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変わらなきゃいけないのは、俺たちラーメン屋

これは『理想郷建設へ』のシリーズで書いてもいい内容なんですけど、味や哲学や思想の話でもないので、徒然と書いて見ることにします

今日はラーメンの価格についてです

千円の壁とかいつまで言うてるねん

『千円の壁』

という言葉があります

「ラーメンは千円を超えると売れない」

という一種の固定概念です

えーっと、「見えざる神の手」みたいなことを言った経済学者って誰でしたっけ?

アダムスミス?

市場の通念を超えた価格を設定すると、お客様はこなくなり淘汰される…

まぁ商売してたらその意味はわかります

でもらーめんにおける『千円の壁』ってだれが作ってるの?

お客様?

市場?

僕はラーメン屋そのものに違いないと思えて仕方ないんです

らーめん南は安い、間違いなく安い

僕の店『金澤流麺らーめん南』は最低価格が¥1000です

他のラーメン屋に比べたら高い、かも知れません

同業者との関わりはあまり持たない僕ですが、たまーに同業者からメールなどをいただくことがあります

その内容のほとんどが

「南さんは¥1000を超える価格でチャレンジしててすごいと思います」

です

ありがとうございます

しかし原価は42%〜48%くらいなので、商売としては失格かもしれません

ではどうすれば原価を30%くらいにできるのか?

色々と節約することも大切ですが、厳選した食材を使っているから今の味があることは間違いありません

だから価格をもっと上げることが一番の正解なのです

うちが適正価格を設定するなら、¥1500くらいなるかと思うのですが、それでは今いるお客様も来なくなるかな…と僕も思っているので、今はこれ以上は上げることはできません

これも『見えざる神の手』なのかも知れませんね

見えざる神の手

でも、じゃあ、具体的に誰がらーめん南は高いって言ってるの?

もちろんGoogleマップやTwitterや5chでは連日言われてるそうです(僕は見ていません)

でもうちの常連様で

「南さんは高いから来れません」

という方は誰一人いません

むしろ

「安い。もっと値段上げてもいい。それでもくるから」

と言ってくれる人ばかりです

ではなぜ上げないの?

僕も誰かわからない匿名の「高い」という人に忖度をしてしまっているのでしょう

それは

「南さんは¥1000を超える価格でラーメンを出していてすごい。羨ましい。うちはあげられない」

と言っている同業者と大して変わりません

僕らは同じ穴のムジナです

変わるべきはラーメン屋

こだわりの素材を使い、寝る間も惜しんで仕込みをして、安い価格で販売する

それがラーメン屋…

とある有名店店主が言った言葉なのですが

「ラーメン屋店主は全員不健康」

それを犠牲の美学にしないためにも、キチンと適切な価格で認知されて販売できる世の中にするべきです

化学調味料や人工甘味料が入った調味料を使えば原価を抑えられるかも知れません

しかし、なんのためにラーメン屋になったのか?

を自問自答すると、一杯で誰かの心を震わせるためです

そしてラーメンという食べ物を寿司や割烹と同じ高みまであげたいと願っています

ラーメンを愛するからこそ

そして食のプロフェッショナルでいたいと思うからこそ、化学調味料や人工甘味料に頼らない仕事をしたいです

つか当たり前だろ、そんなこと

化学調味料や人工甘味料を否定するつもりはないけど、売れるために価格を抑えなきゃいけないから使わざるを得ない、みたいな感覚だったら最初から飲食業なんてしなきゃいいのに、と僕は思ってしまいます

売れるためにやるんやなくて、生きるためにやるんです

そのためにはラーメンがジャンクな食事であるという固定概念をぶち壊したいです

もちろんジャンクなラーメンがあることは大いに結構です

ラーメン=ジャンク

だけではないよ、と世の中に示したいです

洗練されたものが、美しいものが、ここにあるんだよ、と人生をかけて伝えたいです

そうすると妥協や堕落とは無縁になります

するの自然と素材は良いものになります

原価は上がります

だから価格も上がります

当然のことです

でも上がらないのは、僕を含めてラーメン屋があげようとしないからです

¥1000で100人のお客様を捌くのと、¥2000で50人のお客様を捌くのと、純売上は同じです

ならば僕は50人のお客様の心により深く刺さる仕事をできるようになりたいです

そうするためには、僕にもっと技術も感性も美学も知識も必要になります

だから己を磨きます

そしていつか、少数の方が予約をしてまでくるような店になろうと思います

そんなラーメン屋が世の中にあれば、良くも悪くも同業者に影響を与えるでしょう

見えざる神の手を跳ね除けるのは、お客様でも社会や世間でもなく、僕たちラーメン屋です

夜明けは近い

よし、明日も頑張るか

もっと美味しいラーメンを作りたいです

人の固定概念を揺さぶって人生の扉を開くようなラーメンを作りたいです

僕が清志郎さんやジョンレノンやジョーストラマーに憧れて人生が変わったみたいに、小年の心を揺さぶるものを作りたいです

そのためには、今の常識を超えて行きたいです

常識を越えるためは、今の僕ではまだまだ足りない様子です

だからまずは目の前のことから始めます

今日も雨かな

なんか心が重いな

雨雲を吹き飛ばすような仕事をしにいこう

今日もよろしくお願いします

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