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気づいちゃったんだ(その1)

最近、娘がとても忙しいので精神的にも肉体的にも満杯になっているのを感じる。

今日なんて、部活から大根をひきずってやっと家にたどり着いた姿は、まるで魂でも抜かれたかのようなひどいありさまだった。

私がお帰り、と声をかけて
ただいま・・と言ったかと思うとリビングに行き

たまたま台所に立っていた夫にむかって
「疲れた!バーカバーカ!パパのバカやろ~~!!」といきなり八つ当たりしたのである。
あ~かなりきてるわ・・とオンライン仕事の途中の私もさすがに一瞬、甘えすぎじゃろ!しかったろか!とおもいつつ聞き耳をたてていたら

夫が「なんかいきなり馬鹿にされたぞ」と余裕の返し。
それで娘は「もう疲れたのーーー。こんなにがんばってるのに◎×□☀~~~」と愚痴。
そのことについて、夫っていい人だよな・・。と思ったの。
そして私の脳はオンラインに戻り、そのことは忘れてた。

数時間後、仕事を終えてリビングへいき座り込む。私の方も、かなり疲労がたまっていても休めない・・でも休まないと次のことできない・・体力ない、となっている最近。
なんせ金土と遠方から久しぶりのホストシスターが来ていて、ウキウキしたのもつかの間、お子さんが熱を出すハプニングあり。
翌日の日曜日は飛行機で他都市へ移動し月曜日に帰宅し、そのまま仕事というかなりあぶない橋を渡っていたし、祝日の今日も朝から夜まで仕事が入って、やっと終わった夜9時過ぎ。

明日午前中からも仕事が入っていて、それについてはもう無理と判断してリスケジュールしたくらい。そうじゃないとメンタルもフィジカルも持たない。もう50が目前で、30代の時とは違うんだもの。

明日は絶対、寝よう。朝は寝よう。そう思っていた矢先に

「ママ―わすれてたぁ。明日、お弁当がいるの」という娘からのお知らせ。
「まかせろ」と返事したものの夜の時点ではもう体力が残ってない。明日の朝、起きるしかない・・。でも起きれるんかなぁ。買い物すら行く体力もない。

そのことを、夫にぼやいたら
「ご飯、たいておこうか」といってはくれたものの
ご飯を炊いてくれたら私は朝寝ていられるかというと、そうではない。お弁当作るか、とは言ってもらえなかった。
しょうがないよ、朝、起きられないもの彼は。

半ば絶望しつつ、お米を研ぎ、その勢いでいまお弁当を作ってしまったほうがいいと判断し、作り始めた。

その向こうでは、リビングでポテチをポリポリと食べてパソコンに向かっている夫がいる。
ポリポリ、とかキーボードパチパチとかの音を聞きながら、疲労困憊の身体を引きずってきゅうりと卵とウィンナを取り出して調理し始めた。

ああ、私も娘みたいに八つ当たりがしたい。と心底思った。
夫に激おこで八つ当たりしてこのしんどさを発散できたらいいのに!って思った。
お弁当を作っている間、記憶がタイムスリップした。


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子どもがまだ小さい時、私はいっつもワンオペでひとりで回らない家事と育児をやっていたの。
夫が帰ってくるのは12時近くなってからだから、なにかが起きているときには私一人。ほんとうに手が必要な時には、自分一人だった。
あれもこれもまだ終わってない、なのに自分の体力は追いつかない。
ごはん作ってお風呂入れて限界になる。なんでこんなに自分は体力ないの?
明日の保育園の持ち物なんてチェックできてない。ノートも書いてない。洗い物も終わってない。洗濯もまだ。
終わらなすぎて絶望したところでだれかがやってくれるわけでもない。やるしかない。
それなのに、あれもこれもまたどんどんやることが降ってくることで疲弊しちゃって、ひとつも減らない気がしてるどころか、もっと山積みになってて仕事も準備してなくて。
ご飯を作りながら涙が出てくる。どうしてこんなに一人でいつも頭の中はやるべきリストでいっぱいでできてないことリストで自分を責めているんだろう?

そういうことを考えているとき、よく「なんであの人は、こういう気持ちになることがないの?なぜ、私だけなの?」って思ってた。
仕事して子育てするのはお母さんだって、お父さんだって一緒じゃん?なのに、なぜ彼は家事・育児と仕事の葛藤がないの?なぁぜなぁぜ?私ばっかり貧乏くじひいてる。そのことにねぎらいもない。ばかやろーこのやろー。頼まなくてもやれ。自分からねぎらえ。涼しい顔して生きてるんじゃねえぞ。私の労働にフリーライドしやがって。なぜひとつも私には感謝もねぎらいもないんだよ。なめんなよ!

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って思いながら、泣きながら家事してた自分を思い出しちゃったの!!
しかもそれだけじゃない。私だっていつまでも泣いてたわけじゃないぞ

そう思っていたところで改善はしない、とわかっていたから、それを話し合おうとだってした。でも、わかるよね、世の中のお母さん。ほんとうに大変な時に冷静に伝えるなんてできませんよね。私もすごくへたくそで、怒りが先に来てしまって、責めるように、愚痴を聞かせるようにぶつけました。そして、何度もケンカになった。いや、ケンカならまだいいの。

たしなめられたの。「八つ当たり」とも言われたの。しかもすごい正論で。私は彼のその正論にさらに激昂。彼が私の怒りを冷静に受け止められないのはわかる。でも、そんなこと知るか!なんでこっちがお前の受け止めやすいように料理してから伝えなきゃいけねーんだよ。そもそもお前がいないからこうなってんのによ?っていう気持ちがありすぎて。

私は、その辺の本に書いている、夫が動いてくれるように伝えましょうとかいう本のことを信頼してないの。冗談じゃねえ、しゃらくせえ!そんなこと言える状態はとっくに終わってんだよ。傍観してんじゃねえよ、とっととなんとかしろ。もっと必死のパッチでやれよ。
「できることはやってるよ、それは君だって一緒ですよ?できないことはできないんだからそれは、お互いさまで仕方がないとあきらめるしか」みたいなこととかを、ほんとうにぬかしやがるわけ。そして、私を諭してくるわけよ。
過去の私は、その理不尽さに半狂乱になって、出て行ってやる!ってなったこともある
もういい!全部やってやる!泣き言なんか言うもんか!お前になんか頼らないからな!ってなったときもある
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めちゃめちゃ取り乱しました。書きながらまた・・
もう、そういう感情が もうそれはぐゎぁ~~~~~ってよみがえってきたわけなんです。
お弁当作りながら、その感情が自分の中に湧き上がってきたんだけど・・
そこでふと思ったのが

さっき、夫はああやって娘にいきなり悪態つかれても、まーったく意に介さなかった。それはいつだってそう。娘の甘えなんだ、って暖かく受け止めてるのが傍から見てもわかる。

その娘の「ばーかばーか」には甘えさせて
過去の妻の「ばーかばーか」(と言ったわけじゃないけど)には 甘えは許さなかった

なんでさ!!なんでだよ!!
ふと気づいたら、さっきの
いい人だなという認識が急になんか間違えてる気がして

おまえちょっとそこ座れ。って突撃してやろうかとか思った笑
それも違うな。私はそういうことをいま、べつにしたくない。

お弁当もほぼ作り終わって、片づけながら自分の気持ちにもっと降りて行こうと思った
過去の私、あのときの私はどうしてほしかったのかな。ということ。

娘には甘えさせておいて、妻にはしなかっただろ。謝れ!は今の私の気持ち。でも、あの時の私は?

あの時の私は、「大変じゃない?大丈夫?一緒にやろう。あなた一人にさせてしまってごめんね。」っていってほしかった。
「疲れてるよね。休んでいいよ。あとは全部やるから。」
っていってほしかった。
「ほんとうにありがとう。自分は仕事だけになってしまっていて、いろいろ心配させているよね。生活を変えていこう」
って提案してほしかった。
「ほんとうによくやっているよね。あなたが心配だから自分もやるね」っていってほしかった。

私ががんばっていることを言葉にして、認めて、尊敬して、感謝してねぎらってもらえたらよかった。
そうしてほしかったんだ。

それがかなわなくて、泣いてたんだ、私。
決して、回らない家事に絶望していたわけじゃないんだ。
もういっぱいいっぱいだよーーーってなっている自分を置き去りにされて、気にも留められないまま倒れそうになっている自分に、なんの関心も持たれていない(と感じていた)ことに絶望していたんだわ・・。

だから、その私をいやしてもらおう。
娘にしたみたいに、私にも「よしよし」ってしてくれたらばいいんじゃないかな。あの時の私を癒してほしい。って言ってみよう。

って思ったの。

明日の朝、一番にしよう。
だって私はもう相当つかれていて、この朦朧とした頭で伝えることは無理だから。それに、自分が本当に必要としていたことが、十数年たって言語化できたことでもう気のすんだ感じもある。
夫婦関係をよりよくするためのものだから、ポジティブな状態の時に伝えたらきっと楽しい結果になるはず。

そう決めて、その日は寝ました。

(ながっ)



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