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出会いが運命を変え、愛が能力を引き出す Rags / Hero Dog of WWI より


前回の記事の続きです。

この本から受け取ったメッセージを綴ります。


出会いが運命を変え、愛が能力を引き出す


心に響くストーリーって

何層にも折り重なっていて

読むほどに様々な気付きを与えてくれるものだ
って思います。


最初に読んだ時は
ドノバンとラグスの間に生まれた友情と
それ故に、戦場でたくさんの活躍を見せた後

ドノバンと共に、戦火に身を投じて
仲間を助けて負傷して
ドノバンの最期までとことん付き添う姿に
ただ涙するばかりでした。


翻訳作業にとりかかって
再びじっくり読み込んでみると

ラグスが英雄の犬になれたのは
ドノバンとの出会いと
彼から注がれた愛ゆえだったのだなぁ
と、私の中でその点がクローズアップされてきました。


もちろん、フィクションとは言え
物語として多少は脚色されていると思いますが

そこはさておき、
このストーリーから感じ取ったことを
そのまま書きます。


ラグスが最初にドノバンに出会った時

彼はドノバンに足を踏まれて、
「痛かったか?」と聞かれます。

マッチで火を灯し、ちゃんと彼の顔を見て。

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天涯孤独の野良犬で
小汚いくしゃくしゃの毛に覆われて

人々からは相手にされず
邪魔者扱いされるばかりの人生


「人から抱き上げられるのは初めてだった。
なんて気持ちがいいんだろう。」

と書かれていましたが、

きちんと目を見て
そんな風に声をかけられたことさえ
初めての経験だったのでしょう。


これが、ラグスの運命を変えた出会いでした。


この出会いの瞬間は、
ラグスが初めて愛を感じた瞬間でもあり
きっと彼の心に
強く焼き付けられたのではないかと感じます。


ドノバンは、ラグスをただ哀れに思っただけではなく
外出証明を持たずに街に出て、警察に証明書を要求された時
ラグスがいてくれたからこそ、彼を使って上手な口実を作って
危機を逃れることができました。

だから、ドノバンはラグスをただ
「ラッキードッグ」と思って
基地に連れ帰ったのでしょう。

当時アメリカ軍には、軍用犬はいなかったようです。
だから、ドノバンは一切
犬に活躍してもらう期待なんてなかったでしょう。

例え軍に既に軍用犬がいたとしても
何の訓練も受けてない、ただの雑種の野良犬に
何が期待できるでしょうか。


ところが、ドノバンが何もしなくても
ラグスは勝手に戦場にやってきて、自分から仕事を見つけ出し、
どんどん役に立つことをやってくれます。

”僕は一人ぼっちで、怒鳴られ、石を投げつけられながら
ずっと、役立たずの厄介者扱いされながら
パリの路地裏で生き抜いてきたんだ。

ドノバンが一緒だったら、僕は戦場なんて恐くない。
ドノバンや兵士たちの役に立てるなら、何だってやるさ。”


前回の記事からの抜粋ですが、
この部分は、私が勝手に付け加えたものです。

ラグスは、心からドノバンに感謝して
ただ、その愛に駆り立てられたのでしょう。

だから、彼は最大限の能力が発揮できた。


もしドノバンに出会っていなかったら

ラグスは、パリの路地裏をさまよい続けて
のたれ死んでいたかもしれない。

誰にも気付かれず、本当にRags (ボロ切れ) みたいに
彼の死体は、カフェのゴミ捨て場に
捨てられていたかもしれない。


一期一会と四規七則


前回の記事を書いていたとき、
たまたま、千利休についての動画を見ていました。

このストーリーと、千利休が説いた一期一会の精神が
ふと重なったのです。

「あなたとこうして出会っているこの時間は、
二度と巡っては来ないたった一度きりのものです。
だから、この一瞬を大切に思い、
今出来る最高のおもてなしをしましょう。」


「これからも何度でも会うことはあるだろうが、
もしかしたら二度とは会えないかもしれない
という覚悟で人には接しなさい。」


彼らが共に過ごしたのは「戦場」でした。

いつ命を落としてもおかしくない
毎日が緊迫し、張り詰めた状況でした。

だから余計に、一日一日を精一杯、
自分にできるベストを尽くして貢献し
ドノバンと共に最高の、価値ある日々を過ごそうという

一期一会の精神だったのだと思います。


利休は、おもてなしの心得「四規七則」を説きました。

四規とは、「和敬清寂(わけいせいじゃく)」。

ここでは、詳しい解説は省きます。

七則とは、

一、茶は服のよきように点て
二、炭は湯の沸くように置き
三、花は野にあるように
四、夏は涼しく冬は暖かに
五、刻限は早めに
六、降らずとも傘の用意
七、相客に心せよ

というものです。

弟子が「茶の湯の極意を教えてください」と願ったとき
利休はこの七則を答えたそうです。

七則の内容が、いたって普通のことだっため
「そんなことは誰でも知っている」と言うと

「普通のことが、一番難しいのです。」
と返されたそうです。

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自分自身に置き換えてみると


私の人生で、運命を変えてくれた出会いは
やはり今の夫だと思います。

夫と出合った頃の私は
自分に自信がなくて、臆病で、英語もまだまだで

人生初の、海外での無給インターンシップの生活に
四苦八苦していました。

彼は、いつも気にかけてくれ
進んで助けにきてくれ
いつも温かく包み込んでくれました。


日本を離れてニューヨークに住むことになり
かわいい息子も授かり
日本にいた時には想像もつかなかった人生を歩んでいます。


結婚して10年以上の年月が過ぎた今、
性格や価値観が真逆の私たちは

何度もぶつかっては和解する、ということを
さんざん繰り返してきました。

毎日一緒にいることが
当たり前になりすぎてしまって

「亭主元気で留守がいい」

という思いに、ついつい陥ってしまいがちです。


私たちは、戦場で暮らしているわけではありません。

特殊な状況下で、緊迫した中で、
ドラマチックな出来事なんて
そうそう起こるものではありません。

でもお互い、明日、いや一時間後でさえ
何があるかわからないし、
いつ死んだっておかしくないのです。


”危機が訪れて初めて、相手の大切さがわかった”

みたいな話はよく聞きます。


でも、危機が訪れないと相手を大事にできないなんて
よく考えると、何事もない時は

とても残念な日々を送っている

ということになりませんか?

そんなの、悲しすぎる。
(自分で自分に言い聞かせています (汗・・・)


だからこそ、普通の日々の中でこそ
感動を起こすような、相手を思う心を常に持ち
そのような行いをすること。

確かにそれは、とても難しいことだと思います。

毎日一緒にいる、一番大切な人なのに
最も邪険に扱ってしまいがちです。



だから、改めて、これからは
一期一会の精神を心に留めて

夫婦で、ラグスとドノバンのような毎日を
過ごしていきたい、と思いました。

(うわーーー、チャレンジ!!でもがんばります!)

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最後までお読みくださり、ありがとうございます。


あなたの毎日が、あたたかな光に包まれて
良い氣に満ちて過ごせますように。

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