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8.【連載小説】 rencontre -僕の初恋-


僕は自分のバイト先である【rencontre】をかなり気に入っていて、高校生の頃から現在までもう4年も働いている。
都内だけど静かな住宅街の中にあって、55歳のダンディなマスターがいるかなり洒落てるカフェだ。
お客さんの年齢層も落ち着いていて騒ぐ若者もいない。
いつ来てもとても静かだ。
たまに若い人も勿論来るが、僕が好きな彼女のように上品で落ち着いた雰囲気の人ばかりだ。
皆、心にゆとりがある人に見える。
裕福で優秀で、それでいて嫌味がなくて。
本当に余裕がある大人たちが集まる場所だ。
もちろん彼女も例外ではない。
ここの雰囲気の代表かとでもいうように上品で気高い。
言葉遣いからは教養だって感じられる。
きっと社会でもとても優秀な人材なのだろう。

ただ少しだけ他の人とは違う空気も纏っている。
彼女はどう見ても世間では勝ち組で、ここにいる人たちと同様、もしくはそれ以上の自信家であっても良いはずなのに、いつも誰とも目を合わさず怯えているような雰囲気を持っている。
それなのに誰にも弱みを握られまいという強い意思も感じ取れ、危ういのに隙のない振る舞いがより一層僕の庇護欲を掻き立てるのだ。

この人は今、何に怯え誰と戦っているのだろうか。
君を傷つける全てのものから僕が守ってあげたいと思ってしまう。


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