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【読書記録】1日2回 2巻まで

「1日2回」いくえみ綾

いくえみ綾さんが好きで、一部をのぞいて大体網羅している。これも割と好きそう。

40を迎えた、幼馴染の、お隣さんの、そんな物語。
それぞれの人生があり、二人のエピソードがある。
そこには互いにしか知り得ない話もあり、互いが知らないエピソードもある。

私の斜向かいには同級生の男の子がいた。
多分ご近所になったのは、小学校に上がってからで、幼馴染と呼ぶには遅かった。
1年生の時は同じクラスで、可愛らしい顔立ちをした彼のことをほんのり好きだった時期もあるのだが、一緒に遊んだりしたエピソードも同じクラスの男の子以上にはなく、それ以上でもそれ以下でもない。クラスが変われば好きじゃなくなるほどの感情で、特別な思い出も感情も間柄もない。
だから?幼馴染について、憧れがある。
「幼馴染」っていいよなあ、と。
少女漫画の鉄板エピソードじゃないか。
幼馴染って。
実際に幼馴染がいればそんな幻想も抱かないのだが、幼馴染になりそうな距離感と年齢なのに幼馴染ではない存在がいるので、なんだか余計に憧れがある、気がする。
少女漫画好きだから余計に憧れが強い、のかもしれない。
いくえみ綾さんの過去作品にも何作か幼馴染ものは登場する。
「潔く柔く」「プリンシパル」などなど。

でも、幼馴染が必ずしも結ばれるわけじゃないよなあ〜。
好み云々関係なく隣あったからって縁があるとは限らないよなあ、とも思う。
そんな考えにピッタリとくる「1日2回」
「1日2回」程度考えてしまう、そんな存在。

いくえみ綾さんは「記憶」の描き方がすごく印象的。
誰かの心によぎる、ふとした「記憶」
それをなんとなく言葉にできずに、なんとなくモヤモヤとした気持ちのまま時を過ごし、ふとした瞬間に思い出し、切なくなり、苦しくなり、それでもやり過ごしているような「記憶」。
時には引っ張り出し、それが表面化することもあるかもしれない。
でも、多くの場合は、「なんとなく」過ぎて行く「記憶」。
そうしたものを考えさせられる、すごーく哲学的だ、と私は思っている。

例え恋仲にならなくとも、幼馴染っていいなあとやっぱり思う。
今から決して手に入るものではないので余計に憧れる。


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