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意欲を知り、参画させ、欲求を引き出すこと

ドラッカーの『現代の経営』の第20章を読んだ読書メモ。

人には、他の資源にはない資質がある。すなわち、調整し、統合し、判断し、想像する能力である。まったくのところ、人が他の資源にまさる資質は、それらの能力だけである。

人的資源が他の資源と異なる点は、かんたんに言えば自ら考えて最適化しようとする能力だと言い切っている。

人格を持つ存在としての人は、本人だけが利用することができる。...人的資源については常に動機づけが必要である。...人は、いかに働くか、どれだけ働くかを自ら決める。生産の量と質を決める。

この章で一貫して述べられているのは、「動機づけ」。人がやる気スイッチをいかに押すか(押すのをサポートされるか)で、生産性はいかようにも変わるということ。生産性を変えるのは個々人であって、上司がそれを変えるのではないということ。

この部分はとても重要だと思う。結局のところ、優れたマネジメントでもどうしてもやる気がない人は変えられないし、変えようとする・できると考えるマネジメントの方がおこがましいと思う。

ビジョンや考えが一致していて、働いていて成長を感じられたら、いくらでも働く動機は生まれてくる。反対に、それがなければ遅かれ早かれ、一緒に働いても面白くなくなり動機を失うということ。

成長は、つねに内から行われる。したがって仕事は、つねに人の成長を促すととともに、その方向づけを行うべきものである。...すなわち、仕事は、働く者にとってつねに挑戦である必要がある。

やっていてチャレンジングでないことは、人がすべき仕事として適切ではないということだと理解。ルーティン化した予定調和の仕事をするよりも、どうなるか分からない環境で自分の能力に対してストレッチの効いた仕事をすることの方が、人が成長できるというのは事実。
それは、"働く人" のもとから備わっている性質によるものだということ。

学ぶ力は、年によって低下はしないことが明らかになっている。年ではなく経験が、学んだことを捨てることを難しくする。...この問題を解決するための唯一の方法は、学んだことを捨てる能力自体を、学ぶプロセスに組み込むことである。

学ぶ=知識を獲得する=経験する。経験値が高まったら、それを動機に、更に多くを学ぶプログラムを作る必要があるということ。

学んだ内容はすべて自分の糧にする必要はないと思う。経験を「経た過程」と考えるならば、過去の過程に固執することなく、新しいインプットをし続けて"自分自信が変化" し続ける方が、いまの時代に適しているはず。

自分自身も、20代に考えていたことと30代になって考え始めたことが全く異なっていて戸惑ったことがあった。その後、20代の考えからの"積み上げ"ではなく、30代の考えは "全く異なるもの" として理解することで、スッと腹落ちできたことがあり、学んだことを捨てることの重要性は痛いほど分かる。

企業は二つの経済システム、すなわち外部の経済システムと内部の経済システムをもつ。...内部の経済システムは市場経済ではない。それは、企業全体の成果が、あらかじめ定められた方式によって企業内に再分配される再分配経済である。

なるほど。

構造的に外部と内部の経済システムが異なるからこそ、意図的に、企業で働く人たち全員が、会社の利益≒自分たちの利益、となるような仕組みを作ることが必要不可欠、ということだと理解。

あくまでも「あらかじめ定められた方式」である以上は、たとえ売上連動のコミッション制度等だとしても再分配経済システム内のアクション。
とはいえ、その方式を明確に定義してメンバー全員が共通認識として持っておくことが大切だと思う。その点、当社もまだまだ不足している部分があるので、改善あるのみ。

「人扱いが上手である」というだけでは十分ではない。まったくのところ、人扱いなど関係ない。...人は自ら働くことを求めるということである。人は働きたがらないと考えることはできない。

本当にそういうことなのだと思う。人は誰しもが多かれ少なかれ「働きたい」と思っているし、そうでない人に出会う方が実施難しい。

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↑こういうニュースが(20年くらい前?に)話題になったのも、本質的にはひとは働きたいと思っていることが前提だからこそ、だと改めてわかる。

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参画しているメンバーひとりひとりの意欲の所在をよく把握したうえで、動機が漲るような仕掛けやチャレンジングな仕事を創っていけたらいいなと思っています。


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