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あなたは、誰かの大切な人 原田マハ


セクションカバー

まずこの特別版のカバー。
クリムトの接吻。最高だろ。

原田マハの小説は美術で流れていく。
しかしクリムトの吸引力はすごい。
ジャケ買いと言っても過言ではない。

成熟した女性を軸にした短編集。
全6篇。

恋愛や結婚と言う選択肢を選ばなかった(重視しなかった)彼女ら。

孤独と愛は同じように優しい。
それが分かるのは自分を愛せる歳になるからだろう。
生き方の多様化が進み、自由に生きる事を認められた代償に孤独が付いてきた。

この時代に孤独を愛し、人は一人である、
という事を認められれば
自分を愛せるはずだ。

さすれば孤独なまま愛する人を大切にできるだろう。

文章にするとまったく矛盾が生じているがそんな物語たちだ。

私はこの中で一遍がぶっ刺さり電車の中で読みながら涙が溢れた。

原田マハの小説は外国と美術がよく流れてくる。

なのになぜこんなにも追体験が出来るのだろう。
なぜ瑞々しく入ってくるのだろう。

その一遍は言わば『母親の味』の話だ。

旧約聖書にあるモーセの予言の書にある
神が人類に贈りし食物『マナ』。

この『マナ』は『大地』や『愛』などにあらわせられる事もあるが『マナ』。

その話をイスラムの人が話しているのもまた自然でとても良い。

お守りになるような私を守ってくれるような食物はなんだろう。

やはり母親の味なのだろうか。

頭に浮かんだのは

デカいシャケのおにぎり。
甘いおかかのおにぎり。

マナっぽい。


私の母親は全然存命でピンピンしてるし会いに行けばおにぎりくらいたやすく食べれる。

がしかし、食べれなくなる日が来る。

そして、私を今でも守ってくれてる食物はおにぎりなのかなぁ。などとふいに思ってしまった。


神との誓いは食べる事、愛すること、

それを人に伝えること共有すること。


いつか私も話したい。私の母のおにぎりの話を。


誰かの『マナ』であるシガラボレイ。

近いうちに食べに行こう。


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