葉山みなみ

私だってもう大人。 いつだって等身大で。 よりシンプルに。 もっと、美しく。 …

葉山みなみ

私だってもう大人。 いつだって等身大で。 よりシンプルに。 もっと、美しく。 ・・・ 趣味で書いていた小説を 誰かに読んでみてほしくて 載せてみることにしました。 どうぞよろしくお願い致します。 -葉山みなみ-

最近の記事

8.【連載小説】 rencontre -僕の初恋-

僕は自分のバイト先である【rencontre】をかなり気に入っていて、高校生の頃から現在までもう4年も働いている。 都内だけど静かな住宅街の中にあって、55歳のダンディなマスターがいるかなり洒落てるカフェだ。 お客さんの年齢層も落ち着いていて騒ぐ若者もいない。 いつ来てもとても静かだ。 たまに若い人も勿論来るが、僕が好きな彼女のように上品で落ち着いた雰囲気の人ばかりだ。 皆、心にゆとりがある人に見える。 裕福で優秀で、それでいて嫌味がなくて。 本当に余裕がある大人たちが集まる

    • 7.【連載小説】 rencontre -僕の初恋-

      2. 4年前のある雨の日。 【rencontre】でバイトを始めてまだ間もない頃に急な大雨で電車が止まってしまい、バイトには間に合いそうもなく途方に暮れながら駅前で雨宿りをしていた。 バイト先まで歩いて行けなくもない距離だが生憎僕には傘がない。 何に対してもやる気が出ない性格の僕は50mほど先に見えるコンビニまで走ることすら怠くていつにも増して気分が下がっていた。 『 あれ?ランコントルの人? やっぱりそうだ。こんにちは。 いつも美味しいビールをありがとう。 電車、止まっ

      • 6.【連載小説】 rencontre -僕の初恋-

        1. 「 いらっしゃいませ。 」 "あ、いつもの綺麗なお姉さん" 第一印象からずっと変わらない目を惹く容姿をした彼女は、僕のバイト先のカフェである【rencontre-ランコントル-】の常連のお客さんだ。 『 ビール、ください。 』 小声で控えめに目も合わさず注文する姿を見て、こんなに綺麗ならもっと堂々とすれば良いのにと、つい思ってしまう。 「 いつもの銘柄で良いですか? 」 『 あ、はい。 』 綺麗な彼女はいつも昼間からビールを注文する。 1杯目は必ず国産のホ

        • 5.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          "3年" 初恋にしては、長い期間だったと思う。 そんなに長い時間を共有したのに、その恋の終わりは本当に一瞬だった。 今となっては最後の日にちゃんと会ったかすら覚えていない。 もうかなり曖昧になった記憶だけれど、どうしてだろう。 大好きだった優しい先生に言われたあの文言だけはもう長い間ずっと消えない。 『 面倒だし好きじゃなくなった。 それに俺、浮気したよ? それでもいいの? 』 私にとってこの出来事は今でもトラウマだ。 あんなに真面目だった先生がこんなにも違う人になり果て

        8.【連載小説】 rencontre -僕の初恋-

          4.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          3. 初めて恋をしたのは高校3年生のときだ。 3年生の夏まで留学していた私はステイ先のカナダから1年ぶりに帰国した。 周りはすっかり受験モードで私だけ置いてけぼりだった。 その雰囲気に耐えられるわけもなく、知り合いにすがる思いで紹介してもらった国立大学医学部の学生さんに家庭教師をしてもらうことになった。 その人は身長が高くて私よりも4つも年上で、私が知ってる男子とは全く違う雰囲気で、おまけに優しくて優秀で大人だった。 多忙な大学のスケジュールの合間を縫って私に勉強を教える

          4.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          3.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          2. 小さい頃から何でも器用に熟せる方だと思う。 それゆえに今日まで総合的に見れば、私の人生は良い方に転んできた。 そう。 恋愛以外は。 平凡だけど優しい両親のもとに生まれた私は何不自由なく育ち、ありふれた幸せの中で穏やかに過ごしてきた。 大きなトラブルに巻き込まれたこともないし、自分のルーツに不満なんて一つもない。 "唯一苦手なもの"を除けば。 物心がついた頃から、自分とは性別が違う"男の人"と接するのが好きではなかった。 血の繋がる父や祖父、そして従兄弟は私のこ

          3.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          2.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          1. 『正直いつのまにか好きじゃなくなってた。 別れよう。 』 意を決して3週間ぶりにかけた電話にやっと出た彼があっさりそう言い放った。 またこれか。 "いつのまにか好きじゃなくなってた" 昔から振られるときにいつも言われてきた言葉だ。 私にとっては聞き慣れた言葉と言っても過言ではないけど、この言葉に慣れることなんて多分一生ないと思う。 むしろ言われる度に恐怖感が増したのは年齢という数字が大きくなったせいだろうか。 年の功なんて嘘っぱちだ。 人よりも空気を読むのが得意な

          2.【連載小説】 rencontre -いつもの失恋-

          1.【連載小説】 rencontre

          大人になるって弱くなること。 そんな私の前に現れたのは歳下の綺麗な男の子。 ・・・ もうすぐ28歳。 何でも器用にこなせて 人生の選択はいつも正しい方を選んできた。 ただ苦手なのは、恋愛だけ。 年齢を重ねるにつれて弱くなる。 終わりを考えて怖くなる。 そんな私の前に現れたのは 若くて綺麗な男の子。 『お姉さんっていつも"うわべ"だよね。 今だって、何考えてるの?』 鋭い。 若い。 しかも顔面強い。 ・・・ でも私は キミには絶対に落ちない。

          1.【連載小説】 rencontre