それでも生きて行く 『ワンルーム叙事詩』 amazarashi
そのバンドのライブに参加したのは初めてだった。
冬の渋谷公会堂。
開場が、かなり遅れたのを覚えている。
近くの女の子が、一緒に来ていた彼氏らしき男に「ここにいる人、みんなメンヘラだから」と言っていた。間違ってはいないな、と思いながら開場を待っていた。
そのバンドはamazarashi。2012年の渋谷公会堂でのライブだった。
顔を公開しないことは知っていた。どうやってライブするんだろう。と思っていたら、メンバーが立つステージにはうっすらとスクリーンがかかっている。
音が鳴る。映像が流れる。誰も立ち上がらず、画面に見入ったまま演奏を聴いている。最初の音が、歌声が聞こえた瞬間鳥肌が立ち、泣いてしまった。
特に号泣したのは『ワンルーム叙事詩』
家賃6万のアパートで僕らは世界を旅する
燃える都市 干上がった運河
呆然と立ち尽くす老人
僕らのワンルーム叙事詩は無線LANで
半永久的に加速する その遠心力で横転した
原型をとどめてない幸福
世界が終わる
もうすぐ終わる
空しい 寂しい が新しい流行
もう全部嫌になったから
この部屋に火をつけた
ここに当時の自分はすごく共感して、全部嫌になって投げやりになってリセットしたい自分の感情を、世界の大変な出来事にも心を動かせない自分を、言語化してくれたように思った。しかしこの歌は、ただ燃やして終わり、ではない。
燃えろ 燃えろ 全部燃えろ
新しい自分に出会うため
溜息で吹き消すな炎
涙で失わせるな炎
雨にも負けて 風にも負けて
雪にも夏の暑さにも負けて
それでも この自分って奴には
負けるわけにはいかない
一人 立ち尽くす
そこはまるで 焼け野原
amazarashiの歌はメッセージ性がある。
綺麗事だけではないから、心に響く。
それど最後に希望を残している。
絶望ばかりの人生だけど、それでも生きていこうぜ。と言ってくれてる、気がするのだ。
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