人を殺さなかった世界線2(己の過去の実話×アンチヒーロー感想)

詳細は前回の記事にて。
https://note.com/minasokononaka/n/n4c16639c0352?sub_rt=share_pw
 

私は裁きたかったのかもしれない。
誰にも罰せられず、逃げられたと思って。
でも、私はそれだと伊達原の様に行き過ぎた正義によってアイツの家族の未来を壊していたかもしれない。

見たこともない、あったことも無い家族。情はないけれど家族にもアイツは同じ事をしてきたんだろうか。

でもそれなら、尚更許される事じゃないか?
緋山さんは社長を殺めていた。羽木社長の奥さんと湊くんに手紙を書き始める所で彼のシーンは終わったけれど、彼を受け入れてくれる場所が数年後にある事を切に願う。
私は「人殺し」にならなくて良かったと思う。
でも、それでも。私はアイツに罪を受け入れて欲しかった。

「父親ぶるなよ」
私が唯一、こう言った直後に軽く突き飛ばされた時が一度あった。アイツにとって、家庭内で上手くいっていない事が何よりコンプレックスだったのは子供の私でも分かっている。

不思議だったのは、アイツは私には手を出さなかった事。ほんの少しだけ突っかかってきた事はあったけれど私にだって力でねじ伏せることは出来た筈なのに。
父親ではいたいアイツの良心だったんだろうか。
いや、そんな物があっても結果的に私は一度壊れかけたんだ。
今更そんな事はどうだっていい。

最後の明墨先生の「貴方は本当に人、殺したんですか?」と問いかけてくるシーン。 

私だったらどう答える?
15歳の私へ。アイツをもしあのまま、殺していたら?
15歳の私へ。罪を認め、世間ではバッシングを受けながらも少年法で守られつつ更生する為の様々な支援を受けてまた世の中に出ていられますか?
もし何かの間違いで「無罪」と判決を受けてもそれを受け入れられるのだろうか? 

今でもわからない、何があの時正しかったのか。
それでも。沢山の選択と己の正義のおかげで私はここにいる。

「アンチヒーロー」という作品に出会えた。
今は、その事実だけでいい。
今日もスナックサンドブラックカレーが美味しい。ここ2週間、ほぼ毎日食べている。
そんな些細な幸せが、私にとってはあの時欲しかった。

どちらにせよ私はただ、母と「2人で頑張りたかった」だけなんだよ。
さぁ、悪いのは誰になる?
それはもう考える必要はない。
それでも…

私は今こうして生きているのだから、少しでも誰かの光になれればいいや。
見える人がいてくれるなら、僅かでも光り続ける。

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