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カメラの隙間
最近は、「インスタ映えの写真を撮るために旅行する」人も増えていると思う。
私も、きれいな景色や素敵なカフェを見つけた時、
「きれいだね」じゃなく「映えだね〜」とつい言ってしまう。
SNSを通じて友人の旅の写真を見ることも多いわけだけど、
SNSにあがっている写真は、彼らの旅の本質ではないと思う。
旅の本質は、SNSにアップされた写真の「隙間」にある、他愛もない時間にある。
私はその「隙間」を想像することが好きだ。
映える写真を撮るために、撮る角度を工夫しながら、真剣な顔でカメラを撮る友人の必死な顔。
どうしてもブレてしまって、仕方なく諦めたこと。
遊園地でアトラクションに乗った後、絶叫系が苦手な友人が必死で作った笑顔に、みんなで笑ってしまったこと。
段取りが上手くいかなくて、疲れから口喧嘩してしまったこと。
喧嘩の後食べたご飯があまりに美味しくて、全員が写真を撮り忘れたことに気づいて大笑いしたこと。
「SNS映え」する写真にはこういう旅の、ほんの少しの部分しか写っていない。
あの時感じた楽しさも、つまらなさも、空腹も、感動も、インスタの写真だけでは伝えきれないのだ。
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遅ればせながら、「カメラを止めるな!」を観てきた。
観終わったあとに、浮かんできたのが、上に書いた旅の写真のことだ。
よく、映画のスタッフや演者はどんな気持ちで完成した作品を見るのだろうかと思うことがあるが、
私のような一観客には分からない、「映像の隙間」とも言うべきかけがえのない時間を思い出すのかな、と想像する。
あの四角い画面上に映っているものは、彼らの見てきた風景のほんの一部で、
画面の枠の外でたくさんの人が、たくさんのハプニングを乗り越えながら、必死でつくってきたのだろう。
「カメラを止めるな!」は、それをすごくコミカルに、そして少しの感動とともに伝えてくれる映画だけど、
色んな作品の画面の外側を想像したらじんとくるものがあった。
作品づくりに携わる人なら尚更そうなのだろう。
そういう「隙間」を共有した仲間たちは、愛おしい。
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