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しなやかなデザイン

こんにちは!
今年の5月は、シャツくらいでぴったりの、良い気候でしたよね。年々暑く感じますが、冬は寒く、夏は暑い。そんな環境に変わって来たなーと、草むしりをしながら考えていました。

さて、前回までは、広告賞の話ということもあり、表現に視点を置いた内容でした。
今回は、島でのデザインということを僕なりに少し考えてみました。表現のデザインというより、デザインの視点から考えながら綴ってみようと思います!

デザインの仕方や思考は十人十色。こんな考え方もあるんだなー。と思って読んでもらえたらと思います。

日常と非日常

東京から、隠岐・海士町に引っ越して、丸6年が経ちました。
東京で憧れていた、古民家で海が目の前という環境に住んでいますが、長く住んでみると慣れしまってて、この素敵な景色も当たり前になってしまいます。なので外の人がいいね!って言ってくれたり、都会に行ってちょっとリセットするのは大事。日常と非日常の行き来は客観的な視点を持ち続けるのにひつようですね。

そんな海士町で生活してて感じるのが、なかなかFIXしないということ。

地方は結構そうなのかもしれませんが、今日のアジェンダとか、次のタスクとか、「だいたいそんな感じで」となる場合が多い。ガッチリFIX(決定)をして次に進むというのがあんまりないんです。
生産性を求める都会から来ると、最初は「え?」と思うのですが、「郷に入れは郷に従え」。これが割と新鮮で、そんな「しなやか」さが良いと感じることも多いんです。
これは都会じゃ気づかなかった視点です。


FIXしない環境

なかなかFIX(決定)しない思考。それはその生活環境も影響しているのかもしれないなとおもいます。

海士町は農業や漁業を生業としてきた半農半漁の町。天気や気候でタネを撒いたり水をやったり、漁に出たり出なかったり。天気で変更になる場合があるから、ガチガチに準備しても仕方ない。
自然と共に生活して、常にフレキシブルに準備してきたから、直前までFIXさせないスタイルになっているのかもしれないなと思いました。

なんだか面白いですよね。
都会は人間がコントロールできることを前提として行動していますが、自然はそうはいかない。だからしなやかに行動する。そんな事から学ぶ事も多いです。

そこでは、おおまかな予想や段取り、その場その場での状況判断が必要になってきます。経験とともに「カン」が大事になってくるし、その「カン」が生きるセンスになるんだろうなと思いました。

仕方ないから今は別の事をしようとか、チャンスは今だ!と、パッと切り替える判断力や決断力は地方の方がある気がします。
そんな、何かを察する「カン」は自然の中で養われるんだろうなとおもいます。(ファブルみたいに)

そんな、状況に合わせてパッと動ける、ゆるやかでフレキシブルな生き方。
1つの職だけでなく複数の職で収入とリスクを分散させるのはこれからの時代に合ってますよね。


FIXしない生活

そんな「しなやか」さは生活環境からも、あるかもしれません。

例えば、日本家屋は(例えばベッドや椅子を置かない)畳であることで、そこは居間にも寝室にも柔術道場にでも変化ができる。

そんな自由のために、基本的にものは全て可動で必要な所に収納していますよね。外国のようにベッドを固定してそこを寝室にしたりするのは、その思考やスタイルの違いかもしれないとおもいます。どっちが良いとかじゃなくて、そんなスタイルが思考にも影響するのかもなとおもいます。

(この思考は日本・アジア独自のものかなと思っていたら、キャンプってそうですよね。テントの中は居間にも寝室にもキッチンにもなるように。)


知らないうちにデザイン

そんなFIXしない自由な空間があるのだけど、もちろん何もないわけではありません。
襖で仕切れる間取りや、畳の縁と障子のグリッドはしっかり設計されたもの。襖や欄間には好みの絵や彫刻を施し、床の間には季節や気分に合わせたアートを装飾できて、それらはしっかりデザインされています。

また、モノを減らしたければ入れ物を小さくすると(厳選した取捨選択ができて)いいと言いますが、日本家屋の場合もそれに当たるような気がします。
箪笥は季節の変わり目や必要な時に整理して、溢れたものを処分したりして、箪笥の中に必ず収める。季節のものなど当分使わないものなどは全て蔵や納屋にしまいます。

そんなふうに、「持ち物を厳選して整理する」ことで自分の好みや全体が見えてきます。これは大好きだから見える所に飾りたいとか。そんなに好きでもなかったけど安いから買ったものとかはその選択から外れていきますよね。タンスから溢れて部屋が狭くなってしまうから考えるわけです。
そして、そもそもそんな物を買わない目利きのセンスも養われていくと思います。

これ、デザインです。

例えばイベントのポスターを作る時。たくさん言いたいことがある。コンセプトや思いやメッセージ。日時や場所などの必要事項、商品や関わる人の写真なんかも。そしたら、目玉商品に代表の挨拶も。いや、ついでに次の告知も。。。

そんなたくさんの情報を入れたらそのポスターはなにが言いたいんだかわからなくて、結局誰も見なくて、本末転倒なんですよね。着るかもと思って箪笥の奥に眠って、カビてしまうように。

入らないから紙のサイズを大きくする手もありますが、これまた箪笥のサイズと同じようなもの。入らないから大きくしていっても、あれもこれもとなったらキリがないんですよね。
タンスを増やしていったら、お金がいくらあっても足りないですし、部屋がどんどん狭く不自由になってしまいます。

だから、それを整理して、しっかり重要なものを残し、不要なものは捨てる。「持ち物を厳選して整理する」ことがデザインでは大事です。

なぜこれは必要/不要なのかを考え。必要なものはしっかり軸にする。不要だと思うものも1つに合体させれば残せるかもしれない。
そんなふうにして形や表現を変えれば1枚の写真と1行のコピーでいろんなことをシンプルに伝えることができます。もしかしたら1000枚の写真を連続して並べて1つとして表現することがその結果になるかもしれません。

デザイン、苦手だなと思う人は、まずはタンスの整理や、部屋のインテリアのレイアウトから始めてみるといいかもしれないですね!
センスいい人はシンプルだったり、ものが多くてもまとまって見えたりするものですよね。

それ、デザインです。

ということで、視点を変えてみると色々な発見や腑に落ちることがあります。僕もそうでしたが、都会生まれの人はぜひ1度くらい田舎で生活してみてはいかがでしょう?きっと世界がひろがりますよ!

そこで、

海士町新聞電子版「あまとめ」

海士町に住んで生活して気づいたことを書いていたら、そんな「しなやかな」海士町を「しなやか」に紹介できるように作ったのは「あまとめ」だなと思いました!

リリースから1年が経ちますが、おかげさまでDL数も閲覧数も増え、たくさんの人が海士町というローカルと接点をもってもらえて嬉しい限りです。

次回はそんなあまとめの制作背景を書こうかなと思います。


今回はこんな感じで思いつくままに書いてみましたがいかがだったでしょうか?
こんなふうに、視点の振り幅を大事にしながら、僕はいつも仕事しています。(遊びも)

デザインは特別なものではなくて、そこらじゅうにあるものです。その視点を持って、何か考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

でも、そもそも「しなやか」ってなんでしょうね??


それではまた次回!
ありがとうございました!

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