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紅クラゲの午睡 22.

第1話から読む

時、場所不明(待機)

あの真っ白な閃光を見てから、何度目かの目覚めだ。
私は、遠い昔、保育所に預けられていた時のことを思い出す。
微かな記憶。
昼ご飯を食べて、所庭で遊んだり、部屋の中で絵本を読んだりしたあと、必ずお昼寝の時間があった。
眠くないのに。まだまだ遊んでいたいのに。

おかまいなしに先生は私達を寝かしつけた。
眠くなかったはずなのに、まだまだ遊んでいたかったはずなのに。
タオルケットの上から、先生に軽くトントンしてもらっていると、いつの間にか寝てしまっていた。
そして、目が覚める。

あの時の感覚。今それを味わっている。

ここはどこ?。
私は誰だっけ?
眠る前に何をやっていたんだっけ?
何もわからない。
でも、確かなことがいくつかある。

ここは、安全な場所だということ。
ここは、守られている。大きな愛によって。

そしてもう一つ。
私にとって、すごく大切な命が私とともにある、ということ。

コツン。

その命の玉が私にぶつかる。
まるで、忘れないでって言っているように。
まるで、不安な気持ちを私に受け取って欲しいように。

大丈夫。
君の玉の中に、明るく真っ赤なハートが見えている。
ぼくのも、見えるだろう?

もうすぐなんだ。
きっと、もうすぐなんだ。

君がしたのと同じように、コツンと君の玉に軽くぶつかり、
それを伝える。

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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