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僕のお父さんはウルトラドクターだ。

うちのお父さんは凄いんだ。偉いお医者様だ。大きな病院に勤めてる。なんのお医者かというと、ココロのお医者様だ。
「いいか、悠希、人間というのは複雑な生き物だ。故に、時に脆い。人生の難局に立ち向かうお手伝いをするためにお父さんは働いている。」お父さんは子供の頃から勉強が出来て、いい子で?なんてことはなかったらしい。お父さんが僕にカミングアウトしたのは最近のことだ。
「おーい、中井、パスパス、こっちこっち!」お父さんの友達はお父さんにパスを求めた。お父さんはこの友達を疎ましく思っていた。このサッカーの練習の時だけじゃない。小学生のお父さんの家はとっても貧乏で、いつもお父さんの親はお金の心配ばかりしていたんだ。サッカーだってお金がそれなりにかかるでしょ、兎に角イライラするんだよ。お父さんはね。お父さんは勉強好きだったけど塾も習い事も行かせてもらえない。お父さんは拗ねた。嫉妬の炎をメラメラと燃やしていたんだ。
で、友達の話に戻るけど、彼の家は中間層。塾に行っていた。中学は有名私立中学を目指すらしい。殴ってやりたい気持ちだったらしい。お父さんの方が遥かに勉強ができたからだ。みんながゲームをしていても、「僕は買ってもらえない。」皆んな流行の服でキメテいても、「僕の家には余裕がない。」ないないない。ないないづくしだ。沢山我慢しているお父さんに向かって、担任の先生が言ったそうだ。「将来の夢があるなら、金がない、なんてことで諦めるな。大学に行きたければ奨学金制度を利用したらいい。」それからお父さんは、沢山勉強して中学、高校、そして医学部へ。今がある。
これは、いわゆる「人生は拗ねたら駄目だよ。」なんていうことを言いたかったわけではない。「お父さんはね、家が貧乏だったことで拗ねまくってよかったと思ってるよ。だって、スネスネパワーが大爆発して、超一流大学の医学部に入れたんだからね。お前もおおいに拗ねろよ!少年よ、ジェラシーを抱け!」そう言って、僕の親愛なるヒーローは高らかに笑った。
僕はお父さんみたいに超一流国立大学になんて入れないだろうけど、それでもやっぱり夢はお父さんみたいにココロのお医者様になることだ。

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