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痛みと辛さで芽生えた当事者意識

告知されても当事者意識がなかった

入院中、私は手術も抗がん剤投与もどこか人ごとのようにこなしていた。例えるならば、私が主演の映画をもう一人の私が観客として観ているようだった。Minakoはがんの告知を受ける。まさに晴天の霹靂で、ショックを受ける。すぐ詳しい検査を受け、治療計画が立てられる。そして、抗がん剤治療を受ける。無事に病気を克服してハッピーエンド。エンドロールに流れる私の名前。ジ、エンド。

それくらい、私と、がんとが結びついていなかった。がんになることは、私の人生計画には全く入っていなかった。だから、乳がん検診も受けたことがなかったし、保険にも入っていなかった。想定外の出来事だった。

現れた副作用

退院してすぐに副作用が出た。先生や看護師から説明を受けていたのでわかってはいたが、こんなに多様な副作用に悩まされるとは思わなかった。具体的に挙げると、倦怠感(体が動かない、すぐに横になりたくなる)、頭痛、吐き気、便秘、下痢、腹痛、皮膚炎。脱毛。日ごとに症状は変わり、明日はどんな体調かわからない。体調が良い日というのはなかった。

それでも、一日ずつ調子が良くなっている気がするのでまだ希望が持てた。1週間の流れとしては、木曜日の朝に退院し、金曜~日曜日はごろごろと寝て過ごし、月曜日にちょっと体が楽になり、火曜日に買い物のために短時間外出できたくらい。(明日にはまた投薬するのだが・・・)

今まで、当事者意識のなかったのは、体に何の違和感もなかったからだったんだな(シコリ以外で)。副作用で体が辛いとき、動けないとき、苦しいとき。他の誰でもなく、私の体が病を患っているということを嫌というほど思い知らされる。それは、私の痛みであり、私の苦しみであり、私の絶望である。他の誰とも純粋にシェアすることはできないし、当然ながら代わりに引き受けてもらうこともできない。

副作用でぼーっとする頭の中で考えたのは、そんなことだった。つまり、痛みや辛さのおかげで私にはようやく当事者意識が芽生えた。乳がんになったのは、最初から最後まで私の体が原因で、私が解決する問題じゃないか。何をのんきに構えているのだ。自分で自分に激しくツッコミを入れた。

それと同時に、ただ、自分の体に向き合い、私に残された治癒力と医薬の力を信じて、この病を治していくしかない、という諦観にも似た覚悟が生まれた。

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