見出し画像

バス合間 僅かな距離 歩く秋 車使わず 運動できて

「本当に驚きだな。感心するよ」山に囲まれた町河内長野に引っ越して半年余り、気が付けば古くから町に住んでいる友達ができた。だが友達は僕が車を持たずにこの町に住んでいることがよほど珍しいと思っているらしい。

「バス路線もあるし、しっかりと時刻を調べると、そんなに大変じゃない。待ち時間はそれでスマホがあれば時間つぶしできるしね」と、僕は口元を緩めた。「そういうけどさ」友達は隣町のバス会社が12月で廃止になるニュースを聞いてこともあり、余計に心配そうである。まさかそんなことはないと思うが、河内長野でも同様のことが起こればもう車がなくては移動が困難になるからだ。

「まあ、それはないだろう、そうだ、この前面白いルートを見つけたんだ道の駅から意外に近くて」僕は友達に公共交通と徒歩でも意外に近いところがあることを話すと、「まあ、公共交通派の君がそう言うなら」と今度そのルートに付き合ってもらえることになった。

「ここで降りるんだ」「へえ、車では通ったけどこんなところで」友達は日野口と書いたバス停で降り、そのまま南方向にある滝畑ダムに向かうバスを見送った。友達は不安そうである。車がないのに周りには道路と緑色した山しかないようなところ、無事に戻れるのか不安がよぎっていた。

「こっちだ、地図のアプリでは15分もあれば行けるよ」僕は自信があったので、先に歩いていく。なぜならば以前逆方向を歩いたことがある。その時は延々と登りが続いてうっとうしいと思ったが、今回は逆に下り方向であった。舗装された道で緩やかな下りがあるのは歩きやすい。その上、古い道ではないので歩道がある。いくら車が走って行っても歩道があるだけで安心だ。

「おお、ここは」友達はしばらく歩き、バイパス道になっている大阪外環状線への入り口を見て驚く。「山の中に人工物がある感じが好きだな」友達は車を使って移動するが、こういう風景を見るのが好きだ。わざわざ望遠鏡のような大きなレンズを搭載した一眼のカメラでそれらを撮影していく。僕はスマホしか持っていないから、ちょっとうらやましかった。

「あ、あそこほら、もう見えてきたよ天野山金剛寺の門が」僕は大声を出すと、「本当に近いな。ちょっとした散歩だこれ」と友達も驚いていた。あっという間に目的地の天野山金剛寺に到着。
ここからのバスの時刻を確認して寺の境内に入るふたり。友達が寺の境内の撮影をしている時、僕は思わず浮かんだ短歌を口ずさんだ。

バス合間 僅かな距離 歩く秋 車使わず 運動できて
(ばすあいま わずかなきょり あるくあき くるまつかわず うんどうできて)

ーーーーーーーー
今日は、こちら山根あきらさんの青ブラ文学部短歌物語という企画に参加しました。

こちらの本日の記事をモチーフに創作しています。

#短歌
#今日の短歌
#小説
#青ブラ文学部
#公共交通派
#日野口
#天野山
#河内長野
#南河内
#奥河内



この記事が参加している募集

今日の短歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?