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多様性のリアル、「管理職になりたくない」の裏側

管理職になりたくない人が増えている。ビズヒッツが男女500人に対しアンケート調査を実施したところ、管理職になりたくない女性の理由は、第一位「責任が重い」(119人)、第二位「仕事・残業が増える」(86人)、第三位「管理職に向いていない」(52人)だった。男性も女性同様、第一位は「責任が重い」(57人)。第二位「割に合わないと感じる」(53人)、第三位「仕事・残業が増える」(52人)と続く。

なんか聞いたことがあるなあ、と思った。30年前、私が大学生の頃つきあっていた男性は、結婚するのは「責任が重い」から嫌だと言った。自分は博士課程に行くつもりなので、お金もないし結婚は「向いていない」かも、とも言った。なんだかんだで結婚することになって、些細なことだったけど、家事分担についてよく喧嘩をした。二人で暮らすと、両者のニーズを満たす秩序維持のため「仕事が増える」のだ。

大人になると責任が増える。仕事場でも家庭でもだ。代わりに、自分の人生を自分で切り開くオプションを得られるのが楽しみになる。未知なものに遭遇する偶然もスリリングだが、自分が好きな道を選ぶ自由を得られるのはもっと楽しい。例えて言うと、自分の畑のテリトリーを決め、大切に耕し育て、大きくなった野菜や花の美しさに惚れ惚れし、家に飾ったり料理をして食したりする、そんな楽しさだ。割り当てられた土地に、決められた種を植えて育てるように指示されるほうが、試行錯誤も責任もないかもしれない。でも、自分の畑で得られる経験値と喜びはずっと大きい。うまく育たなければ、また別の畑を探せばいい。うまく育ったとしても、また一から別の畑を耕したくなる人もいるだろう。

長い社会人生活の中で、環境は変わる。尊敬していた上司が移動する、自分が成長するので相対的に前ほど上司がすごい人に見えなくなる、時代とともにそもそも「できる上司」の定義が全く変わってしまう、若い世代がぐんぐん成長してきて自分のポジションが脅かされる。一年一年で変化を感じなくても、十年たてば必ず変化は訪れる。自分は現状維持と思っていても、環境の変化により、自分の立ち位置は好むと好まざるとに関わらず、変わっていくのだ。

「管理職になりたくない」は、「今会社にいる管理職のようになりたくない」ってことなのだろうと思う。「どんな管理職になりたいですか?」とアンケートを取ってみたら、どんな答えになるか?「チームで協力して仕事をする組織を作りたい」「長時間労働しない効率的な組織を作りたい」「自分らしいリーダーシップスタイルが評価される組織を作りたい」そんな意見が聞こえてくるのではないと思う。今の上司と同じになる必要はなく、むしろ指導的な立場を手に入れ、自分のなりたい管理職になって幸せな組織を運営してほしいのです。隣の人と同じ種を植える必要はありません。あなたらしい自慢の畑を育ててみませんか?


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