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「分からない」「成長したい」人を応援する:アドビユーザー分科会リーダーたちに聞く(ファンデーション、Salesforce編)

マーケティングのさまざまな施策を一元管理できるMA(マーケティングオートメーション)ツールは、うまく使えば業務を効率よく進められる一方で、「自社はこういう使い方をしているけれど、他社ではどうなのだろう」と使い方に悩み、他社の事例が気になる人も多いようです。

そんな中、注目を集めているのが「Adobe Marketo Engage User Group(ユーザー分科会)」です。これはアドビのMAツールである「Adobe Marketo Engage」のユーザーグループで、現在9つあり、それぞれ活発に活動しています。

ユーザー分科会にはどんな人が参加し、どんな活動をしているのか? 実態を4人のユーザー分科会リーダーに聞きました。前編では、マーケティング入門者向けの「Marketo Foundation(マルケトファンデーション)」、Adobe Marketo EngageとSalesforceとの連携を学ぶ「SFKETO(セフケト)」についてお伝えします。


入門者向け分科会「ファンデーション」とは?

まず最初に話を聞いたのは、ソフトバンクの竹之内彩歌(たけのうち・あやか)さん(法人マーケティング本部 マーケティング戦略統括部コミュニケーション部1課)。「Marketo Foundation分科会」(以下、ファンデーション)にて活動中です。

ソフトバンクへ入社してからマーケティングに関わるようになった竹之内さん。最初のうちは、専門書を読んだり、先輩社員が実際に作ったメールを見せてもらったりして、少しずつ知識を蓄えていました。その中で、Adobe Marketo Engageのユーザーが集まる総会であるMUG Dayに参加。続いてファンデーションの活動にも積極的に関わるようになっていきました。

ファンデーションは、Adobe Marketo Engageの初心者向けのユーザー分科会。参加者は先輩(2年目以降)の活用方法を学び、2年程度で基本的なマーケティングの計画や実行を担えるレベルになることを想定しています。

前職でイベントの司会やナレーションの仕事をしていた竹之内さん。人前に立つのに慣れていたこともあり、ファンデーションでは司会を担当する機会も多いそうですが、加えて、今では“知識のアウトプット”を意識していると言います。

「書籍などで得た知識を業務で活かすとは別に、それを『人前で話す、伝える』となると、整理して分かりやすくしなければいけません。ファンデーションでアウトプットするという作業が、自身の知識に対する理解を深めてくれます」

現在はファンデーションのリーダーとして企画も担当。例えば2023年11月には、効果的なメールの事例共有と、各社の作ったメール文面をユーザーが添削&議論する会を企画し、「大きな手応えを得た」と竹之内さんは振り返ります。

「ファンデーションに限らず、ユーザー分科会の会合はクローズドな場。参加者はお互いに『ここが良いよね』『ここは変えた方が良いね』と遠慮なくグループディスカッションできました。会合後、『社内確認だけでは気付かなかった』『自分では1番の出来だと思って送ったメールについて異なる視点をもらえた』などの参加者の声をいただきました。まさに、これがユーザー分科会に参加する意味だと思います」

ファンデーションの活動の様子> 

ファンデーションはマーケターの悩みを共感し合い、解決につなげる場

ファンデーションの会合は現在、おおむね3カ月に1回のペースで開催しています。場所は東京・竹芝のソフトバンクの会議室。毎回、20人程度が夕方に約2時間ほど集まって学び合い、終了後は別フロアに移動して交流会を行うのが恒例です。

門戸は広く、Adobe Marketo Engage導入直後から2年程度の企業の関係者、もしくはAdobe Marketo Engageの初心者であれば誰でも参加できます。

「最初から前に立って発表するなんてことはありません。4人のグループを作って、そこでディスカッションした内容を1人が発表することが多いですね。人前で話すのが苦手な人でも、あまり構えずに参加してほしいです」

竹之内さんはマーケターの仕事を始めたばかりの頃、先輩社員と共に参加したファンデーションで、Adobe Marketo Engageを使うにあたって必要なマーケティング基礎知識などを教えてもらったと振り返ります。

また竹之内さんはリモートワークの機会も多く、自宅で顧客向けメールマガジンの作成をする機会も多いそう。しかし1人での作業となるため、どうしても“答え合わせができないツラさ”にぶつかるときもあると言います。

「ファンデーションでは人に会って話すので、コミュニケーションする中で『ああ、これをやって良かったんだ』と答え合わせができるんです。自分の話す内容が、ほかの参加者の発見や成功につながる機会になると、本当に自信が持てます。自宅で1人メールを書いているときとは段違いの速度で自分が成長できていると感じますね」

「会に参加する皆は、Adobe Marketo Engageの使い方だけに限らず“マーケターとしての悩み”を抱えているはずです。それを共感し合うだけでなく、悩みの解決にまでつなげられるのが良いところ。仲間を作ることができる、それこそがユーザー分科会の本当の魅力ではないでしょうか」

竹之内さんの実感として、どんな会社でもデジタルマーケティングの人材は少なく、部署のメンバーがごく少数、場合によっては1人で全ての業務をこなすケースが珍しくないと言います。

「仕事内容を上司に相談しても、本当に正解なのかの確証が得られなくて、不安な状態の人は多いはず。実際、『ファンデーションでいろいろなことに気付けた』という声は参加者からも多いです。ひとりマーケターの方にこそ、ファンデーションなどユーザー分科会に来れば仲間がいるよと伝えたいですね」

Salesforce連携を徹底研究「SFKETO(セフケト)」

続いて話を聞いたのは、ウイングアーク1stの高岡美咲(たかおか・みさき)さん(マーケティング本部 Demand Generation部)。Adobe Marketo Engage利用歴は10年を超え、現在はAdobe Marketo Engageと外部システムの連携に関わる設計業務などにも深く携わっていますが、インサイドセールス立ち上げのタイミングでAdobe Marketo Engageの担当となった社会人3年目の頃は全くの初心者。何をして良いか分からないところからのスタートだったそうです。

「社内で聞ける人もいなくて困っていたところ、アドビのセールス担当者からMUG Dayの存在を教えてもらったのが、ユーザーコミュニティに参加するきっかけでした。そこから3〜4年経ったところでしたか、似たような悩みを抱えている人が多いと分かり、ユーザー分科会が発足していきました」

高岡さんが所属する分科会は「SFKETO(セフケト)」。CRM(顧客管理システム)ツール「Salesforce」と、Adobe Marketo Engageの連携についての情報共有がメインテーマで、会合は2カ月に1回のペースで開催しています。前述のファンデーションとは性格が異なり、社内でAdobe Marketo Engage、Salesforceのシステム管理者権限を持っている人のみ参加可能。その分、非常に濃い議論を展開しています。

高岡さんはSFKETO設立当時からのメンバーですが、その発足当初を振り返ると「本当に助かったことばかり」だと言います。会合では気になるプレゼンを行った参加者にはさらに質問を重ねて理解を深めていったそうです。ときには、相手方の会社にお邪魔して、設定の方法を本番環境で見せてもらったこともあったとか。

また、SFKETOはあくまでユーザーが中心となる会。それだけに、カタログスペックだけでは分からない、実地的・実践的なテクニックについても取り上げていると高岡さんは明かします。

「例えばAdobe Marketo Engageの『プログラムメンバーカスタムフィールド(PMCF)』という機能は、Salesforceの『キャンペーンメンバー』と連携するとすごく便利なんです。けれど、そういう具体的な使い方はヘルプなどに記載があるわけではなくて(笑) 。そうした便利な使い方をSFKETOメンバーが実際に試して『こんなこと、できたよ! みんなも使ってみて!』と参加者にプレゼンしています」

アドビの担当者とユーザーが一緒にAdobe Marketo Engageを盛り上げる場

SFKETOは設立6年目を迎えました。Adobe Marketo EngageないしSalesforceの管理権限を持っている人限定の会とはいえ、それでもやはり知識や経験の量は個人ごとに違うため、最近では事例紹介のパートを増やすなどして、参加しやすい環境作りを心がけているそうです。会合終了後には交流の時間も設けています。

「会合には、毎回20数名が参加してくれていて、それ以外にFacebookで非公開グループを作り、質問が書き込まれたら誰かが答える、ということもやっているんですよ。アドビに正式にサポートを依頼すると、徹底的に調べてくれるためどうしても返答に時間がかかったり、他社製品には言及できないケースがあったりします。一方、私たちはユーザーが集まる会。アイデアレベルでもすぐにリアクションがもらえるのは、ユーザーコミュニティの強みだと思います」

業務改革やツール導入にあたって、専門企業のコンサルティングを受けるのも1つの手段ですが、高岡さんは“ユーザー同士だからこそのイーブンな関係”に基づいた情報交換は、ユーザーサポートともコンサルティングともまた違った意義があるのではないか、と強調します。

「(SFKETOに限らず)アドビ製品のユーザーコミュニティは、ユーザーとアドビの担当者の距離が近いのも魅力。 SFKETOの会合にも、アドビの人が参加してくれます。どちらかが一方的にへりくだるようなこともなく、皆でAdobe Marketo Engageを盛り上げていこうという雰囲気作りがアドビは上手いですよね」

Adobe Marketo EngageとSalesforceの連携で困っているなら、ぜひSFKETOに参加してみてほしい。そうしないと時間がもったいない。高岡さんはそう話してくれました。

【後編に続く】


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