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「アドビと二人三脚」で成長:アドビユーザー分科会リーダーたちに聞く(関西分科会、業種別ユーザー分科会編)

コミュニティ活動が盛んなアドビ。中でもMA(マーケティングオートメーション)ツール「Adobe Marketo Engage」のユーザーグループ(Adobe Marketo Engage User Group)には「ユーザー分科会」が9つあり、業種や課題別にユーザーが集い、ディスカッションや勉強会を随時実施しています。

そんなユーザー分科会のリーダーに話を聞く今回の企画。後編では関西のマーケターが集う「関西分科会」、IT企業ならではの課題を事例を元に解決することを目指す「ITKETO(イトケト)のリーダーに話を聞きました。

組織をいかに成長させるのか、そのためにユーザー分科会はどう役に立つでしょうか。

前編はこちら


東京以外でも最新の情報を——「関西分科会」

昨今は各種web会議システム、ウェビナーによって、情報の地域格差は小さくなりましたが当時、デジタルマーケティングにおいてはまだまだ東京が中心だという課題意識から関西のマーケターが最新の情報に触れる機会を増やすために生まれたのが「関西分科会」です。

京都に本社を置き、流体計測・制御のエキスパートとして半導体セグメントで独自のブランドを確立している堀場エステックの志知文(しち・あや)さん(営業本部 営業推進部 デジタルマーケティングチーム リームリーダー)は、そんな関西分科会のリーダー。志知さんは長らく所属していた営業部門から販促・マーケティングを担うデジタルマーケティングチームへ異動し、営業の生産性アップを模索する中でAdobe Marketo Engageを活用するようになりました。

「営業と一口にいっても、私の場合は国内、海外といろいろ見てきて、そこから販促へ軸が変わってきました。営業の最前線とその支援部門、両方を俯瞰的に捉えて、最終目標に対してどんなKPIを設定すべきか、戦略立案なども含めて担当しています」

堀場エステックのデジタルマーケティングチームは歴史が浅く、まだ何をやるべきなのかは全ての答えが出ているわけではないそうですが、それだけに他社の動向であったり、情報収集が欠かせないと志知さんは説明します。

業種を超えて「マーケティング」という1つの目的で協力することで生まれる発見

関西分科会は3カ月に1回のペースで会合を開催しており、毎回30人ほどが集まっています。関西に拠点を置く企業のマーケターであれば原則誰でも参加可能。志知さんは「なるべく参加のハードルを上げず、情報というお土産を持って帰れる場にしたい」と、その運営の狙いを話します。

「東京と比べると関西は製造業のユーザーが多く、金融やメディアは相対的に少ないです。一方で、Adobe Marketo Engageを一度導入したら長くずっと使い続けるというユーザー傾向もある模様。あまり業種を絞らず、浅く広く交流することによって、いろいろな発見があります」

マーケターは社内に人数が少なかったり、自分1人しかいなかったりと仲間がいない環境で奮闘している人が少なくありません。だからこそ関西分科会を通じて、一緒に切磋琢磨できる仲間を見つけてはどうか、と志知さんは呼びかけます。

「先日はじめて関西分科会に参加してくれたユーザーのビジネス領域が、これまでの参加者にいなかった領域で。私自身、このような分野でもAdobe Marketo Engageが使われているのかと驚いたし、古くから参加しているメンバーにとってもすごく参考になったんです。そうやって一緒に学び合うのが本当に大事だと思うので、まずは1回でも来ていただければ」

業種を超えて、マーケティングという1つの目的でユーザー同士が協力し合う。その意義を志知さんが繰り返し強調していたのが印象的でした。なお予算や時間が許せば、関西以外からのゲストも招き、交流の輪を広げていきたいそうです。

業種ごとに運営することで事例をより深掘りできる「業種別ユーザー分科会」

次に話を聞いたのは、西濃運輸を中核とする物流大手のセイノーホールディングスグループの企業で、システム開発サービスなどをグループ内外関わらず提供している、セイノー情報サービスの西村太志(にしむら・ふとし)さん(営業推進部 担当部長)。

西村さんは2011年、現在も所属する営業推進部の立ち上げに携わりました。それまでの取引はハードウェア販売も含めた大型案件が中心でしたが、徐々にクラウドが台頭。ユーザーは購入する製品やサービスをニーズに合わせて調整しやすくなったものの、サービス提供側としては販売額が相対的に低下する事態に直面していました。

そのため、より多くのお客様と広く関係を構築する必要性が高まり、その効率性と生産性も重視されるようになったことから、主にマーケティングを担当する営業推進部を設立したそうです。そしてデジタルマーケティングに取り組むこととなり、2015年にAdobe Marketo Engageを導入しました。

「“あるある”と言いますか、Adobe Marketo Engageを導入しただけですぐに何かが変わるわけではないんです。マーケティングの本質が分かっていないと話が始まらない。その頃の私はほとんど知識がなかったので、詳しい人に話を聞くしかないな、と。そこでAdobe Marketo Engageの営業担当者に相談したのが、ユーザー会の発足、そしてユーザー分科会への展開につながりました」

こうして、Adobe Marketo Engageを導入した翌年の2016年にアドビのユーザー会活動がスタート。西村さんらと同じように悩めるマーケターが数多く集まったものの、業種などのバックグラウンドの差が大きく、事例共有にあたって突っ込んだ議論ができないのが難点でした。

そこで、現在にもつながる業種別ユーザー分科会が始まりました。その1つが「ITKETO」です。B2B取引中心のIT企業関係者が数多く参加しており、西村さんはリーダーを務めています。

開催ペースは2カ月に1回。毎回30人ほどのメンバーが会場に集まって、事例などをプレゼンしています。また、参加者が積極的に発言、交流できるようにディスカッションを非常に重視しているそうです。

「話を聞くだけだと、持ち帰れるものが少なくなってしまいます。会では、まず誰かが『○○で困っています』と全員の前で悩みを提示して、その解決策を少人数のグループで議論。最後に各グループの代表者が自分たちなりの解決策を発表する形にすることで、当事者意識を持つと同時に後で会話が生まれやすい環境にしています」

ユーザー分科会で得た施策のヒントが大きな成果に

「Adobe Marketo Engageをなんとしても使いこなしたい」という渇望から誕生したのがITKETOであり、西村さんもそこから明確な成果を得ました。例えばリード(見込み客)獲得からメールマーケティング、コンテンツ製作、リサイクルの活用など現在実施している施策のほとんどは、ITKETOで得た情報や知識がベースとのこと。

西村さんは「ITKETOで学んだことを実際に試してみて、それを実情に合うようにフィットさせるというPDCAをとにかく回しました」と話します。そして何より「売上アップへの貢献も大きかった」と、西村さんはITKETOへの賛辞を惜しみません。

中でもウェビナーは成功例でした。2020年のコロナ禍突入直後、展示会やリアルイベントが開催できない中でウェビナーは一気に注目を集めましたが、セイノー情報サービスでは実はその前からトライアル的に実施していました。ノウハウがたまっていた効果は大きかったのでしょう、2020年の1年だけで同社のウェビナーには5000人が参加したのです。

「コロナ禍で営業が既存のお客様先を積極的に訪問できず、展示会も開催されずに商談機会が減少する中、それまでと異なる施策で商談機会を増やせたのは常にアンテナを張り続けていたからこその成果だと思っています」

西村さんは社内のメンバーに対して、ユーザーコミュニティ活動には積極的に参加するよう、常に促しているそうです。限られた社内メンバーだけではアイデアの幅も狭まってしまう。広くユーザーが集まるコミュニティに参加すれば、刺激になって、より高みを目指せるるからというのがその理由です。

実際、ITKETOでの活動を通じて、若手社員の仕事の姿勢がより積極的になってきたと、西村さんは喜びに目を細めます。部下や後輩社員の成長をサポートするという意味でも、世の管理職には社外コミュニティ活動への理解が広がってほしいと西村さんは続けます。

ITKETOは、IT系のB2B企業の関係者であれば原則誰でも参加OK。必要知識などの前提条件はないので、マーケティング初心者はもちろん、伸び悩みを感じる2~3年目の若手社員など、やる気のある人はぜひ参加してほしいと西村さんは呼びかけます。

ITKETOは会の議論の質も高めつつ、懇親会を通じてまた別種のコミュニケーションもと努めています。議論と懇親会の硬軟2つのアプローチで「共感できる仲間がいること」を確かめ、本業のモチベーションと知識・経験のアップにつなげてほしいと、最後に西村さんはアドバイスしてくれました。

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前後編を通じて4人にお話を伺いましたが、その節々から伝わってきたのが「コミュニケーションがもたらすパワー」です。似た境遇の人々が集まって意見を交わすことだけでも意義がありますが、それ以上にいま直面している課題の解決法が実際に見つかる場として、ユーザー分科会活動を評価しているのが非常に印象的でした。

2024年は、デジタルマーケティングの重要性がさらに増していくことでしょう。Adobe Marketo Engageを新たに使う人、あるいは一段階踏み込んだ用法を見つけたい人は、ヒントやモチベーションを得たり、あるいは他者を助けたりする場として、ユーザー分科会に参加してみてはいかがでしょうか。


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