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第6章 マインドフルネスで養われるプレゼンス(今・ここにある)の力 ー Amir Imani氏インタビュー(2023年6月)⑥

MBSR講師であり、講師養成講座のトレーナーでもある、Amir Imani先生に、インタビューをさせていただきました。
Amir先生は、イランで生まれ育ち、大家族で生活する中で他者へのコンパッションを自然と学びます。そして、政情不安のイランから、難民としてトルコを経由してカナダへ渡り、カウンセリングを学び、大学院を卒業します。その後、ヴィッパーサナ瞑想に出会い、それを生涯探求していきたいと決意し、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)に出会います。
開発者であるJon Kabat-Zinn博士に学び、その存在に触れ、マインドフルネス講師としての道を歩んできました。
そして、マインドフルネスに大切なプレゼンス(今・ここにある)の力とは何か。それには意図やつながりが大事であると言います。
そして、世界中でマインドフルネスを伝える多忙な生活のなかで、個人や家族との生活をどう統合していくのか。

インタビューの内容は以下になります。

第1章 少年時代のことー大家族の中でコンパッションの基礎を育む
第2章 難民としてトルコへ、苦しんでいる人を助けたいという少年の祈りから、マインドフルネスへ
第3章 鬱を経験し、人生の困難と上手に関わる方法を体験的に学ぶ、マインドフルネスの道へ
第4章 マインドフルネスを教えることは、愛するものに惹きつけられ、自然とシェアするような時間
第5章 ジョン・カバット・ジン博士との出会い ー そのプレゼンス
を通じて学んだマインドフルネスの本質

第6章 マインドフルネスで養われるプレゼンス(今・ここにある)の力

前回分はこちらより。

ーーー前回、ジョン・カバット・ジン博士との出会い、そこで博士のあり方に感銘を受けられたということでした。それは、マインドフルネスの体現であり、「プレゼンス」という言葉で表現されるものだと思います。
プレゼンスとはどのようなものでしょうか。それが現代に生きるわたしたちに重要な理由は何ですか。

Amir

プレゼンスとは、ここに、今、あることです。だから私はそれが好きです。それは力です。現在の瞬間に留まることに注意を払うとき、大きな可能性が生まれることを感じます。なぜなら、私があなたと、または他の人と会話をする時、自分の心と、自分の体と、あなたの存在と、コンタクトをとっていることが重要だと私は信じているからです。

例えば、ここで、過去1時間に起こったことを感じるために、数秒間、立ち止まってみましょう。そして、「ここで何が起こっているのか」と自分自身に問いかけてみます。

それがプレゼンスの力です。
それは他人とつながる可能性です。もし私たちが他人と、そして自分自身と、話を聴く意志があれば、私たちはここで何が起こっているかに気づくでしょう。

私たちが必要としているのは、本当に自分自身の中に戻り、この数分間の会話によって私たちの心に何が起きたかを感じることだと思います。
それがプレゼンスの力です。

私たちは皆、プレゼンスというものが何かを知っているのです。

つまり、だれでも、意志次第で、その瞬間を素晴らしいものにすることができるのです。これは心理学的には「意図」と呼ばれます。私たちは意図を持っています。

例えば、「今日は子供たちと時間を過ごす」という意図を持つかもしれません。それが、あなたが親として「子供たちと質の高い時間を過ごす」と決めたなら、あなたは未来の心配を忘れて目の前の子供たちと一緒にいることに注意を向け、彼らと時間を過ごすでしょう。
そうでなければ、あなたはずっと他のことを考えていて、子供を育てることの本当の意味を味わうことができないかもしれません。

その瞬間、そのつながりの瞬間には、無限の可能性があります。最近、私たちは家族でヒマラヤへ行きました。そこでは、森の美しさ、山々、せせらぎ、鳥のさえずり、木の実を一瞬一瞬で満喫しました。

私たちは通常の生活、学校や仕事を忘れてしまいました。その結果、私たちはとても元気を取り戻すことができました。

ジョン・カバット・ジン博士は言っていました、「物事を難しくする必要はありません。ただ存在するだけです。存在するとは、シャワーを浴びているときにシャワーを浴びること、コーヒーを飲んでいるときにコーヒーを飲むことを意味します。それを一瞬一瞬に実践します。それが私たちが人生に立ち向かう方法です。」と。

ーーー世界を旅しながら忙しい生活の中でマインドフルネスを教えています。同時に子供たちの世話をしたり、彼らと時間を過ごしたり、先日はご家族でヒマラヤに行ったとお聞きしました。仕事と個人的な生活をどのようにバランスを取られていますか。

ありがとうございます。質問いただくと、これまで考えたことがないことを考えるきっかけになります。
シンプルにお答えすると、それは私の個人的な実践から生まれます。

私は時々横になる時間を取って、今やっているように考えるようにしています。それは考えるというよりは、感じるといったほうが近いと思います。こういった時間を過ごすことで、当初考えていた計画が変わることがあります。それはギアを変えるとも言えます。例えば、ある時点で2ヶ月間の出張に行くことを決めていたけれど、現状を見直して、1ヶ月間にするのが良いと判断するかもしれません。あなたが座って静かな時間を持つと、そういったことは自然にあなたに降りてきます。

今、あなたの人生で何が重要なのか。何が重要で、何が優先順位であるかは時々変わります。私たちが座って、時間を作り、問いかけるときことによってのみ、私たちはそれを知ることができます。

その状態に至るためには、私たちは止まり、感じ、繋がる努力をする必要があります。私はそれを毎日行っています。自分自身に深く耳を傾ける時間を取ることは、人生に大きなさぽーとになるでしょう。心の声は、私たちにとって何が重要であるかを示し、私たちを健康、幸福へと一歩ずつ引き寄せます。

最後までご覧いただきありがとうございます。一緒にマインドフルネスを深めていきましょう。お気軽にご連絡下さい!