難民としてトルコへ、苦しんでいる人を助けたいという少年の祈りから、マインドフルネスへーAmir Imani氏インタビュー（2023年6月）②

MBSR講師であり、講師養成講座のトレーナーでもある、Amir Imani先生に、インタビューをさせていただきました。
Amir先生は、イランで生まれ育ち、大家族で生活する中で他者へのコンパッションを自然と学びます。そして、政情不安のイランから、難民としてトルコを経由してカナダへ渡り、カウンセリングを学び、大学院を卒業します。その後、ヴィッパーサナ瞑想に出会い、それを生涯探求していきたいと決意し、マインドフルネスストレス低減法（MBSR）に出会います。
開発者であるJon Kabat-Zinn博士に学び、その存在に触れ、マインドフルネス講師としての道を歩んできました。
そして、マインドフルネスに大切なプレゼンス（今・ここにある）の力とは何か。それには意図やつながりが大事であると言います。
そして、世界中でマインドフルネスを伝える多忙な生活のなかで、個人や家族との生活をどう統合していくのか。

インタビューの内容は以下になります。

第１章 少年時代のことー大家族の中でコンパッションの基礎を育む
第２章 難民としてトルコへ、苦しんでいる人を助けたいという少年の祈りから、マインドフルネスへ
第３章 鬱を経験し、人生の困難と上手に関わる方法を体験的に学ぶ、マインドフルネスの道へ
第４章 マインドフルネスを教えることは、愛するものに惹きつけられ、自然とシェアするような時間
第５章 ジョン・カバット・ジン博士との出会い ー そのプレゼンスを通じて学んだマインドフルネスの本質
第６章 マインドフルネスで養われるプレゼンス（今・ここにある）の力

前回分はこちらより。

今回は、「第２章 イランからカナダへー難民としてトルコへ渡り、苦しみを抱えている人を助けたいという祈りからマインドフルネスへ」をお届けいたします。

ーーーイランで生まれ育ち、後にカナダに移住してトロントの大学で心理カウンセリングを学ばれています。どのような経緯でカナダに行かれたのでしょうか。

Amir
素晴らしい質問をありがとうございます。

私の人生を振り返るとき、自分の人生のピースをパズルのように一つ一つ組み合わせているように感じます。少しずつ、自分の人生がどのように展開してきたか、子供や青年時代のことが今の自分にどのように関係しているかを見つけ出しているようです。

現在の私は、私の子供時代と青年期の結果であり、それら全てが絡み合っています。そして、それが私たちが人生の次のステージに進む方法を決定します。

私はイランで生まれ育ちました。私が育った頃、イランは政治的に緊張が高まっていた場所でした。

そのような状況の中、夢に満ちた若者であった私に、カナダに住む義兄からハガキが送られてきて、そこから大きな夢を描くようになりました。義兄はカナダで医師として学んでいるところでした。彼が送ってくれたハガキには美しいカナダの自然の写真などが載っていました。

若者であった私は、自分の夢を追求し、成長できる環境を求め始めました。そして、夢を見て、祈ることが私を支えていました。カナダの風景のカードが一ヶ月に一度私の郵便箱に届く度に、私は大きな夢を見て、カナダでの未来を想像し始めました。

一般的に、15歳のイランの少年がカナダに行くのは現実的ではありませんが、当時の私の状況を考えると、それは本当に非現実的な夢でした。
しかし、私はそれらの夢と祈りが私を前進させ、最終的にはカナダへ移住する道が開かれたと感じています。

それは旅行代理店に行ってチケットを買い、トロントに飛ぶほど単純なことではありませんでした。当時の政治の状況から、私がしなければならなかったことは、命を賭けて山を越えてトルコに出国することでした。私は若く、難民の少年として、トルコに辿り着くために2週間歩きました。

その後、私はスウェーデンに行きました。今日でも、私はアフガニスタン、イラン、シリアからの難民が大きなリスクを冒して国を離れる話をよく耳にします。彼らは大きな危険を冒して自国を離れます。40年前、私もまた戦争を逃れて明るい未来を夢見る若者でした。文字通り、私は道を踏み出してトルコに向かいました。

私は自分の道が開けることを望み、深く祈りました。その結果、数年後にはカナダにいました。そして今、私は大好きなことをしています。それこそが、マインドフルネスを教えることです。

振り返ると、心臓の痛みに苦しむ母の世話をしていたとき、私は深く祈っていました。文字通り、祈っていました。その経験のために、私は毎晩この思いで眠りにつきました。「私は苦しんでいる人々を助ける人になりたい。苦しみの中にいる人々を助ける人になりたい」と。

そして今、私は苦しみを抱えている人々にマインドフルネスを教えています。あれから40年以上が経ちました。

第３章　鬱を経験し、人生の困難と上手に関わる方法を体験的に学ぶ、マインドフルネスの道へ　は以下より

＊＊＊＊＊