛けると、彼女はカウンター席に腰掛けた。メニューと水やおしぼりを持っていくと、ふわりとした笑みを浮かべて「ありがとうございます」と言ってくれた。彼女は一口水を飲むと、おもむろにメニューをめくりカフェオレとケーキをオーダーした。コーヒーの準備をしながら彼女を見ると、俯き加減にため息をついている。

もともと、私は氷だった
ひとつの大きな氷のかたまり
🧊🧊🧊🧊氷塊🧊🧊🧊🧊
とかされていく
私はまだ、とけたくないのだと
何度もつぶやきながら
あらがいながら

次第にわずかづつ
氷はとけて
もう、わずかしか残っていない

「逃げて今すぐそこから逃げて溶けてあなたは消えてしまう」
いいのいいのよ
ほらもう溶けた
あたしもともといないのよ
「いたよ確かに私は見たよ水も確かに冷えてるよ」
そうねありがと
そういうものよ
消えて心にのこるのよ
あなたも最期さいご煙になるわ
大気に溶けて消えていく

見ず
見ず
見ず
見ず

愛す

見ず
見ず
見ず
見ず

ソーダ水溺れるように恋したい

口づけのあとは必ず夏氷

あいのみず注ぎ注ぎて星飛んで

君想えば想うほどに秋出水

渡り鳥氷のようなメッセージ

水澄むや吾を忘れた日は遠く

かき氷時間が経って溶けだして
液状になり飲むばかりなり

氷河期が終わったけれど地表には
多量の水が残りはしない!

人類は水の恩恵受けている
だけど水ひとつ操れはしない!

俳句 水水水水氷水水水水 からの二次創作

*作者のみなさま、引用等不適切であればご指摘ください。