見出し画像

【覚書】大人の階段の〜ぼる〜

息子がサッカー部に入部して一か月ほど。
部活動というのは
子どもの行動範囲、交友関係も広げるものなのだとつくづくと感じる。

部活動を積極的にしていなかった時期には真っ直ぐ家に帰ってきて、
友人が遊びにくることはあっても駅からうちは遠いので
私がお迎えに行き、帰りも駅まで送るので
寄り道も特になかった。
遊びに行く時も、自宅に行かせてもらって夕方には帰ってくる。
全て私の目の届く範囲である。

ところがサッカー部に入ってからは、
試合で他校に行くことも何度かあり、他の保護者の方の様子を見ていても
必ずしもついて行っているわけではなさそうなので、
私も行ける時ばかりでなく、
すでに何度か、息子一人で試合会場まで行かせている。
普段、通学するのとは違うルート、違う電車に乗り、
一人で降りたことのない駅で降りて、
乗ったことのない電車に乗り、知らない街を歩く。
わからないときはSiriに聞きながら
知らない道をトボトボと歩く。

私は田舎育ちなので、そのあたりの感覚がわからなくて、
なんとなく不安な部分もある。
乗り換え大丈夫?とか
駅からの道わかる?とか
内心はすごく心配だけど、
その心配をどこまで出すべきか迷う。

先日も自宅から結構離れたところが試合会場で、
送って行こうか直前まで悩んでいたけれど、
往復で2時間の距離、
私も予定が入っており、
友人と待ち合わせる、と言うので任せることにした。
電車内で息子から「先輩、見つけた。これで安心」と
LINEが来たので、こちらも安心していた。
ところが、
息子のアイフォンは私とファミリーリンク?をしているので
逐一、位置確認ができるのだけれど、
駅からバスに乗るはずが、なかなか駅から動く様子がない。
どうしたんだろう。学校でのみんなとの
待ち合わせ時間が差し迫っているのに…とヤキモキして
「どうしたん?」とLINEしたら、
「タクシー乗った」と返信が。
え?タクシー?と思ったけれど、バスがわからなかったのか、
間に合わないと判断してのことだろう、ま、まあ仕方ない…と納得。
帰宅してから聞いてみると、
運行しているはずのバスがなくて、タクシーしかもう手段がなかったようである。
学校までバスでも30分ほどの距離。歩いて行けとはよう言わん。
中学生がタクシーに乗るなんて…と思うべきなのかもしれないが、
「それしかないんだから仕方ないね」と言うておく。
なぜなら、息子自身が一番「タクシーに乗ってお金を使ってしまった…」と
自分を責めているに違いないから。
なんせ息子は、普段から、駅から学校へのバス(徒歩20分の距離)
に乗るのも罪悪感を感じる、と
言っている人間だから。
これが娘の場合だとタクシーに味をしめて、
ことあるごとにタクシーに乗りそうなので、牽制すると思うのだが、
息子はなさそうなので、そうすることはない。

不安だったろうなあと想像するだけで可愛いな、と
思ってしまう親バカな私。

お金がもったいないから、とお腹が減ってもあまりコンビニなどで
買い食いもしない、わが息子。
先日のある土曜日に部活終わりにお腹が空くのでお昼にパンを買っていたのだが、「友達とマックでトランプして帰る」との連絡が。
「マック?マクドのこと?」と返信する私はただのアホである。
先輩がマクドでお昼をたべ、自分はジュースだけ買って
マクドで、自分はパンを食べて、みんなで大富豪をして帰ってきたらしい。
マクド…私の中学生時代にはそんな寄り道をしたのが
学校に見つかればこっぴどく叱られたものだが(学校から)
息子の通う学校がゆるいのか、通学範囲が広すぎて目が届かないからか
信頼しているのか…特に注意されたこともないし、
遅い時間でもないし…まあ、いいか。
ていうか、学校帰りに先輩とマクド…で大富豪…
青春やん???

昨日は、午前授業で部活がなかったので、帰ってくるのかと
思っていたら、
「ラーメン屋に行く」とラインが。
友達とラーメン屋…
中学生同士でラーメン屋なんて贅沢な!!!と思うべきなのかもしれないが、
ここでも
友達とラーメン屋…なんか…ええやん?
と思うのは親バカの極みである。
「お金足りる?」と返信する私。

これが頻繁になると私も怒るかもしれないが、
今はなんだか息子が親の私とではなく、友人と
新しい大人の階段を登っているようで、なんだか
ニヤニヤしてしまうのは、私がアホなだけだろうか。
ここは危機感を持つべきなんだろうか。
あかん親まっしぐらな気もする。

でも、なんとなく気になるのは
お金、ちゃんと出せてるんかな?とか
注文、きちんとできてるんかな?とか
お店で他の人に迷惑かけてないかな?とか
不安そうな顔しながらも、友達と楽しそうに話して
食べてるんやろな、とか
そういうこと。
勝手に想像してニヤニヤしてしまう。

昔、小学生の高学年ぐらいの時に
親子でミスドへ行き、もう少し食べたいと息子が言うので
息子にお金を持たせて一人でレジに注文へ行かせたら、
モタモタしているうちに、後のお客さんに注文を先を越されてしまい
(おそらく前のお客さんとの距離感が近すぎて、店員さんも後ろのお客さんも
前のお客さんの連れだと思われた模様)
結局注文できずにしょんぼり帰ってきたことが懐かしい。

こうしてちょっとずつ、親の目の届かないことや、
親が知らないこどもができていくんだろうか。
今はまだ頼りない細い背中が、
いつか私が抱きしめられないぐらいに大きく大きく
逞しくなっていくんだろうか。
なってほしいな。
親と一緒だと、注文も全て親がしてしまうし、
行き先も全て親が決めてしまう。
親が教えることのできない、
たくさんの社会や、失敗や経験を知ってほしい。

親と一緒ではわからない、社会ものぞいてほしい。
わからない道を知らない親切な人が教えてくれた、とか
先輩と友人といろんな話をした、とか
きちんとできなくて知らないおじさんに怒られた、とか。

危険な目にはあってほしくないから、
ついあれはだめ、これはだめ、あれは早い、
これもまだ早い、6時には家に帰ってこい、
あれこれ言ってしまう私だけれど、
取り返しのつかない失敗はないように、
見守りながら、少しずつ
大人の階段を登ってくれますように、
そんな風にも思っている。





この記事が参加している募集

#子どもに教えられたこと

32,983件

#子どもの成長記録

31,609件

よろしければサポートお願いします!サポートいただいたお金は、新刊購入に当てたいと思います。それでまたこちらに感想を書きたいです。よろしくお願いします。