小さくても すべての山を登れ
2024.3.16
久しぶりに旗振山に登った。
いつもひとりで登るのだけど、この日は友人とふたりで。友人は少し前に悲しい出来事があった。人の心のことはその人が丁寧に感情や想いに向き合って時間をかけていくことしかできないと思うけど、何となく誘ってみたいなと思った。というのも、最近堀江座で食べたお弁当に感動したからだ。
山登りとお弁当に何の関係が?
私は子どもの頃、家族でお弁当を持ってハイキングに行った。学生の頃に、私が落ち込んでる時に母が行楽弁当を作ってロープウェイで旗振山に行った思い出もある。堀江座で「発酵しませんか?弁当」を食べた時に、久しぶりに誰かに作ってもらった愛情たっぷりの手作りのお弁当を食べて何だかホロリときた。懐かしいあたたかい気持ちになったので、友人とそんな気持ちを共有したかったのだ。
山登り当日の朝、私なりの行楽弁当を作った。
垂水駅で待ち合わせて、電車でひと駅の塩屋へ。旗振山登山は2つのルートがあるけど、私は旧グッゲンハイム邸の裏道からのルートが好き。山道に入る前の階段がいきなりキツいけど、それを超えたら楽しい山道。
山道に入ってすぐに青い実を見つけて驚いた。
写真を撮って調べたらノシランの実だそうで、絶滅危惧種B型という珍しいものだった。もう何年も登ってるのに初めて見たな。友人と一緒だったからかな。何度登っても山登りはその都度新しい発見があるな。
山道には整備された道と整備されてない道がある。整備されて階段がある道よりも、整備されてない落ち葉が落ちて、木の根っこが張った道が好き。土の硬さの違いを足の裏ぜんぶで感じながら歩くのは楽しい。頭で考えずとも、身体が勝手に判断して気持ちよく動いて前に進む。私は考え事した時に山に登る。その都度その都度どんな道を選んでも頂上に辿り着いて、どんなルートで下山しても帰って来れる。これはハイキングくらいの高さの旗振山だからかも知れないけど。
この日は旗振山山頂の旗振茶屋が開いていて、賑わっている中でお弁当を開いた。
蓋を開けたらめちゃくちゃお弁当が偏ってて笑った。綺麗な方を友人に渡して、ふたりでお弁当を食べた。友人は何度も美味しいと言ってくれた。
旗振山山頂は昭和のムード満載で、令和の今もずっと昭和みたいな空気感。それでも少しずつ変わっていく。噴水だった場所は花壇になっていた。
そんな中で、ずっと変わらないものもある。
人も景色も少しずつ変わっていっても、人は山を登り、景色を楽しんだり語らってきたのだろうし、山の中で聞こえる鳥の声、匂いはずっと変わらない。そんなことを人はずっと感じて来たのだろうな。
後日職場の介護施設で歌う「サウンド・オブ・ミュージック」の劇中歌の練習でYouTubeを見てたら、この山登りで感じたような歌を歌ってることに気づいた。
聞こえてくる何千年と続く山の音楽。寂しい時に山に登り、私はまた歌い出す。そんな歌詞。
歌うことは特別じゃない。山を歩いて晴れやかな気持ちになるように歌いたい。
そういえばギターを弾き始めた頃、ライブハウスで一緒に歌おうと誘ってくれた人とこんな話をした。「私は自分が好きな歌を歌いたくて弾き語りを始めたので、たくさんの人に見せられるようには歌えないと思う」とその人に伝えると「峰子ちゃんは何というか【サウンド・オブ・ミュージック】のマリア先生みたいに歌えばよくて、人に見せるとか考えなくていいと思う。それが峰子ちゃんのいいとこ。」だと。
そんなことを思い出しながら、改めてサウンド・オブ・ミュージックを歌っていたら何だかジーンときた。
最後に、この歌は歌えなかったけど、劇中歌で実は1番好きな歌を。
大きくなくていい。
自分が楽しく登れる山に登る。
悩んだ時には山に登る。
すると、いろんな道があるけど、ちゃんと頂まで登って帰って来れることを知れる。
自分の中だけで思ってたことを、友人に話しながら一緒に登れて楽しかった。友人も楽しそうで嬉しかった。特別なことはできなくてもしなくても、きっといいんだろうな。
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