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これが無いと死ぬ、に出会うと生きられる

これが無いと死ぬ、と思えるようなものと出会えたら。

生きていると、これでもかというほどに打ちのめされる。傷つけられる。上手く笑えなくなったり、作り笑いが貼りついてしまうこともある。自分が自分のことを一番分からなくなるときもある。

現実世界で傷ついたときに、逃げ込める場所、受け入れてくれる場所。その存在は言葉では言い表せないほどに偉大なものだ。沢山持つ必要はなくて、「これだけは」というものがあるのなら、それだけで十分だと思う。

私にとってのそれは、「音楽」と「ラジオ」だ。
弱っちくて、フラフラと不安定で、泣いてばかりの、ひとりじゃ何も出来ない私が、どうにか人の形を保っていられるのは、こうして言葉を綴っていられるのは、他の何でもなく音楽とラジオのおかげなのだ。

電車での移動中も、一人で食事をするときも、ずっと私の耳には音が流れている。誰かと一緒にいる時を除いて、隙あらばイヤホンを付ける。音楽とラジオを聴くことは私の一番の楽しみで、一番のセラピーのようなものだ。

音楽という括りの中でも特に好きなのはライブ。
ライブハウスに足を運ぶと、”生きている”と感じる。衣食住、全ての行動の中で、音楽を浴びるという行為が一番生きている心地がする。心臓がバクバクして、心拍数が上がり、音に合わせて体が揺れる。互いの顔も名前も知らないのに、ライブの日は同じ音楽を愛する人たちがその音が鳴る場所に集うという事象そのものがたまらなく好きだ。

眠るときは、枕元からラジオを流す。一人きりで寝るのが好きだけど、耳から誰かの声が流れていないと落ち着かない。
音楽は集中して聴きすぎて目が冴えてしまうから、トーク番組がちょうどいい。パーソナリティの話し声や笑い声にすごく安心させられる。向こうは私のことなんて一ミリも知りやしないのに、なんでこんなに自分の心身に効く話ばかりしてくれるのだろうと不思議な気持ちになる。ファミレスで隣の席から聞こえてくる会話を盗み聞きしているような居心地の良さに、知らず知らず心に空いた穴を埋めてもらっているのだと思う。

どれだけ日常がつらくても、もう前に進みたくないと思っても、逃げ込める場所があれば生きられる。生きている、それだけでいい。

”これが無いと自分はダメだ、と思えるものがある”ということは、”それがありさえすれば、生きていける”ということだと私は思う。

今週聴いたあの番組、来週も聴こう。
今回のツアー最高だったな、次のツアーも行こう。
あのバンドが来月アルバム出すって、予約しよう。
明日から月見バーガー始まるのか、食べに行かなきゃ。

生きることの楽しみは自分で見つけていけるし、やがてその楽しみは生きがいになる。
生きがいは、死なない理由になる。生きていく理由になる。

それが無かったら危うく死んじゃうくらいに大切なものに出会えたなんて、最高に幸せだ。



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