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インド”伝統と革新” | ミュージック・ジャーニーvol.76

ガンジス川

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、南アジアの大国インド共和国へご案内いたします。

インドの旅のしおり
・オールドデリーの商店街で古き良きインドの空気を味わおう
・生のボリウッドをミュージカルで楽しもう
・エリアごとに異なる伝統楽器の音色を聴いてみよう

国連人口基金の調査によれば、2023年内にはインドが人口世界一になるという見通しが示されています。急速な人口増加に加えて、特にIT分野における成長が著しく、世界を牽引する目覚ましい経済発展を続けています。

インダス文明から続く長い歴史を持ったインドには、さまざまな見どころが存在していますが、今回は代表的な3つの都市を音楽とともに旅しましょう。

世界遺産 タージ・マハル

活気あふれる大都市 首都デリー

北部に位置するデリーは政治の中心地であるとともに、ファッションやカルチャーの発信地でもあり、パワーと活気に満ち溢れた都市です。デリーには、首都機能のほとんどが集まるニューデリーと、古き良き街並みが残るオールドデリーがあり、それぞれ異なる顔を持っています。

インドの玄関口 ニューデリー

ニューデリーの中心街は、イギリスの都市計画に基づいて生まれた比較的に新しいエリアです。近代的な建物が並ぶ街並みは、まさにインドの玄関口といった雰囲気を感じさせます。

官庁街にはインドを象徴する史跡の「インド門」があり、夜に美しくライトアップされた姿は多くの観光客を惹きつけます。また、ガンジーゆかりの地でもあり、荼毘に付されたラージ・ガートの向かいには、貴重な遺物が展示される「ガンジー国立博物館」があります。

人々の生活に密接したオールドデリー

オールドデリーは、昔ながらのインドでの暮らしが今も残るエリアです。目抜き通りの商店街「チャンドニーチョーク」は、庶民の台所として古くから親しまれており、伝統的な店構えが残る職人街でもあります。

また、一帯にはヒンドゥー教をはじめとする数々の宗教施設が共存しており、多様な国民が尊重し合って暮らすインドを象徴する地域でもあります。

北インド発祥の伝統舞踊 カタック
古代北インドで生まれた伝統舞踊「カタック」は、神話や叙事詩(ラーマーヤナなど)の語り部が各地を回る際、パントマイムを用いた踊りや歌を用いたのが発祥とされています。やがて時代とともに王侯貴族に好まれるようになり、芸術として昇華されるなかで、高度な身体表現が特徴の舞踊へと発展していきました。

ここでは、2008年に行われた民音公演「偉大なる魂・インド伝統芸術の至宝」より、『純粋舞踊のカタック』をご覧いただきます。迫力満点のステップと回転、太鼓「タブラー」の複雑なリズムをお楽しみください。

ボリウッドを生んだ街 最大の都市ムンバイ

インド西海岸に位置するムンバイは、国内最大の経済・商業都市です。世界遺産にも登録された「チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅」や、世界最大の公共洗濯場「ドービー・ガート」など、この地域にも観光客に人気のスポットが数多く存在します。

ムンバイといえば、旧都市名のボンベイに由来してその名がつけられた「ボリウッド」の本拠地としても広く知られています。ムンバイでは年間1,000本以上の映画が制作されており、制作本数は堂々の世界一を誇ります。

最近では、舞台で生のボリウッドを見られるミュージカルも誕生しており、高い人気を集めています。

民音では、2023年10~11月にかけて、近年大注目のインドエンタメを生の迫力満点の完全オリジナルのミュージカル「ムンバイ☆スター」を開催しました。インドの魅力をぎゅっと詰め込んだエンターテインメント・ショーで各地で称賛の声をいただきました。

インドのシリコンバレー バンガロール

南部には世界のトップ企業が集結するIT都市、バンガロールがあります。南インドの文化とヨーロッパの文化が融合したこのエリアは、先進的な高層ビル群と豊かな緑が織りなす美しい景観が特徴となっており、「グリーンシティ」とも呼ばれています。

また、1878年に建設された「バンガロール宮殿」は、複雑な建築様式が組み合わさった壮大なデザインが特徴であり、ローリング・ストーンズやアイアン・メイデンなどの世界のトップスターたちがコンサートを行ったことでも有名です。

南インド発祥の伝統舞踊 バラタナーティアム
バラタナーティアムは、インドでもっとも古い起源を持つ伝統舞踊です。もともとはヒンドゥー教の神に捧げるための舞踊であり、巫女であるデーヴァダーシー以外に踊ることは許されていませんでした。
しかし、20世紀に入ると、ルクミニ・デヴィという女性によって大きな変化がもたらされます。厳格なバラモンの家庭に育った彼女でしたが、バラタナーティアムの魅力に心を奪われ、自らも習うようになります。
その後、一般大衆も踊れるものにするため芸術学校「カラクシェートラ」を設立し、バラタナーティアムの地位向上に大きく貢献しました。

2002年の民音公演「魅惑のインド古典舞踊リーラ・サムソン」で招聘したリーラ・サムソン氏も、カラクシェートラの門を叩いた1人です。ここでは、当公演のラストを飾った舞踊、『チャーリシュヌ』をご覧いただきます。バラタナーティアムの繊細かつ情熱的な表現をお楽しみください。

インドの伝統楽器

インドの伝統楽器が持つ神秘的なサウンドは、ビートルズやマイルス・ディヴィスの作風にも影響を与えるなど、世界の音楽に新たな可能性をもたらしました。そのうちのいくつかは、民音音楽博物館にも所蔵されています。

ここでは、再び2008年の民音公演「偉大なる魂・インド伝統芸術の至宝」より、『タールワディー・カーチェーリー』をお届けします。南北それぞれを代表する打楽器の音色やパターンの違い、両者の高度なコラボレーションをお楽しみください。

最後に、国際的な活躍を果たすインドの著名な音楽家の演奏をお楽しみください。

1.Chennai Rooftop Jam - A.R. Rahman

グラミー賞やアカデミー賞を始め、数々の著名な賞を受賞している作曲家・演奏家。2019年公開の映画『99 songs』では、Vishwesh Krishnamoorthy監督と共同執筆・プロデュースを手掛け、すべてのBGM・サウンドトラックも担当。

2.Tabla Solo - Zakir Hussain

“世界最高”とも称されるタブラ奏者。超絶的な技巧と圧巻のパフォーマンスにより、伴奏楽器として扱われていたタブラの音楽的可能性を次々と開拓する。各国の著名なアーティストの収録に参加し、タブラの魅力を世界に知れ渡らせた第一人者。

3.Live at Afghan Church - T.H. Vinayakram

“ガタムの神”とも呼ばれるガタム奏者。70年近い壮大なキャリアを通じ、ガタムの魅力と名声を広めた功績が称えられ、国内でも数々の賞を受賞する。1996年にはZakir Hussainとともに、アルバム『Raga Aberi』でグラミー賞の最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞にノミネートされている。

4.Divine Tranquility - Pt. Vishwa Mohan Bhatt

インドを代表するスライドギター、モハン・ヴィーナ(インドのスライドギター)奏者。モハン・ヴィーナについては、名手である彼(モハンバット)の名が楽器名の由来にもなっている。1994年にはアルバム『A Meeting by the River』でグラミー最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞を受賞。

皆さん、インドへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-