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絵本「リブと海」できました

今回は、今年の夏にいよいよ発行することができた「リブと海」という絵本を作らせていただきましたので、
僕の担当していたデザインの部分を中心に、紹介したいなと思います!


その前に、、
ここ海士町では、朝晩は少し肌寒い気候になってきましたが、昼間はポカポカとあったかく、秋を感じますね。新米も出回って、収穫の秋を迎えています。

また、10月は、後鳥羽院800年記念事業の「牛突き」があったり、「和歌・短歌のフォーラム」があったり、文化や芸術の秋としても楽しめそうです。
800年事業は、これで大きなものは最後となります!
次回は100年後。ぜひ!

牛突き:10月16日(昼ごろ予定)
和歌・短歌フォーラム:10月30日

秋が終わるといよいよ冬が来てしまいますが、、、(山陰の冬は意外と寒い)
でも、そんな冬も仲間で鍋を囲んだり、火鉢で食べ物を焼いたり、コタツの中でゆっくりしたりと、日本の四季はどの季節もお楽しみがあるなぁと思います。
そして、今年もあと3ヶ月。あっという間ですね。



リブの絵本のはじまり

この話は、隣の「隠岐の島町」に流れ着いたアカウミガメの話です。

この絵本を作るきっかけは、
「こんなことが起きて、こんなことがあったから、それをしっかり絵本にして、たくさんの人に伝えたい」という思いを実行委員会の人から話を聞いて、ぜひ僕もその力添えができればと思って、
「ぜひいいものを作りましょう!」と、参加させてもらいました。

そして島の中だけでなく、日本中、さらには世界中にこの話を届けて、海の事や自然のこと、「1つの地球」のことを考えるきっかけになればいいなと思ってつくりました。(海は世界中でつながっていますからね)


僕も20年くらい、デザイナーの仕事をしてきましたが、絵本を作るのははじめてのことです。
この物語をしっかり「伝えるためのデザイン」をしなければいけないと思い、代表の安部さんから、リブの思いをたくさん聞きました。

リブを発見した時のことや、海の匂い、その時の暑さ。腕の様子やそのときの匂い、感覚や、リブの表情や声なども、思い出せば辛い話をたくさんしてもらいました。

僕も実際、水槽に入っているリブを見に行って、狭い水槽ながらも、傷だらけながらも、元気に生きているリブを見てきました。

これは、デフォルメしたりオブラートをかけるのではなく、しっかりと「ありのまま」の表現で伝えなければいけないな。と思いました。



妥協のない「ケンケンガクガク」な打ち合わせ

まず、絵本のストーリーを安倍さんがまとめて、絵本の文章にしていきました。
それを実行委員会のスタッフで、「あーでもない」「こーでもない」と、数十回にもわたり、打ち合わせを重ねました。ほんとに、「ケンケンガクガク」と。

言い回しや、文書量を調整したり、ここに来てページ数の見直しや年度内に仕上げるはずのスケジュールも延期になり、一時はどうなることかと思いましたが、その苦労が今となってはいい思い出。

また、巻末のカメの解説や年表はタナカマニコさんが担当してくれていたのですが、これはこれで学術的要素が多いし大変だったんだろうなー。と想像してしまいます。

でも、きっと、そこまで検証を重ねたからこそ、なっとくのいく素敵な絵本になったんだろうなと思っています。ほんとにみなさん、おつかれさまでした!



表現のデザイン

絵本の肝であるイラストを書いてくれる中村さんとも、たくさんの打ち合わせを重ねて、どのようにしたらリブの気持ちが1番伝わるか、自分たちの思いが届く表現になるかを、みんなで話し合いました。

そのためには、こんな風なカット割りにしようとか、こんな風な構図にしようとか、ページの構成は単調にならないようにこうしようとか。ここは絶対に見開きで伝えたい。とか。
細かいところでは、リブのアングルもリズムが出るように変化をつけようとか。(よければそんな視点で見てみてください)


デザイン面では、当初、イラストのタッチも、もう少しアニメっぽかったり、カメに表情を持たせたりという案もあったりしたのですが、老若男女に手に取ってもらったり、何度も繰り返しみたくなったり、世界の人が手にしやすかったり、読者に長く考えてもらうための余白を残したかったので、表情・表現などは抑えめにしてもらいました。

もっと細かいところではフォントもそうです。
この絵本は、リブを生で見たことがない人にも届けたい絵本です。
だから、(読みやすいけど記号っぽいUDフォントではなく)、少しくらい読みにくくても、この温度の伝わるフォントにさせてもらいました。

この時の空気感や、傷を負ったカメ、リブらしさ、作り手の思いみたいなものが少しでも伝わる、「感じる」ことができるようなフォントをセレクトしたりしました。

そんなような話を打ち合わせ時に延々といくつもしながら、「あーでもない」「こーでもない」とこの絵本は出来上がりました。
どのデザインが正解だったかなんてわかりませんが、みんなの思いが形になった、一つの素敵な正解がこの絵本であることは間違いないと思っています。ありがとうございました。


クラウドファウンディングで作ることができました

この絵本は補助金や助成金等を貰わず、クラウドファンディングと言う形で2000冊つくりました。
この思いに共感してもらった人たち、その人たちの思いでこの本を作り上げることができました。
本当にありがとうございました。

クラファンで支援していただいた方には発送は完了し、順次、全国の児童・学校関連施設、図書館、それから環境省の全国のビジターセンターに設置してもらう予定です。

こういった事務作業、すごく大変なんですが、すごく重要なんですよね。
実行委員会事務局の方々も、本当にお疲れさまでした。

リブの制作ストーリーの詳細はクラファンページからもわかりますので、ぜひ!



メディアとメッセージ

また、様々なメディアにも取り上げていただき、ありがとうございます。

この本を読みたい!とか、この本を買いたい!と言う声もたくさん事務局にいただいているようです。

ただ、この本の販売はまだ未定で、どうしたらいいかも考えているところなのですが、当初から考えているように、このストーリーは世界中に届けたいと思っています。

そんな出版社の方と出会えたらいいなと思っていますので、ピンときた方は僕や事務局に一報いただければありがたいです。



自分達の地球のために

物語の最後はこの言葉で締めくくりました。(われながら、うまくまとまったなとおもっています 笑)


「リブの手が おしえてくれた」
「リブの手が つなげてくれた」
「この手で これから何しよう」

というメッセージを最後に入れさせてもらっています。



台風や地震、自然災害は年々強さを増してきている気がしませんか?

海の問題も同じです。年々海の環境は悪くなってきています。数十年後には魚の量よりゴミの量の方が多くなるようです。人間が、自分達で出したゴミです。

地球問題もそうですが、個人の問題だって同じですよね。
目先の便利に惑わされずに、ちょっと考えてみる。そんな余裕がない世界や自分を、ちょっと考えてみる。

問題が見えない時は何も考えないけど、問題が見えてきて焦ってももう遅い。健康や病気と同じで、予防の大切さと同じことかもしれないですね。

リブはきっとこのために隠岐に来たのかもしれません。
だから、これをきっかけに少しでも良い未来になればいいなと思っています。

今月は、こんな感じです!
健康に気をつけて、よい秋を!
ありがとうございました!

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