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金沢で、三大ミステリ作家のトークイベントを拝聴してきました!②

 この記事は、2023年7月16日に、石川県立図書館で開催された『三大ミステリ作家、鉄道ミステリを語る』というトークイベントを拝聴した備忘録です。
 コチラのイベントに関連する企画展、『鉄道タイムトラベル』『ミステリ作家たちの横顔展』については、以下の別記事に書いています。

参加までのことなど

 休日申請時に、このイベントがどれだけ凄いことなのかを説明するのに、「バットマンとアベンジャーズのうち二人が共演するくらいの事件です」っていったら「そりゃすげぇ」ってご理解いただけたんですが、そういうことでしょ、このイベント。

↑このポスターの、大サーカス感すきすぎるw 

 先日、限界研さんのイベントに参加した感想記事でも書きましたが、自分が子どもの頃から大好きな作品の作家が、目の前で動いている!、声が聞ける!というのは、ホントに貴重なことなので、抽選開始時刻丁度に申し込みました。そして無事機会に恵まれました!
 以前、コチラの「押絵と旅する男」の読書会に参加した際に、その会の主催者である司書さんが担当されたミステリコーナーを見て帰ったのですが、もう、ゴリッゴリの本格・新本格好きにブッ刺さる棚だったので、この図書館のミステリ関連イベントに対する期待もあり、他の会場ではなく石川県立図書館で開催というのも、個人的に嬉しかったです。

 そして、今回のイベントの最後にサイン会があり、一作家につき一冊、持参した本にサインを頂けるという、大盤振る舞いぶり……!!!!
 サイン会って、会員限定の有料イベントとか、新作の出版記念に本を買ったら……みたいなのじゃないんですか? ええんか……絶対140人、全員書くことになるのに……? って一瞬、宇宙猫になりましたよね。

 で、サインを入れていただく著作ですが、……ぜんっぜん決められない……_(:3 」∠)_
 竹本先生は、『匣中』か、智久シリーズか虚学研シリーズかで迷って、やっぱ智久シリーズだなって決まれば、あとは自分の好みの題材である『涙香迷宮』に比較的パッと決まりました。
 麻耶先生は、メルカトルシリーズか神様シリーズかで迷って、やっぱ『翼ある闇』でバックドロップキメられたメルカトルに絞ったものの、どれにするかで迷い『鴉』に。
 いちばん迷ったのが、有栖川先生。まず、著作が多い。火村か江神かって迷いより、鉄ミスイベントだし『マレー鉄道』や『赤い月、』とか『鉄ミス旅』の鉄道関連の著作にするか、ハマった切欠の『スイス時計』にするか、とかで色々候補が上がる……。結局、候補全部持って行って、現地で『乱鴉の島』にしました。

涙香が鴉に挟まれる形となった、神々のサイン本。

 『乱鴉』を選んだのは、麻耶先生のを『鴉』にしたからではなく、二〇〇〇年代前半は私の中で第二次ミステリブームの真っ最中で、『鴉』も『乱鴉』も徹夜で夢中になって読んだ思い入れが強い一冊でもあるので。

「鉄道ミステリを語る」トークイベント開始。

 昼食を外で済ませ、開始30分前に広場に行くと、もう開場しており7割くらいの席が埋まっている状況に……! そりゃ、お一人でも140席即埋まるだろうビックネーム×3人だもんな……。
 年齢層は学生さんから年配の方まで幅広く、男女比も半々か少し女性が多いかな?くらいの印象。

 二人並んで座れる席の中で、今回も一番遠い席を確保。はい、近いとオタクは溶けるから。神に近づきすぎるとどうなるかを人類はイカロスに学んだ。
 席の段差が絶妙な設計で、前の席に人がいても全然気にならず、私は視力もいいので、遠くても表情までバッチリ見えました。

※以下のお話は、要約してメモしているため、この通りではありません。
特に言い回し、お互いの呼び方などは変更・統一しています※

 先生方を拍手で迎え、司会の司書さんから先生方の簡単な経歴の紹介と先生方の挨拶があり、トークイベント開始。
 麻耶先生が、ポスターどおりに蛇(ぬいぐるみ)を巻いて出てきてくださって、こういうファンサありがてぇ、と心の中で拝みつつ拍手。

三大ミステリ作家、鉄道ミステリを語る。

 まず、今回のイベント開催についてのお話から。

竹:金沢で横顔展をやることが決まって、鉄道の展示があるなら鉄道ミステリのトークイベントを開いて……と思って、鉄道と言えばこのお二人だろうということで、有栖川先生と麻耶先生にお声がけしました。
麻:横顔展にお声がけ頂いた時、(提出物を)どうしようかと思って、学生時代の原稿はないし、今はデジタルだから、ハリネズミ(のイラスト)にしたんですけど、横が円居(挽)先生で安心しました。(※円居先生の<落書き>はペン一発書きの簡単な図解メモでハードルが下がったという意味)
竹:あのハリネズミ、色紙でほしいって声もあって、好評ですよ。
麻:(笑)(展示を見ると)作家が死んだら、ああいうのも展示されるって思うと、死後飾られるものを考えておかないとなと思います(笑)
竹:有栖川先生の展示ですけど、昨日『46番目の密室』を読んでいて、改めて綾辻(行人)先生との共通性を再認しました。
有:(<落書き>は)14歳の時に書いた作品の犯行現場なんですが、ラストシーンが綾辻先生の『十角館の殺人』のラストに似ていたかなと。綾辻先生とは、名前の付け方やセンスが近いと感じることもありますが、作風は全然違うので、面白いなと思っています。
竹:そういう発見もあって、横顔展をやってよかったと思います。

竹:今回のイベントを開いておいてなんですが、私自身はあまり鉄ミス読んでいなくて、鉄道にもそれほど強い興味があるという訳でもないので、(鉄ミスのお話は)お二人にお任せしたいのですが(笑)
麻:鉄ミスといえば時刻表だと思いますが、あれが苦手という人も多い。私は、鮎川(哲也)作品の時刻表などは苦にならず見ていたのですが、ミス研で犯人当てをやっていた時に、分厚い束の時刻表が出てきた時は流石に「踏み絵かな?」と思いましたね(笑)
有:昔は出張などの時は時刻表を見るのが一般的なことでしたが、最初は見方がわからないから、(鉄ミスの時刻表を見るのが)面倒になるんですよね。でも、時刻表を読めなくてもいいんですよ。あくまで時刻表は担保のようなものなので、作家を信頼して読んでいれば必要ないんです。本当にそうか?と疑うから必要になる(笑)

竹:鉄道好きになったきっかけは何でした?
麻:後輩に誘われて九州に行ったときに、阿蘇を見てハマってしまって、もっと他の景色も見てみたいと思ったんです。そこから乗りつぶしを始めました。
>(麻耶先生の乗った鉄道のお話が少し続いて)
有:私も乗りつぶしをやっていますが、地下鉄まではさすがに……景色見れへんやん、て。
麻:だから夜に乗りつぶすんですよ(笑)
有:でも、(マニアの中には)夜はノーカンとか、寝たらアカンとか、ルールあるでしょ?(笑)
麻:左右どっちの景色も見ておかないと、とかね(笑)

竹:阿蘇といえば、映画『真夜中の招待状』の車窓風景が好きです。(※内容は未確認ですが、映画のロケ地に熊本市と記載がありました)なんというか、きもちわるくて(笑)
有:きもちわるいからですか(笑)麻耶先生は(阿蘇の)いい景色を見たから乗り鉄になったという事でしたけど、私は逆に小説からで『殺意の風景』(宮脇俊三)などの鉄ミスを読んで、「鉄道ってそんなおもろいんか?」ってなって、実際やってみたら、これが面白かった。そこから「日本の鉄道100選」(※おそらく『日本の鉄道 車窓絶景100選』/新潮新書の事と思われる)の座談会を読んだら、全部乗って、全部覚えている人同士が話あって盛り上がっている。それがミステリファン同士の会話みたいで楽しそうで、「その話に入れるようになりたい」「入れるようになるには乗らんと!」という感じで、本をきっかけに鉄道に入ったんです。私は鉄道マニアでもないし、最近はミステリマニアというのも気が引けるのですが(笑)
竹:真のマニアは細かい数字まで全部覚えてたりしますしね(笑)

有:大学まではそんなに旅行とかしなかったんですが、学生時代の友人に鉄道マニアがいて乗りまくりました。友人は関東出身だったので、関西にいるうちに乗りつぶすぞ!と、なんにもないローカル線にも乗りましたね。
麻:私も旅行は(乗り鉄になるまで)あまりしなかったです。インドア派なので。
竹:お二人で鉄道旅行とかは、されたことはないの?
有:楽しそうだけどないですねぇ。
麻:一緒にってなると、流儀がちがうかもしれないし(笑)
竹:流儀(笑)
(○○を使うのはダメなど、乗り鉄の流儀の色々を少し)
麻:(インドア派でしたが)青春18きっぷでどこまでいけるか、とかはやりました。
有:東京-大阪間の在来線はやりました?
麻:乗りやすいですよね。
有:登竜門的な、ね。

竹:麻耶先生は、鉄道お好きなのに鉄ミス書いてないですよね?ご予定は?
麻:ないですね。書いてみたいとは思いますが、いいネタが……。学生時代に密室(の舞台)を鉄道にしたのは書きましたが、今書くとなると、僕は世界を捻じ曲げがちなので、鉄道ファンから怒られそうで(笑)
一同:(笑)
有:最近はアプリとかで(時刻やルートを)調べられるから、もう鉄ミスは書けないって言われるの、ちょっと腹立ちませんか?
一同:(同意の反応)
有:どんな乗り継ぎをしても不可能、というのをやっているので「調べたらわかるじゃん」というのは違う。それに、調べ尽くせないとか調べたくなくなるようにさせる方法や、違うルートだと思い込ませるとかいうのが、(鉄ミスの)テクなんですよ。鮎川(哲也)先生の作品とか……ネタバレになるので言えませんが。
竹:西村(京太郎)先生は?
有:西村先生はちょっと違って……。
(※量が量なので今回深くは語られませんでしたが、2023年度版このミス大賞の企画で「西村京太郎この一冊 トラベルミステリーならこれ!」に「寝台特急殺人事件」などの5作品を挙げておられたなと思いました。気になる方はそちらをご覧ください)
 西村先生で面白いと思ったのが、西村先生の鉄ミスにも売上に波があるそうで、その理由が作品の舞台とか列車の人気とは別なんですって。<寝台>って付いているものや<さくら>とかより、<サンダーバード>のほうが売れるらしい。のんびりしたイメージのものより、サスペンス的な響きを持つ名前がタイトルに入る方が売れるというのは、西村先生があれだけの量を書いたからできた発見ですよね。

竹:鉄ミスのマイベストとかありますか?
有:難しいですね。時刻表とか鉄道色の強いものか、サスペンス要素重視のものかによりますし……。
麻:『○○』(※伏字にさせていただきました)は、トリックは解っちゃうんですが、鉄道描写は素晴らしいし、『●●』なんかは、前半のめちゃくちゃ精緻な鉄道描写をあっさり爆破させちゃうのとか、ある種の美学を感じますし……。
有:『△△』で新幹線の速度が何キロ以下になると車両が爆破するタイプのミステリで、仙台発だと「すぐ東京ついてまうやん」って思っていたら、線路をつなぐという展開になって「んなバカなw」って思いながらも読んじゃう(笑)
竹:それはユーモア(小説)で?
有:いや、マジです(笑)
一同:(笑)

竹:自作に「蜜を、さもなくば死を」(『せつないいきもの』収録)というのがあって、鉄ミスと言えなくもないのかな?
(※内容の説明は伏せさせていただきます。読んでご確認ください。)
有:それ、めっちゃ鉄ミスじゃないですか!それは良い事を聞きました。楽しみに読ませていただきます。欲をいえば麻耶先生からも、鉄ミス書きますって言質がほしいところですけどね(笑)
竹:またハードルが上がりましたね(笑)
麻:書くなら、来年(全線開通したら)乗りに来ないとですね、(鉄道マニアとしての)イメージもあるから(笑)

※15分の休憩を挟んで。

有:少し休憩長かったですかね?ダイヤに乱れが生じております(笑)
一同:(笑)
竹:もう鉄道に関して話すことなくなっちゃった感じです?
有:私は延々しゃべっていられますが(笑)
竹:ワンマンショーしますか?(笑)
有:(客席の)みなさん、二階の鉄道の展示は、もう見られましたか? そこでミニ新幹線といっしょに写真撮ってもらったんですよ。あれ、いい写真になってますよ(笑)
竹・麻:(笑)
(後日、Twitterにヤマギシルイさん(@rois_ymgs)さんがお写真を上げて下さっているのを発見しました。ほんと、いいお写真です)

(※ヤマギシルイさんは8月6日石川県立図書館で下記のイベントをされます。名作文学×マジックという新感覚マジックショーとのことで、お近くの方は夏休みの思い出にぜひ!)

(※休憩中の事など少しの歓談があり、鉄道のお話に入る。)
竹:今、寝台車ってなくなってきていますが、やはり乗りたいものなんですか?
有:昔は沢山走っていたので乗りましたけど、寝台車の乗りつぶしはしていないですね。若い時には高価なものだったので。社会人になってからは宮崎や鹿児島には(寝台で)行ってましたね。
竹:寝台車って、いい雰囲気ですよね。なつかしい、というか。それに、いかにもミステリっていう、何か起こりそうな雰囲気で。
有:日本は個室になっていないから、(オープンな場では)逆に事件は起きにくいんですけどね。財布の盗難とかはあるけど(笑)寝台車のイメージといえば、寝台車って実は遅いんですよね。名前は寝台特急なんですけど、音とか急ブレーキとかの問題もあって速度が出せない。早く着きすぎても困るから、ほどよい時間に着くように速度調整されていますし。麻耶先生は、(寝台車ブームの)世代じゃないですよね?
麻:乗る機会がなかったですし、地元(の範囲内)で暮らしてましたね。
有:乗れるよう(な年齢)になったら、なくなっちゃってた?
麻:乗っても枕が変わると寝れないので(笑)20代の頃乗った時は、ずっと外見てました。夜なんで、真っ暗ですけど(笑)
一同:(笑)
有:私は修学旅行で「明星」に乗りました。嬉しかったですね。ベッドが3段で、一番上は天井が湾曲して狭いのでジャンケンで取り合ったり……それが初めての寝台車でした。
(※関西-九州を結ぶ寝台特急列車「明星」と思われる。昭和61年運行終了。寝台は開放式で、ドミトリーホテルのように3段ベッドをカーテンで仕切る形)
竹:(眠るなら)昔はフェリー(という選択肢)もありましたよね。
有:体が楽なのはフェリーなんですけどね。
竹:電車なのに寝られる、というのがウリですもんね。
有:日本は鉄道利用率が高くて、みんなが電車に乗った経験を持っていて、そんな国で鉄ミスが発達して……っていうのは、財産ですよね。
竹:時刻表だけじゃなく、車両番号とか駅の名前とか、料理の仕方が沢山ありますし。
有:音とかも使えますね。たまにマニアの方が録音されてると、周りで音たてちゃ悪いなって緊張します(笑)
竹:ほんとに、鉄道は捨てるところがない(笑)
有:クジラみたいですね(笑)
竹:どう料理します?麻耶先生。
麻:鉄道は(リアルな資料を)勝手に変えられないので……。
有:辻(真先)先生とかは架空の鉄道や時刻表を作られますよ?
麻:それだと、既存のものでやるより、もう一段階(オリジナリティ)求められますよね?余計にハードルが高くなっちゃいませんか、ってグチみたいになっちゃいましたが(笑)

有:こういう話してると乗りたくなってきませんか?
竹:地元(※出身地ではなく現住のほう)の九州新幹線も全然乗ってないんですよね。
有:石川で北陸新幹線乗ったことないみたいな状態なんですね(笑)
竹:最初に鉄道詳しくないと言いましたが、今日お話し聞いていて、私は鉄ミスだけでなくミステリも知らないことが多いなと。あまりミステリ読まないままデビューしちゃったので……。
有:それはデビューが早すぎただけでは?(笑)
竹:自分はミス研入って……とかの体験がないので、お二人が羨ましいです。学生時代の先輩後輩のエピソードとか。そういうのあります?
麻:いかつい先輩とかはいましたが(笑)「○○読んでないんかい!」みたいな、文系の中の体育会系っていうか。
有:京大ミス研の『蒼鴉城』(※京大ミス研の機関誌。年1回発行される。読みは「そうあじょう/そうあのしろ」。先生は「そうあのしろ」読みでした)読んだ時ビックリしたのが、作品に書評が入っているんですよ。まあ、メンバー同士で勝手に書いてるんですが。麻耶先生も書評書きあったりされました?
麻:私の時は(新入部員は)自分ひとりだけでしたけど(笑)
有:伝統ある京大ミス研にも波があるんですね(笑)綾辻先生のデビューの効果で増えたりしなかったの?
麻:様子見に来たりとかはありましたが……。ガチ勢が(ライトなファンを)ビビらせちゃったりして、みんな見学だけで去ってっちゃった(笑)
竹:それはよくないやつ(笑)
有:ありますよね。好きなミステリ聞かれて、最近のヒット作とか答えると笑われたり。古典のアレを読んでないだとか。「べつにええやないかい!」ってね。
竹:そういうののほうが健全なのにね。
麻:乗り鉄始めた頃に「アレ乗ってないの!?」とか言われてたらやめてましたよ(笑)
有:「え、そっち側座るの?邪道!」とか(笑)
一同:(笑)

麻:私の時は同志社ミス研が途絶えていたので、京都に(ミス研が)4つしかなかったんですよ。
有:もともとは、京大と同志社にしか(ミス研は)なかったんです。
(※京都の話なので会場の方に向け、京都のミス研の歴史を簡単に説明してくださる。麻耶先生の在学当時は京都全体でもミス研の活動は縮小傾向にあった模様)
麻:当時は、クイ研に乗っ取られかけてました(笑)
有:ちょっと、それは(笑)我々(ミス研)は、SF研に乗っ取られるんですよ(笑)
麻:たしかに(笑)
(※ミステリとSFが親和性の高いジャンルである前提として)
有:あ、ミス研の勧誘方法として、SF研から「キミ、ミステリも読むよね?」とか言って誘ったりするんですよ。クイ研はちょっとどうなんだろ(笑)
麻:今は安泰らしいですよ(笑)
有:女性の読者が増えたのもあるかもですね。昔は(勧誘が)難しかった……ミス研と鉄道研は(笑)
竹:それ(女性ファンが増えたこと)は島田(荘司)先生と有栖川先生のおかげでしょう?
有:いやあ、海外モノや女流作家のおかげとかもありますよ。ひと昔前のミステリは男の読みものだったから、そういう読者に向けてサービスシーンとかも入っていましたが、(ミステリは)そういうものじゃない。だから、竹本先生(の作品)みたいに、オジサンがついてこられないミステリが出てきたのを見て、我々は今のようなものを書こうと思ったんです。
竹:今日は女性も多いですね。
有:自分のファン層ってわからないですよね。感想とかも、女性の方が筆まめでファンレターなどをよく書く傾向にある、とか考えると本当のデータなんてわからないですし。
竹:今はTwitterもあるから、状況も変わりましたよね。
有:こういうイベントがあると「ほんとうに読んでくれている人がいるんだ」って実感できるので、いい機会ですよね。
竹:漫画家とかだと少なくともアシさんとかと(作品の反応など)共有できますけどね。
有:小説は独り作業なので。
麻:結婚するまで執筆中はずっと部屋に籠って作業していたので、この一週間レジの人としか会話してない……みたいなこともよくあって。会話がないと、新しい発見とかもなくて、一人で完結しちゃうんで、よくないなーって。
竹:初期作も一人で?
麻:そのころはミス研にいたので、まだ一人じゃないです(笑)

※ここで時間となり、司会の司書さんから〆のお言葉を……と、あり。

麻:北陸新幹線が全線開通したら、また来たいです。何かきっかけがあると来ようって思いますし。ただ、次はもう少し、閑散期に……(笑)
(※三連休のナカ日だったため駅が混んでいたと思われる)
有:以前来た時は雨だったので、先輩に「雨の金沢もええんやで」と言われたんですが、「いや、晴れとるほうがええわ」と思っていたので、今日晴れてよかったです。最後のサンダーバードをしみじみ乗って帰ろうと思います。
(※北陸新幹線全線開通後、サンダーバードは役目を終えるそうで。最後の機会になるかもという意味)
竹:8月1日から申し込み開始する、綾辻先生たちとのイベントもあるので、そちらもよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
(※下記のイベントのこと)

トークイベントも終わり、サイン会へ。

 20人くらいをアルファベットで区切って、Aから順番に呼ばれる方式なのですが、140人だよ、先生方大変だな……。
 改めて凄いイベントだなって思うのが、おそらく一般的にはあらかじめ用意された本に作家がサイン入れておいて配本とか、名前だけ後から入れるとかなのに、自分でサイン入れてもらう本選べるってとこですよ。
 だから当然私以外の人も、それぞれにいろんな理由でその本を選んで持ってきたんだって思うと、並んでいるみなさんの持っている本を見ているだけでも楽しいんですよね。「あー!それ、私も迷ったわ!」とか、「その発想はなかった!その手があったか!」みたいな感じで、内心興奮していました。

その手があったか!と思った2冊。(だって新本格の聖典と曼荼羅やろ……)

 普段周りにミステリの話できる人いないので、ミステリファンなんて都市伝説上の存在というか、Twitterや文フリにしか生息を確認できない希少生物みたいに思っているので、実在するんだ!しかもこんなに!って謎の感動がありました。(※私の周りにいないだけだな)

 サイン待ちで退屈しないように、司会の司書さんが先生方に関するクイズを出して楽しませてくださったのですが、このクイズ、激ムズすぎませんかwww
 帯の文面がどうだったかとかまで覚えてたら、どうかしているw
 のに、ファンなら分かって当然!みたいに煽ってくるスタイルw
 めっちゃオモロかったです。
 イベント付き合ってもらった友人へのお礼に、麻耶先生の『蛍』をオススメ本として持って行ったのですが、ちょうど『蛍』のクイズが出題されて、人物名がみんな金沢の地名になっている事をそこで初めて知り、金沢の友人に渡すのにピッタリな本だったことも、個人的に良いサプライズになりました。

 むしろ、閉会から2時間かかっても列が終わらず、図書館自体の閉館時間になっても、まだサインされていたので、実質半分はこの司書さんのトークライブなんよw 
 途中、クイズが尽きて観客をイジリ始める、前座ならぬ後座状態w 司書の仕事の幅の広さを知りましたw いろんなスキルが求められるお仕事w
 やってる方も聞いてる方も楽しそうで、ずっと聞いてられるアフターイベントでした!

 その中で、先生方に質問コーナーが設けられ、私が並んでいる最中に、竹本先生が今後の作品予定についてちょこっと教えて下さるというサプライズがありまして、それがおそらく絶対私に刺さるヤツ(思わず腕の中の『涙香』と目の前の先生を見比べてしまった……)なので、今から待ち遠しいです!!

 サイン中は、そうですね……先生方の前に行ったら手が震えて、言葉が出なくて、感想とかもぶっ飛んでですね、カオナシのようになってましたね……ははっ……_(:3 」∠)_
 写真も自分の本のサイン中の先生を撮るのはOKとのことでしたが、竹本先生の時は、『横顔展』開催のお礼を伝えるので精いっぱいで、麻耶先生の時に思い出したものの、何を思ったのか手元だけ映すという謎行動に出て、ラストチャンスの有栖川先生の時にはお姿を何とか収めたものの手ブレがやべぇ(iPhoneてブレ補正機能あったよな?)っていう生来の残念ぶりを発揮……。
 いや、でも、今回は泣かなかっただけエライぞ私!!(前の週の限界研イベの時、法月先生を前に涙声だったからな!)
 前に並んでらしたシュッとした兄さんが、めっちゃ上手いこと感想述べられてるの聞いて、ミステリファンのお手本みたいやな……って思った。それ聞きながら脈の音が自認できるくらいにバクバクだった私には一生ムリや……。
 だから、最後尾が適正距離なんですよ……。
 図書館出る時、ロッカーの荷物とか駐車券の発行とか、色々抜け落ちて、会場横を何往復もする不審者になっていました……。
 その後友人とご飯行ったけど放心状態でした。
 神々の息吹を浴びすぎて、ちょっと脳が溶けたらしく、人の形を取り戻すまで数日かかりました。
 いや、でも、推しを浴びるってこういうことですね。行けてよかった!! 
 普段、近代文やってると、推し(好きな作家)に会いに行くっつっても、もう基本、紙か石だからさ……。推しが生きてるっ!!オラも生きる!!てなります。ありがたい。
楽しい時間をありがとうございましたー!!

さいごに。(この記事について)

 今回、この記事を詳細に書くか、まとめとして流れだけ書くかを迷ったのですが、こういう形にしたのは理由があります。
 私は普段近代文学の資料を読むのですが、近代の作家の座談会とかの記録って、後世の者にもとても貴重なんです。
 公式の映像や記事が残っていたらいいのですが、その座談会が行われたことは事実としてあるのに、肝心の中身が作家の思い出話の中だけになってしまっていて、年月を経ての記憶ゆえに内容に食い違いがある……みたいなことがあるんですよね。

 今回のイベントは、ゆったり楽しいお話のイベントでしたが、座談会の記録から、この作家はこの時点ではこういう構想はないと言っていたとか、この座談会でこの本を読んでいることを明言しているとか、そう言う資料としての価値が座談会の記録にはあるので、普段自分がそういう記録にお世話になっているという個人的事情もあり、今回のお話の中にあった発言が、100年後のミステリファンの役に立つこともゼロではない気がして、詳細に書くことにしました。
 あと、このイベントが参加無料であり、当日会場近くにいれば誰でも聞くことができたというのも書き起こした理由のひとつです。(サイン会があるので、席の申込抽選はありましたが)
 石川県立図書館さんや関係者の方が、公式で記録を公開されるようでしたらトークの部分は削除させて頂こうと思います。

両面びっしり3枚の熱盛トークイベントでした!

 また、筆記を基に記事を起こしているので、録音などの記録がないため、再確認は出来ず、私の聞き間違いもあるかと思いますので、その辺はご了承くださいませ。

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