【読書記録】息子のボーイフレンド
一とつぐらい課題図書を読もうかと思い、手に取ったのが
こちら。
普段、自分で手に取らなさそうなものを選んでみた。
物語の中にそういう人が出てはきても、それが主題の本は漫画で数作読んだ程度。
小説では初めてだと思う。
いわゆるBLというジャンル。
そして、まずは息子のカミングアウトから始まる。
なかなかヘビーな内容かと思いきや、
母、莉緒のショックの受け方はむしろ笑える。
面白みのあるショックの受け方をしている。
コメディタッチで描かれていて、現実味がないように思うけれど、
むしろ、人生ってコメディタッチなことかもしれない、とも思う。
そもそも、シリアスになることじゃないんだよっていうメッセージかもしれない。
始めこそ、軽いノリのように思っていたけれど、
物語は母親→息子(高校生)→母親の友人→父親→息子のボーイフレンドへと
視点が変わっていき、
それぞれの立場における、それぞれを取り巻く
セクシャルマイノリティについて描かれていて、
だんだんと奥深い。
深堀はされていないけれど、
私のような知識の浅い人間のとっかかりとしては
ちょうどいいかもしれない。
それにしても、
「もしも、自分の息子に〈彼氏〉が出来たなら…」。
出来れば、やはり息子の味方にはなってあげたい。
夫は理解できなさそうな気がするから、
やはりまずは私は味方になってあげたい。
でも、やっぱりどこか寂しいだろうなあとも思う。
普段「いつか孫の顔がみたいから結婚してね」なんて
冗談めかして言っているわけで、
それがどうしても、男女の夫婦以上に難しくなることを考えると
どこか寂しくなる。
それでも、やっぱり息子を応援してあげたい、
息子を孤独にしたくない、と思うなら
家族がまず味方になってあげたい、と思うこの物語の住人たちに
共感しかない。
この物語の中でもあったように、
「人ごと」だから言えることで、
現実になればどうなるかわからない。
物語だから、受け入れられることで
現実になれば同じように行動できるとは限らない。
この本の中で「日本でのLGBTの割合は左利きの人や血液型がAB型の人の
割合と同じぐらい」とあった。
それって結構な割合だ。
左利きの人もAB型の人もたくさん出会ってきた。
すぐ身近にいるってことだ。
そう思って生活するべきなんだと
考えるいいきっかけとなった。
息子じゃなくても、娘じゃなくても、いつどこで
どんな風に出会うかわからない。
テレビやニュースで話題にはなるけれど、
どこかやはり遠い。
物語として読んでみると、少し身近に考えるきっかけとなった気がする。
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