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【ゲームレビュー】「Spider-man miles morales スパイダーマン マイルズモラレス」

任天堂のゲームキューブが、それまでわき役だったルイージが主人公の「ルイージマンション」で始まったのは、「一投目からスローカーブ!?」みたいな驚きだった。

その前に「ヨッシーのクッキー」で、乗り物にされて崖から落ちる使い捨てみたいな恐竜ですら主役になってるのに、ゲームファンはルイージが主役になることで驚いた。

「スパイダーマン マイルス・モラレス」がプレイステーション5と同時に出た。主人公は黒人少年マイルス。前作でスパイダーマンの弟子みたいに登場して、エンディングで今後は彼も活躍する日がくる・・・という空気は出していたけど、本当にお前いけるの?大丈夫か?新ハードの目玉で、お前がコケたらソニーがこける、ぐらいの、新人ヒーローにはけっこうな重荷だぞ?

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ファミコン時代。ゲームが小学生男子のものだったころは、主人公は少年ばかりだった。男の子が遊ぶ人形に女キャラがいないように。
今は、英語ができなくても世界のゲームで遊べる。色が重要なゲームでは色覚異常があっても遊べるオプションもあるし、キャラメイクで性別や肌の色も変えられる。

任天堂のゲーム機ではエロや暴力は規制されてきたけど、フィクションの気持ちいい暴力はOKになった。

映画では女性主人公のバイオレンス、ハリウッドでアジア系主人公がメインになった。多様性の社会だからこう作ってるんです!って説教くさくなるんじゃなくて、面白さやかっこよさと両立させないといけない。

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黒人主人公マイルスのスパイダーマンは、それを見事にやりとげた。

少ないボタンで「絵になる」アクションがずっと続く。
ウェブで敵の武器を取り上げ、放り投げ、蹴り上げ、空中戦をくりひろげ、ビルの屋上から落とすと見せかけて側面にピシャ!と張り付けて「不殺」でCEROもニッコリ。

でも、単品で評価すると前作がすでに100点をたたき出していたので、あれと同じインパクトを期待すると厳しい。
ステルス要素が強くなったり、パワフルな必殺技的な一撃はあるけど、いろんなところに罠をしかけて見物する、せこいやり方でマッチョな敵を手玉に取る楽しさは前作のほうがあった。開発時間に余裕がなかったのか、バグも多数ある。

だけど前作にはない、夕方や雪の美しさがある。フォトモードも凝ってる。
プレイ中の姿を一時停止して、自撮りにしたり、スタンプやフレームをいれたり、
「スポットライト」をつけるようになった。
好きな位置に、好きな光源をもってきて、ちょっとフィルターをかければふつうのキックがこのように。

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手話を使うキャラクターがいる。
今でも記憶に新しい、黒人男性が警官に殺された事件で大きなうねりになった「BLM」の文字が壁にある。
誰にでも優しいわけじゃなく、女性でも敵ならガンガン殴る!
日本の特撮ヒーローを参考にしたシンプルに強烈なキックや、犯罪者を車にたたきつけたりするパワフルな絵がきまる。

ベースが同じでキャラを変えただけのものを新作として発売すると、もっと不満が出そうなものなのに、しっかり前作から一歩すすんだ、違うものを遊んだ満足感がある。


アクションゲームで新作が出ます!って予告されてマイナーチェンジだったら不満を感じるのに。なんで「ごまかされた気」がしないんだろう。

それは、スパイダーマンという存在が大きい。
アニメにも映画にも政治にもかかわる巨大キャラクターで、今までなかった黒人の主人公とヒロインは圧倒的に新鮮。新ハードの1発目として堂々と立ち上がり、こちらまで
「今、時代の転換点にいる!」
というテンションにしてくれる。

スタッフロールのあとには次のヴィラン登場をほのめかすシーンがあって、完全にマーベルの映画的演出。
次のダウンロードコンテンツで来るのかな?
ファンの期待値も上がってきてるから、そろそろ他のマーベルヒーローが顔を出すぐらいのサービスは、ないかな? アイアンマンがVR専用ゲームでやりたくてもやれない人が多かったから、通信で指令を出すくらいしてくれてもよくない?どう?

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。