見出し画像

悔しいと感じたとき、ぼくは生きていると思えた



落選した。

久々に悔しかった。

もしかすると、ここ4、5年でいちばん悔しかったかもしれない。

悔しさをまぎらわすべく昼から缶ビールを飲んでやった。350mlでは足らないと、500ml缶の栓を抜いてやった。

それぐらい悔しかった。



※※※



先日、cakesクリエイターコンテスト2020というモノに自身初制作となる短編小説を応募した。

リンクを用意したにも関わらずその中身を覗こうともしないぼくのようなズボラさんに、それはいったい何なのか?を簡単に説明する。

cakesクリエイターコンテスト2020とは、このウェブサイト(note)を使って開催されたコンテストで、cakes編集部が投稿された内容を審査し、cakesでぜひ連載してほしい!と思ったクリエイターの方に賞が贈られるという、言わば新しいクリエイターを発掘しよう!的な企画である。

応募作品は7000以上。その中にはすでにnote界で名をはせている猛者の方々もいて、コンテストは大変な賑わいを見せていた。

正直なところ、落選するだろうとはおもっていた。書く技術ひとつとってもぼくの力はまだまだだ。だから、落ちて当然だと挑戦するまえからおもっていた。

そして、結果は予想通りだった。



分かっていたことだ。

明けない夜はないように、ウラがあればオモテがあるように、ある意味、自然の摂理と同じレベルでぼくは「ぼくの落選」を予想していた。

だがしかし、結果がでてみれば、その予想からは予想できないほどに悔しい気持ちでいっぱいになった。

合格発表で受験番号を探すように、コンテストの途中結果にぼくの名前を探した。しかし、いくら探してもそこにぼくの名前はなかった。


久々に悔しかった。

もしかすると、ここ4、5年でいちばん悔しかったかもしれない。

悔しさをまぎらわすべく昼から缶ビールを飲んでやった。350mlでは足らないと、500ml缶の栓を抜いてやった。

こんなときぐらい、いつもの発泡酒をスーパードライにしてやろうかと意気込んだが、さすがにそれはやりすぎだと思いとどまった。

ビール(発泡酒)はメチャクチャうまかった。昼から飲む酒は妙な背徳感を与えてくれる。そのことが、さらにビールをうまくさせた。

グビグビ、グビビビビッ!と、それはそれは勢いよく飲んでやった。炭酸のシュワシュワで喉が悲鳴をあげていたが、そんなものは気にならなかった。そして、モノの数分で飲み切ってやったとき、ぼくは思った。

悔しくて、いいじゃないかと。



悔しいと思えるこころがある。それは、まだ伸びしろがあるってことだろう。であるなら、悔しいという感情は、何も悪いことではないじゃないかと。

久しく忘れていた感情。もうなくなってしまったと薄々諦めていた感情。それが、ぼくのなかにまだあった。そのことをまず喜ぶべきだと、ほろ酔いのぼくは思ったのだった。



※※※



ほろ酔いのぼくはその後、さらにビールを煽りつつ、なぜここまで悔しかったのかを自分なりに考えてみた。

負けず嫌いの性分が復活したのではないか。実は、いいところまで行くと数ミリではあるが期待していたのではないか。もしくは悔しいという思いを口実に、ただ昼からビールを飲みたかっただけではないのか。

いろいろ有力な仮説があたまを巡ったけど(特に昼からビール説は強め)、最終的に落ち着いたのは「自分の想像する以上に本気で書いていた」からではないかという結論に至った。

本気で書いたから悔しい。ここまで悔しいのは本気で書いたから。自分なりに力を入れていたんだなぁと、少しだけ自分を褒めたくなった。


終わってみればあっけない幕切れだったけど(そして、それは応募した大多数のひとがそうなんだけど)、この一連の体験はぼくにとって、とても良い体験だったと今では感じている。

悔しいと感じたとき、ぼくは長らく忘れていたこころの振動を思いだした。大人になるにつれ徐々に失われたと思っていた感情は、綺麗さっぱり枯渇したワケではなかった。

ぼくは、ちゃんと生きている。

悔しいと思ったとき、ぼくはそのことを強く感じたのだった。





P.S.今回はダメだったけど、気持ちをささっと切り替えたぼくは、すでにちがうコンテストに挑戦している。

#キナリ杯 というやつで、これまたnoteで開催されているコンテストなんだけど、次は8000文字超えの短編小説をぶち込んだ。笑

こちらも文字通り「全力」で書いたので、読んでくれると嬉しいです。

速読と遅読と、大きなメガネの女の子と。


まだまだ頑張れる。

これからもいけるとこまでは、諦めず挑戦していこう。

今はそう、思っています。







我に缶ビールを。