キャッチャー・イン・ザ・ライ【ライ麦畑でつかまえて】

中学生の頃に野崎孝訳を読んだ事はある。

名作を振り返るのも良いだろうと思い購入。

村上春樹が翻訳して数年前に話題になっていたのも知ってる。

そっちも気になったので両方買った。大人になるって素晴らしい。

ライ麦畑でつかまえてなどと言うタイトルだから

ラブコメを想像するだろう?


全然違う。中二病の主人公が大人に対して納得がいかない

いらだちを抱えながらも自身も子供ではなくなっている時期の

ま、日常譚である。

友人を見下してるくせに自分自身は何もない、、という事を認めたくないやりとりや

人を小ばかにしたり妹には素が出てオタオタしたり

教師と対話をしたり女の子とデートをしたりって話だ。

かっこつけてる童貞みたいな雰囲気がめちゃくちゃ面白い。

詳しいあらすじは勝手に調べてくれ。


今回に関しては野崎訳と村上訳を読んで感じたことを聞いてもらおう。

本を日頃から読んでいて割と純文学や古い時代の物も楽しめる文学人ならば

野崎訳をオススメする。

訳された時代の言葉のチョイスやテンポなどが心地よい。

緊迫した空気や人を小ばかにしたのであろうな、、っと目星をつけて

読み進める楽しさがある。

原文は読んでないから知らんが物語が進むにつれどんどん加速していくように感じた。主人公が素直な子供な部分と醜悪な大人の部分が合い混じる描写は舌を巻くほどによくできている。

読後には名作と言われるだけはあるな。と納得ができる噛みしめて甘い読後だった。

しかし、やはり現代小説ばかり読んでいる層や読書と言うものに慣れていない人には勧めにくい本である。

ガンダムファーストくらいはとっつきにくいと思う。


それにくらべると村上訳は多分、野崎訳が読みにくい、、挫折した、、

って層もめっちゃ購入したであろうな。

完全に現代小説と化していた。読みやすい。すいすい読める。


しかし!!!!だ。いやこれは私の主観だが

完全に村上春樹の小説になってしまっているのだ。

いつ乗っ取られた?( ^ω^)・・・

村上春樹節が強すぎる。

読んでて『お前どんだけ自己中なんだよ』と村上春樹氏に言いたくなったくらいは空気感が違う。

空気感が全然違うから物語は一緒なのに読後に思い出したのは1Q84の読後感だった。

面白かった、、?うん。うーーん。面白かった。。うん、。うんうん。

って感じ。


あくまで私の主観なので村上訳が至高!!野崎など過去の人だ!!っと言う人もいるだろう。怒らないでくれ。


私の結論は物語は一緒だから村上訳を読んでさらってから野崎訳に挑戦してみてくれ!!!って感じだ。


あと村上春樹の書く文章がどうしても苦手!!って人は読めない。残念。


最後に一説を引用しよう。

『未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある。』ー野崎訳

『未成熟なるもののしるしとは、大義のために高貴なる死を求めることだ。その一方で、成熟したもののしるしとは、大義のために卑しく生きる事を求めることだ』ー村上訳


このくらい空気感が違う。

文句を沢山いったが名作は名作である。是非読んだことのない人はいつか読んでみたまえ。映画のスタンドバイミー感があるぞ。


ここからは余談だ。


題名にある

ライ麦畑でつかまえて The Catcher in the Rye

の元ネタはライ麦畑で出会ったら(ライ麦畑を通って)Comin Thro' The Ryeと言う歌なのである。

メロディはみな聞いたことがあるだろう。


ライ麦畑は背が高くて密集しているから中に入ってしまうと見えづらいから

子供達は追いかけっこをして、若者はいちゃいちゃして、

父親は娘と秘密の約束をする。

映画や小説で言うとそんなイメージ。

元ネタは忘れたがライ麦畑に二人で入るってことはセックスをすることなんだ!!っていう物語があって衝撃だったなぁ。


だれかさんとだれかさんがむーぎばーたけー♪




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