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クリエイティブのことを、知夫中二年生と。その5(最終回)

こんにちは!あっという間に2月ですね!そして、2月は28日しかない。。年度末のこの忙しい時期、31日まであったらもうちょっと進行が楽なのに。。と思ったりしませんか?
いや、だからこそ1日でも早く、忙しい年度末を終わらせたい。というのもあります。
アンビバレントなものですよね。

まずここでご報告!知夫中生達とのクリエイティブを山陰広告賞に出品したところ、

なんと、
「地方創生賞」を受賞させていただきました!

この場を借りて、関わっていただいたたくさんの皆さま、ありがとうございました!知夫中学生と先生・西ノ島の小山くん・海士の南。島前の3島コラボで作り上げたというのも嬉しいです。この賞をきっかけに、日本の地域がよりクリエイティブになっていってもらえれば最高です。



さて、

今月はいよいよ、そんな知夫中学生とやったクリエイティブの最終回です。(noteの最終回ではないのでお間違えないよう。。)

おさらいとして、今までの流れですが、
制作目的は「知夫の観光PRになる制作物」。それに向かって、WEBサイトとポスターを作っていきます。

授業の組み立ては、僕の知る実際の広告制作の流れで行い、実践のやり方で進めてもらうことにしました。これが身につけば即戦力!(僕もそれしかできないし・・)授業過程=制作過程ということですね。


0)自己紹介
1)広告のこと(デザイン・ブランド・コンセプト)を知る
2)チームのこと(自分を出す・互いの違いを楽しむ・違うからアイデアが広がる)を知る
3)企画・コンセプト・トンマナ設定
4)取材・撮影
5)構成・編集
6)ポスター班とWEB班に分ける
7)ポスターアイデア出し/WEBアイデア出し
8)ポスター制作/WEB制作
9)仕上げ(僕と小山くん)
10)印刷・発信


上記の流れで作っていくのですが、
今回の記事は前回の続きの「8)ポスター制作/WEB制作」、
仕上げからフィニッシュまで綴っていきたいと思います。


前回までのノートで綴ったように、それぞれの生徒の「らしさ」、知夫の「らしさ」を、みんなで考えたコンセプトに照らしながら考えていきました。

今回も僕の担当していたポスター班の話を中心に進めていきます。

さて、前回はポスター班のキービジュアルが橋のレントゲン写真が決定し、そこに、どのようなキャッチコピーを入れたらいいかを考えてもらいました。
この写真をより注目させることや、この写真の意味を補完したりすることがコピーの役目。そんなメッセージをそれぞれの視点で考えてもらいました。

ポスター班それぞれにキャッチコピーを考えてもらい、それをワードでざっくりとレイアウトしてもらうことにしました。

みんなから出てきたキャッチコピーはほんとに面白くて、僕が考えもしなかったことばっかりです。

「アイデア(クリエイティブ)は3歳になったつもりで考えろ」と先輩に言われたことを今でも良く覚えていて、心掛けています。

3歳の子供って、好奇心旺盛ですよね。触ってみたり、振ってみたり、いろんな角度で見てみたり、舐めてみたり、叩いてみたり。
初めて見るときって、きっとそうやって、そのモノがどういうものか、なるべくたくさんの情報を吸収して自分にインプットしてるような気がします。

それがクリエイティブでも超重要で、デザインやアイデアを考えるときは、そんな角度から自分なりの面白いアイデアが出てくるんです。

その点ではさすが、中学2年生、14歳位。ほんとに想像力豊かで、子供と大人の中間に位置しているんだなーと。僕にはあらたな発見がありました。

生徒たちはたくさんのコピーを考えてきていて、その中からこれ、というものを僕にプレゼンしてもらいました。

その中でそれぞれ選ばれたのが、

「透全叶島」

「モノクロから、透明に」

「まるみえ!」

でした。ほんとに、三種三様。全部いいんですよね!

皆さん、どれがピンときましたか?

●「透全叶島」。とうぜん、叶う島。レントゲンのビジュアルと連動していて、漢字を透にすることで、透き通った透明度で思いを叶えるというメッセージ。人口600人の村だからこの透明性がユニークに生きてくる。そんな素敵なコピー。

●「モノクロから、透明に」。これはもう、おしゃれですよね。さらに、このコピーはビジュアルに対しての答えでもあり深い問いが入っています。中二生とは思えない、いや、中二だから紡ぎでるのかもしれない。そんな素敵なコピー。

●「まるみえ!」。直球で、潔い。4文字でグラフィックのアテンションとしながら、レントゲンのビジュアルを補完しています。シンプルなビジュアルにシンプルなコピーで、スッと目に留まる。そんな素敵なコピー。


皆さん、どれがグッときましたか?

僕は、もう、決められませんでした。笑
僕がADでクライアントに出す案だとしたら、全部持っていきます。
全部持って村長に意見を聞きに行こうかと思いました。笑

担当の先生に相談して、全部作って3連作にしてもいいですかと相談したら、ぜひそうしましょうと!1つである必要もなかったわけで、全部作ることになりました!

そして、WEBの連動も3つのメッセージをスライドさせれば良いわけで、めでたく3つ作ることになりました。


授業当初は、生徒たちのできるスキルでワードなどでデザイン組んでもらって、学校や村に張る想定でいましたが、せっかく面白いアイデアが、ビジュアルもコピーも揃ったので、隠岐中に発信しませんか?と。
僕がデザインするので、それを生徒に選んでもらって、印刷して、いろんな人に見てもらうという方法をとることになりました。

ということで、ここからは僕の出番。生徒たちと一緒に考えてきたアイデアをそのまましっかり素直にデザインしました。





このようにデザインしました。
3種の個性を出すため、デザインは1つでコピー替えではなく、レイアウトも3つにしました。
差し色は知夫のキーカラーの「赤」。
モノクロの写真はを少しだけブルーを入れてレントゲンぽく、少し優しくスタイリッシュに。
写真の周りの白は、知夫の「C」です。写真やコピーを囲むのは知夫の環境。そんなメッセージを「C」に込めました。
また、B2のポスターの解像度不足も補う一石二鳥の「C」。

他にもいくつか作って皆さんにも見てもらいましたが、この案で先生も生徒も一致して、これで完成!

印刷に進みます!


一方、WEBは、ポスター連動のキービジュアルも決まり、方向が定まってきました。
WEBの仕掛けも生徒達から出てきた「パズルのように村民のインタビューをつなげていく」でした生徒のインタビュー記事もパズルのUIから飛べるように小山くんと生徒とでつくって、こちらも完成!!

こちらもぜひ見てみてください!




というわけで、授業期間は約3ヶ月、10回程度の授業でしたが、各回2〜3時間で、総時間は全部で25時間程。
知夫の生徒と作ったポスターとWEBサイトは、知夫のPRとして、山陰中央新報にも取り上げていただき、生徒たちも先生たちも僕たちも、楽しい思い出となりました。


それから約1年。月日は流れましたが、今年、約束通り山陰広告賞2022に応募しました!
というのも、生徒たちも先生も仕上がりに大満足していて、隠岐やフェリーの中や各港などに貼って回ってくれました。中にはこのポスター欲しいという村民の方も多くいたそうで嬉しい限りです。一過性のプロモーションポスターではなく、知夫のブランディングとなる、飾っておきたくなるポスターにできたなと。しみじみ思いました。
また、島外に住んでいて帰省した時にこのポスターからWEBサイトを見た知夫出身の方から学校に激励と称賛のお手紙が届いたようで、これまたよかったなーと思います。
なので、広告賞出してくださいね!と、担当先生からの猛プッシュ。笑

賞の結果はどうなるか分かりませんでしたが、応募した制作物は展示されるので、それだけでもいいかなと思っていたのに、まさかの受賞。生徒達にもぜひ見に行ってもらって、自分の名前の入った広告を見てもらいたいなと思います!



そんな山陰広告賞、今年はHPも刷新し、応募数も一気に増えたようです。気になった方はぜひ会場まで足を運んでみてください!(今年は米子美術館です)

そんなわけで、授業と、村のPRと、関わるみなさんの幸せにちょっとでも貢献できてよかったなーと思う仕事でした。

それから、この知夫の仕事もあって島前高校で授業をすることになったり、北海道の大空高校に行ってこの事例を元に生徒にデザインの話しをたりと、自分の世界も広げさせてくれました。本当にありがとうございました!!


振り返ってみて、
一番大変だったのは何かなー。と思ったら、生徒のアイデアをを引き出すことでした。30も年下で、世代の大きく違う中学生とのコラボ。当然考えも感覚も違います。中学生からしたら、なんだこのおじさん。と思うわけです。(僕も当時そう思ってたと思います)
でも、だからこそ、そこが面白い。年配者の知識・経験も大事だけど、アイデアはフラットに出し合うことが大事。そんなことを互いに理解し合うことをどうしたら良いかは結構考えました。
席をくっつけたり、好きなものを発表しあったり、悩みを伝えてみたり、時間をかけて、距離を縮めてなるべく同じステージに立ってもらえるように工夫したりしました。

そこで思ったのが、
「Respect」

上も下もない。互いの立ち位置に敬意を払って認め合い、違いを楽しみ、ひき出し合う。そんな相乗効果がアイデアや広告の世界のみならず、どの分野でも必要だなと思いました。音楽のコラボ、映画の共作。きっと政治だってそうですよね。

例えば「井の中の蛙」。世間知らずみたいないい印象はないかもしれません。でも、ずっと井戸の中にいて、井戸の中のことは誰よりも詳しいわけです。
例えば、鳥は空から山や海やたくさんの世界を見ることができます。でも、井戸の中のことはほとんどわからない。蛙は山や海は見たことない。でも、井戸の中の苔や石などじっくり観察して知ることができます。

人間も同じ。国際的な人とローカルな人、共に良いところも悪いところもあるわけです。広く浅くか、狭く深くか。もし同じ月日を過ごしているなら、積分したら同じですもんね。

生徒や先生と互いに「Respect」をもって、そんなふうに考えることができました。

いろんな人が世の中にいて、みんなが楽しいのが、とにかく一番ですよね。そのために必要なツールの1つが「Respect」かもしれないなと。いい学びになりました!



知夫クリエイティブシリーズはこれで完結!
そして記念すべき10投稿目!
これまで読んでいただいた方、ありがとうございました!

来月からはまた違うネタで書いていこうと思いますので、
またよろしくお願いします!

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