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家飲みお泊まり女子会(下、コロナ禍⑤)


ゴールデンウィークの5連休前日、みつきとエイコが、マリコ部長のマンションに集合。お泊まり女子会をしているんです。
ビールにハイボール、泡盛のチャンポンで、三人ともだいぶ出来上がってしまった。
女子会トークは、自然と下ネタになり、その後、ぐちゃぐちゃになっていったんです。

マリコ部長(以下マ)「だいぶん酔ってきた。病み上がりにはしんどいかな。ちょっと小休止」
グラスにミネラルウオーターを注いでゴクゴク飲んでいる。
みつき(以下み)「マリコさん、無理しないでください。この前の高熱、コロナか、インフルエンザか、ただの風邪だったか、結局はっきりしないんですよね」
マ「そう。謎。インフルのワクチンは去年暮れに打ったし、抗原検査キットでは陰性だったから、風邪だとは思うんだけれどね」
エイコ(以下エ)「コロナって言えば、後遺症ですけれど」
マ「それもないから、コロナじゃなかったって思えるのよねえ。味覚・臭覚はあるし、だるさはないし」
エ「こんな後遺症があるの知ってます?」
二人「どんなの?」
エ「男性のペニスが縮んじゃうんですって」
み「まああ」
マ「なにそれ、ほんと?」
エ「はい。ニューズウィークとナショナル・ジオグラフィックで読みました。信頼できる国際メディアが書いているんだから、ネットにあふれるデマ・フェイクとは違うでしょ」
二人「どんな記事よ」
エ「外国の例なんですけれど、陰茎が縮んじゃうコロナ感染者がけっこう出ているんですって。なかには三・八センチも短くなってしまった人もいるんですって」
二人「……」
エ「感染による血管の損傷が原因みたいです。縮んだサイズは元に戻らないって。しかも勃起しなくなっちゃったり、途中で萎えたり、セックスに対する興味が減退したり、といったケースもあるんですって」
二人「はああ(もったいない)」とため息。
マ「コロナって本当に厄介ね」
み「わが社にも、コロナにかかった人、たくさんいますよね」
エ「縮んじゃった人もいるのかしら」
み「エイコのこと、俺のセフレだなんて言いふらしていた、あの男も罹ったわよね、忙しい12月に」
マ「そうそう。復帰した際は、げっそり痩せ細っていたわよ」
エ「ああ、同期の都の西北大ヤリサー男ね。あいつのは粗チンだったから、4センチも縮んだら埋没しちゃってるわね。キャハハ」
み「まああ」
マ「やっぱり体の関係があったのね」
み「たまに酒おごらせて憂さ晴らしに利用しているだけって言ってたくせに」
エ「あっ、しまった。バレちゃったー」
マ「噂は本当だったの? この際だから、ぶっちゃけなさい、さあ」
エ「えーとね、どうしようかなあ」
み「一切合切ゲロったら楽になるわよ、さあ」
しばし天井を見つめていたエイコ、泡盛のロックをあおって、勢いよく語り出した。
エ「アイツの持ち物ってサイテーなのよ。短い! 早い! すぐ終わる! 」
み「アハハ。まるで、この前、ネットで読んだ『タニグマー小説集』のキャッチコピーそのものじゃない。三人のOLの愚にもつかない会話の小説」
マ「なに? タニグマーって」
み「ウチナーグチで短小って意味です」
エ「キャッハ、まさにそれ、アイツの。じゃ、デカチンはなんて言うの」
み「タニマギー」
マ「じゃあ、女性のは」
み「ホーミー」
マ「沖縄の言葉って独特よね」
み「元々は独立国でしたからね……」
エ「しかも、あの男のセックスって、つまらないっていうか不快なの。自分の欲望放出だけが目的で、相手を慈しむ、可愛がるってのがないの。自分勝手」
み「……琉球王国っていう」
マ「それは知ってる。江戸時代は薩摩藩に、明治時代は日本に侵略されたのよね」
エ「わたし、一回も満足したことないんですよ、いっつも不完全燃焼」
み「侵略って言えば、北海道のアイヌ民族も松前藩、明治政府に土地を追われたのよね」
マ「船戸与一の『蝦夷地別件』(新潮文庫)って小説を昔、読んだんだけど、和人(シャモ)の支配がどれだけ過酷だったか……」
エ「でね、この前、わたしのことセフレだなんて言いふらしていたから、往復ビンタくれて捨ててやったんだけれど……」
み「漫画『ゴールデンカムイ』は、アイヌ民族の暮らしや思考を理解するのに役立ちました。琉球民族を描く大ヒット漫画や小説、映画が出てこないかなあ、っていつも思ってるんです」
マ「そうね」
エ「で、独り寝ってやっぱり寂しいじゃないですか。で、最近、新しい彼氏ができちゃったんです、年下の同僚……」
み「新聞やテレビだけじゃあ力不足っいうか、やっぱり娯楽・芸術分野の力も理解を広げるには必要ですよね」
エ「女子社員情報網によると、陸王大チャラサー出身。いい噂はないけれど、付き合ってみると、なかなか素直でいい人ですよ、タニマギーだし…」
マ「ネットやSNSには、悪意やデマに基づく沖縄ヘイトがあふれているしね」
み「ほんと、嫌になる!」
エ「テクニシャンだし……」

みつきとマリコ部長は会話に夢中で、エイコの爆弾発言に気づかない。エイコは一方的にしゃべりまくる。酔っ払い女子トークは夜の更けるまで、寝落ちするまで、延々とこんな調子で続きました。

『二日酔い 昨夜はなにを話したの? 記憶失う 家飲み女子会』

※参考:沖縄語辞典(研究社)

都の西北大ヤリサー男とエイコのハレンチな行状は「みつきの微笑みがえし 第一部・第五話」に詳しく書いているので読んでね。R18だよーん。

ニューズウィーク

ナショナル・ジオグラフィック

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