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自分で学ぶって・・・、どうやって? ーー学問とソーシャルワークと生きることとにある学びとしての共通点

大学では、自分から学んでいかないと、高校までのように学校があれこれ用意してはくれない、といったことをよく耳にします。けど、自分で学ぶってどうやって? っとなる人もいるのではないでしょうか。

最近は、大学もオリエンテーションなどいろいろしてくれるようになってきているし、「アカデミックスキル」のような科目も用意してくれてはいます。ネットでも、けっこう情報は出ているようです。

ただ、少し大学内の講義を受ける心構えとか、どう単位をとって卒業するか、という内容によっているようにも感じます。(僕も、ここ最近はそういう趣旨の投稿ばかりしてますが😅)

なので、もう少し広げた、どう学んでいくかについて書いてみたいなとおもいました。

大学となれば、ましてや通信制を利用するとなれば、学びは半分、独学のようなものです。だからこそ、学校という枠組みの外で学んでいる人の方法を参考に、その自由度を活かせば、単に知識を得る以上のものを得ることができるとおもうのです。


社会人の自己研鑽から

 ー 横山さんの自己研鑽。ソーシャルワーカーの場合。

書いてみたいなと思っていたものの、参考にするものをあさっていたら、すでにドンピシャな記事があるのを見つけてしまったので、(また)その記事を紹介しながら、自分の意見を少し言うというスタイルになってしまいます🙇‍♂️

横山さんはソーシャルワーカーで、またワーカーの養成やソーシャルアクション(当事者や現場の声をまとめて政策提言するetc.)の活動をしているNPO法人Social Change Agencyの代表もされている方です。
僕も参加させていただいているワーカー同士の交流や学び合いのオンラインプラットフォーム『SWallow』も開いてくださっています。

上のnoteは、その横山さんが、どのように自己研鑽しているかをまとめて公開してくれているものです。

僕も一度は読んでいたはずなのですが、あらためて読み返して、
まさに、学問とか大学の学びと同じだ!と感じ、シェアしたいと思いました。
(一応、許可いただいてます😅)

 ー 見聞きし、読み、対話する。そこに通じて大切なこと。

横山さんのnoteでの、「研修」を「大学の講義」、「職場での上司」を「教授・教員」、「職場外」や「学会等」を「noteや学びのグループ(コミュニティ)」と読み替えてもらえば、どんなことを意識しておけば良いかのヒントを含め、ほんとうに学問と同じだとおもいます。

僕にもソーシャルワーカーを目指している身としての想いがあるのかもしれません。だけど、他の仕事(職業としてでなくても)をして、研鑽しようとしている人でも、やっぱり同じことがいえるんじゃないかなとも。

学問でも、どの仕事での自己研鑽でも、僕が共通すると感じ、とくに強調しておきたいのは次の一節です。

“ソーシャルワーカーとして学ぶ上で、全てにおいて、「自分に不足している分野・領域、知識や技術」に自覚的であることが大切だと私は考えます“

(横山,note,2016)

“自分が有している知識・技術等のマップをつくることもおススメです”

(横山,note,2016)

二節でした😅

学問をしている人、福祉をしている人、ビジネスをしてる人、それぞれですが、ひとはその生活のなかで課題や疑問に出会い、「これを解決するために、自分に足りないものがある」と感じたとき、学ぶのではないでしょうか。そして、生活はどんな立場の人でもしていることです。

収入増や将来の保険としてだけでは、勉強をこなすことはできても、学ぶことはできない。と、僕はおもいます。「知りたい」「これができるようになりたい」「これを解決できるようになりたい」。そういった思いがあるこそ、学べるのではないでしょうか。

そういった思いを意識することが、問いや気づきを生みだし、学びを深くしてくれます。それを意識しやすくしてくれるツールが、“知識・技術等のマップ“というわけです。


 ー 大学は学びの道具の一つ。実践と振り返りを行き来する。

ちょっと話がそれますが、
教育学のレポートにとりくむ際に、「『社会人の学び直し』が注目されているが何故なのか?」というのを考えたことがあります。

学び「直す」というだけあって、「社会人の学び直し」を選ぶひとには、すでに4年制大学の学位を持っている人も少なくありません。僕もそうです。何故また大学で学びたいと思うのか、元の学位をとるときに学べていなかったのか。

ひとそれぞれではあると思いますが、あの頃の僕には自分が何ができるようになりたいのか、そのために何が足りないのかが分かってなかったように感じます。

社会人は、仕事などの「実践」の中で自分の足りないものに気づく、だから学び直しを考える。実践を振り返るからこそ、足りないものを知り、学ぶことができるようになる。のではないかと考えました。

ただ、加えて言っておきたいこともあります。

じゃあ、社会未経験だから気づけなかったのか。「実践」していることがなかったからか。一度は社会にでないと人は学べないのか。

これは違うと思っています。

社会人と呼ばれてなくても、何も「実践」していない人はいません。

仕事であれ、生活の中であれ、誰でも何かしら挑戦していたり、人との関係に悩んだりしています。

ただ、20代で学生をしていた、あの頃の僕は、自分のやってることを「振り返る」方法を知らず、何が足りないのか考えることができていませんでした。

つまり、何も実践していなかったからではなく、横山さんのいうところのマップを持っていなかった。のちにマップをつくる方法を知り、振り返ることをおぼえ、自分の不足を「自分のもの」にできたから、学びたい気持ちがふくらんでいったのだとおもいます。

今10代20代のひとで、もし、「大学での学びが何の役に立つのか」と悩んでいる方がいらっしゃったら、横山さんのいうところの“マップ“を持つことが、何かひとつの答え・・とまではいかなくても、ヒントを得るきっかけにはなると思います。


学生にとっての、「職場外」「学会等」「記録」

読み替えれば学問と同じとは書きましたが、「学生にそんなのある?」と思われる部分もあるかもしれないので、すこし補足的なことも書かせてもらいます。


 ー「職場外」「学会等」・・・「学びのグループ」に参加しよう

通信制大学は、学内でのつながりが希薄になりがちであることは確かです。しかし、それは学校の外でうける刺激に気づきやすい環境であるともいえます。

そして、「外でうける刺激」は、通信制でなくても、また大学でなくても、「学び」には必須のことなんじゃないでしょうか。ソーシャルワークでは、アドバイスや助言をすることを避け、振り返りを促せるようスーパービジョンと呼んで、技術として体系化されたりしていますが、多様な考えから刺激を受けて自分を振り返ることは何かの専門分野の中だけで大切なのではありません。

ここでは、僕は自分のグループを呼びかけているものなので、小見出しには「グループに参加しよう」とさせていただきましたが、もちろんグループという形でなくてもよいです。

その人に合う「場」というのは、それぞれです。グループの趣旨や雰囲気というだけでなく、オープンな場がよい人、少人数だったりすこしクローズな場がよい人、対面がよい人、オンラインでもWeb会議くらいはしたい人、文字でのやり取りが落ち着く人。自分に合うかというだけでなく、複数の「場」を持っておくこともよいことだと思います。

それは、学会やグループという形のものだけではありません。

大切なのは、学んだことをアウトプットでき、他の人(教員とか同窓生だけでなく)のアウトプットから刺激をうけ、それらを振り返ることができることなのです。その意味では、このnoteやSNSも充分に学びの場になります。関連のある分野のボランティア活動やサークルもよいでしょう(ただ経験上、利害とかがない方が発信とかしやすいし反応もわかりやすいです)。


 ー「逐語録」「援助記録」・・・生活(実践)も記録しよう

これらも福祉や医療のような仕事をしていないと聞きなれない単語だとは思いますが、早い話、学んでることと生活の中での体験を結びつけたり意識して日記つけるとよいよ、ということです(毎日つづけなくても良いですが)。

それこそ、noteやSNSでいいじゃん!って話になりそうですが、まだ考えがまとまってない話や“炎上“のようなトラブルがちらついて躊躇してしまうこともあるかと思います。炎上はともかく、ことによっては誰かを傷つけたり、発信しない方が良いことも実際あります。

ただ、のちに振り返ればその中に大事な“気づき“が含まれていたりすることもあります。それがたとえ、ダイレクトには発信しない方が良い内容のことであっても。

なのでオススメとしては、ひとに見せない個人の日記(記録)→ある程度クローズな場→noteやSNSというように段階を踏んだほうがよいんじゃないかなと考えています。

ともあれ、大学での学びでも、講義と試験を受けて単位をとってそれで終わりにしないためにも、実生活のなかでの気づきもそのままにするのはもったいないので、自分に合った方法で記録しておくのは大切だと思います。


“問いを立てる力を鍛え、考える材料を増やす“

この部分については、あえて僕がのっかて書くことではないかもしれませんが、学ぶことの本質だと思います。ソーシャルワークでも、学問においても、仕事や生活のなかでひとと関わっていくことにおいても。

通信制を含め大学で学ぶこと。大学でなくても“学ぶ“こと。その根っこの価値は、考える力を鍛えるトレーニングだと思います。

もちろん、学位をとって自ら格差や困難を乗り越えること、専門知識をえてビジネスに活かすことも素晴らしいことです。ただ、それらを目的とする人にも共通して、「問いを立て、考える力を身につける」ことは学問をやる意義といえると思います。学位や専門知識がいらないとかではなく、もれなくプラスαとして身につくものとしての意義です。

これは、「ビジネスに直結しない知識に意味ある?」とか「ブランド力のない通信制って意味ある?」といった声に対する、僕の根拠のない反論なのかもしれません。でも、僕が「学問って面白いよ。通信制大学って使える制度だよ」といい続ける根っこになっている価値なのだと思います。


学びのポートフォリオ

また自分の想い語りになってきてしまったので、最後にTips的な部分を。

「学びのポートフォリオ」とは、最初に紹介した“自分の有する知識・技術等のマップ“のことです。自らの不足をしることは学びや成長に不可欠なことですが、「自分にはこれが足りない」ばかりを考えていると、やっぱりしんどくなります。

そこで、まず『「目標」と「何を学んできたか」を可視化して、振り返りやすくしておこう』という提案です。(といってもオリジナルのTipsではないですが)

まとめると、

○「目標」を1枚の紙に可視化する
○「学んだこと」「その他の記録」を残していく
○ 以上のものを同じファイルで保存する(分冊になるのは可)

参考;鈴木(2019)「ポートフォリオで未来の教育 次世代の教育者・指導者のテキスト」


ここでの目標は、言葉で表現できていれば『仮』のもので構いません。横山さんのnoteはソーシャルワークを身につけたいという共通の目標をもった人たちへ向けたものになるのではっきりしてますが、大学で学ぶというなかでは、一つの目標それ以外ないというのはかえってもったいなく、むしろ、目標を創成していくらいの方がよいのかもしれません。

ただ、言葉(図でもよいですが)にしておく方が、変更もしやすくなります。学んだ新しい知識から、目標が変わっていくことは、かえって歓迎すべきことだと思います。自身を振り返られているからこそともいえるでしょう。

「学んだこと」も、成績表などだけでなく、少なくとも提出したレポートのコピー、できれば使用しなかったものを含めた文献リストや、まとめメモもファイルしていく方がおすすめです。「その他の記録」というのは、「逐語録」「援助記録」のとこで書いていた日記(記録)などです。

横山さんは、金融資産の組み合わせ(リスクや偏りを把握する)の方のポートフォリオに例えられていますが、学生にとってはアートやデザインを仕事にする人が自分の実績をクライアントに説明するために用意している作品集の方のような意味もあるかなと思います。

もちろん、就職の採用面接官がそんなファイルを読んでくれることはありませんが、何を学んできたのか、どう学んできたのかを説明できることは重要です。特に通信制大学などオルタティブなイメージを持たれる学び方を選んだ場合は、「なぜ?」と答えを求められることが多くなるでしょう。逆に、振り返る方法を身につけ、「なぜ?」の答えを考え続けてきたひとが、説明できるようになっているのなら、それはまさに強みです。

学びのグループ(コミュニティ)に参加している人であれば、そのポートフォリオを作っていくことで互いに伴走しあえれば、それが学びにとっての「スーパービジョン」にもなるでしょう。


最後に、

がっつり引用(というには内容の主従的にアレですが)させていただいた謝辞にかえて、横山さんというかSocal  Change Agency で主催いただいているオンランプラットフォーム「SWallow」を紹介させてください。

「SWallow」では、ソーシャルワーカー、対人援助職、興味関心のある人が集まって、情報や研鑽、気持ち的なものを分かち合うオンラインプラットフォームになっています。

「ソーシャルワーク」や「福祉」「社会変革」をキーワードに集まっていますが、実名で参加でき本人として確認できる人であれば、保有資格や所属の有無は問われません。

人や社会と真剣に向き合いたい、関わりたいと考える人であれば得るもののある場になっているとおもいます。

ご興味をもたれた方には、ぜひリンク先の方もご覧いただければうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


参考・引用文献

Hokuto Yokoyama(2016)『ソーシャルワーカーとして自己研鑽するための方法論/トレーニングについて』note,最終閲覧2022/9/11,

鈴木敏恵(2019)『ポートフォリオで未来の教育 ー次世代の教育者・指導者のテキスト』日本看護協会出版会.


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