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ブルキナファソ | ミュージック・ジャーニーvol.31

民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、アフリカ大陸北部に広がるサハラ砂漠の南に位置し、周りを6カ国(マリ、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナン、ニジェール)に囲まれた内陸国ブルキナファソへ、駐日ブルキナファソ大使館の皆様とともにご案内いたします。

ブルキナファソは、もともとヴォルタ川の上流に位置するフランスの植民地であったため、当初はオートボルタ(ヴォルタ川上流の意)と呼ばれていましたが、1984年、当時の大統領トーマス・サンカラによって現在の国名に改名されました。現地の言語でブルキナは“高潔な人”、ファソは“祖国”を意味し、「高潔な人々の国」と称されています。サンカラ大統領は、教育制度や社会保障制度の改善、砂漠の緑地化事業をはじめ、この国に多くの改革をもたらしました。

多種多様な部族の共存
ブルキナファソには、モシ族、ディウラ族、フラニ族など、それぞれ固有の言語や習慣、文化を持った約60もの部族が共存しています。また国民の半数以上が、各地に伝わる伝統宗教を信仰しているほか、イスラム教やキリスト教も根づき、多種多様な部族社会の様子が垣間見えます。

住まいを例に挙げても、褐色の土壁と茅葺き屋根で造られた住居や、遊牧民の生活に適した藁で建てられた家屋など、その地域に住む部族の特性によって様々な違いが見られます。

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ブルキナファソは天然資源が乏しいため、人口約1800万人のうち80%近くの人々が農業や牧畜業に従事し、綿や米、とうもろこし、胡麻などの栽培で生計を立てています。気候変動の影響を受けやすい地域では、耕作に必要な新たな土地を開発するため、常に外国からの強力な援助が求められています。

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ブルキナファソには約8000の村が存在しています。それぞれの村のマルシェ(フランス語で「市場」)では、各地で育てられた新鮮な野菜やフルーツ、生活必需品などが販売され、人々の暮らしが伺えます。

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ブルキナファソの代表的な料理は、ミル粉やトウモロコシ粉を練ってつくられる“トウ”で、トマトや木の実などの食材で作られたソースにつけて食べる国民食です。他にも、魚や鶏肉、野菜を米と炊き込んだ“リ・グラ”や、世界最小のパスタといわれるクスクスをヨーグルトに絡めたデザート“デゲ”なども人気を呼んでいます。また首都ワガドゥグでは、街の至るところで、日本でも馴染みのある焼き鳥や牛肉の串焼きが売られています。

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賑やかな街並みと豊かな自然
首都ワガドゥグは、11世紀より、この地で栄枯盛衰を繰り返してきた王国の中心地として栄えてきました。現在、市内には、近代的なホテルやブティック、ワインバーが建ち並び、演劇、コンサート、映画などのエンターテインメントも楽しめ、アフリカにおける芸術・文化の街として知られています。

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ワガドゥグから西へ25km離れたバズーレの村には、多くのワニが生息する沼があります。ここは自然動物保護区に指定されており、村の人々にとって、ワニは神聖な生き物として扱われています。子供たちは、幼い頃からワニに慣れ親しみ、驚くことに、一緒に泳いだり、背中に乗ったりしている光景が見られます。

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ブルキナファソ東部には、ニジェールとベナンにまたがるユネスコの世界自然遺産「W(ドゥブルヴェ)=アルリ=ペンジャリ国立公園複合体」があります。熱帯雨林が茂る湿地帯と、乾燥したサバンナ地帯が広がる公園内には、何百種類もの動植物が生息し、ゾウ、ライオン、カバ、イボイノシシなどの大型哺乳類を間近で見ることができます。

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またブルキナファソ南西部の中心都市バンフォラでは、ファベドゥグードームと呼ばれる奇岩群や、美しい滝を眺めることができます。

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様々な伝統行事と文化
国内の多くの村では、作物の収穫や出生、葬儀、酋長の就任式など様々な生活の節目に、その村に古くから伝わる行事や儀式が行われています。そこでは賑やかなダンスや歌唱、文学などが披露され、伝統芸能や音楽が村の慣習として深く根づいていることが伺えます。

「ワガドゥグ国際工芸見本市」は、人的交流を通じてアフリカ工芸品の輸出促進と工芸技術の向上を目的に、1988年より隔年で開催されています。会場には、アフリカ全土約30ヶ国に加え、フランスや中国、キューバ等の国々からも、アーティストやマスコミ関係者、バイヤーが集まってきます。毎回、入場者数は50万人を超え、アフリカの伝統工芸品が一度に見られる貴重な機会となっています。

また、首都ワガドゥグから西へ、車で5時間離れた町デドゥグでは、1996年より2年に一度、西アフリカ最大のマスク・フェスティバル「フェスティマ」が開催されています。人や動物の顔を模した仮面に、草や木、藁などの素材で作られた衣装が個性にあふれ、観客の目を楽しませてくれます。この神秘的な化身は、神や先祖と交信を図るための仲介役といわれ、西アフリカの人々の精神世界となっています。2004年にはユネスコの無形文化遺産に登録され、今では、近隣諸国の部族も参加し、国際的なイベントの一つに位置づけられています。

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ブルキナファソの民族衣装は、国産綿花を使った伝統布“ファソ・ダンファニ”で織られており、国民の多くが性別に関わらず公の場で着用しています。

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ブルキナファソの音楽文化
ブルキナファソでは、西アフリカ特有の打楽器“バラフォン”や西アフリカ発祥で300年以上に渡り受け継がれてきたリュート型の撥弦楽器“コラ”、ひょうたん製のドラム“カラバッシュ・ドラム”、 金属片7枚の親指ピアノ“アギディボ”などの珍しい楽器が、様々なフェスティバルやアーチストの演奏で用いられています。これらの伝統楽器は、民音音楽博物館にも所蔵されています。

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今回、駐日ブルキナファソ大使館より、4組の音楽家を紹介していただきました。
ブルキナファソならではの伝統楽器や衣装を用いた音楽家の演奏をぜひお楽しみください。

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<アミティ メリア>
ブルキナファソのマンディンカ族で、アフロアーバンミュージックのパイオニアの一人として名高いミュージシャン。彼女のミュージックアルバムは、2000年と2008年に、西アフリカとアフリカ大陸のベストアーティストにノミネートされました。アフリカ大陸の平和とさらなる発展を願い、勤勉と連帯、団結を提唱し、活動しています。

1. 「Bilai- AKODI」

2. Amity Meria -Tonnon

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<ビル アカ コラ>
ブルキナファソ南部のカセム民族の伝統的なリズムとジャズを融合させたジョンゴやロック、ブルースの影響を受けた音楽を奏でるギタリストでありシンガーソングライター。幅広いテクニックを有し、映画やドキュメンタリーの音楽制作も行っていて、国内で広く知られています。

「アンノウ」 ビル・アカ・コラ feat. Magic System

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<アワ ブシム>
ブルキナファソのブルグ州にあるキポウラ出身の歌手。2009年に地元の文化協会主催のコンテストで優勝。2011年には、彼女の最初の自作アルバムをリリース。その後、ブルキナファソやコートジボワール、ヨーロッパ、そしてアメリカでも演奏活動を行う他、テレビやフェスティバルにも出演するなど活躍しています。

Hawa Boussim - Koregore

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<ZOUGNANZAGUEMDA>
1978年から音楽活動をする傍ら、ブルキナファソの歴史や様々な王国、民族、文化などを深く理解するためSONG TAABA団に所属。1991年には、彼自身のグループ“PENGD WENDE”を結成し、“ヴェルビンデ”という伝統的な踊りで人気を集めています。

Zoug-Nanzaguemda - Zemes Taaba 「ゼメス・ターバ」

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皆さんブルキナファソへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:駐日ブルキナファソ大使館

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

この記事は英文での提供もしています。
https://www.min-on.org/10677/min-on-music-journey-no-31-burkina-faso/

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