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舞台観劇への道のり。


舞台の魅力。
知ってしまったらもう戻れない。


舞台を観に行きたいと強く願ったきっかけに
とある舞台と本がある。

ひとつは 舞台『ゲルニカ』。

冬にWOWOWで放送されたものを観た。

テレビ放送とはいえ私にとって、
オペラを除いて初めて観る 劇場で行われる舞台。

演者の素晴らしさは勿論だが、
私はなにより演出にやられた。

演出家 : 栗山民也さん

彼の名前をすぐにメモした。

 <あらすじ>

戦争は 遠くにあると思っていた。
あの日までは。
 
ゲルニカの元領主の娘として、なに不自由なく生きてきたサラ。しかし、世間では旧体制派と新体制派が激突。
ドイツやソビエトなどの軍隊も加わり、スペイン内戦が本格化していた。サラの婚礼直前、幼なじみの婚約者が突然、戦いに参加したいと出て行ってしまう。この国で今、なにが起きているのか。街の食堂に出入りするようになったサラは、街の人々や兵士たち、海外特派員と触れ合い、各地で激戦が行われているのを知る。イグナシオという兵士と出会い、いつしか恋に落ちるサラ。しかし、彼はドイツ軍のスパイで、密かにゲルニカを爆撃するための工作を進めていた。そんな折、サラの妊娠が発覚。人々の思いが交錯する中、戦いは激しさを増し、空爆がゲルニカの街を襲う……。
 
― 舞台『ゲルニカ』HP より

場面転換で流れるハンドクラップ

空爆時に
赤い布に映し出される絵画ゲルニカ。

そして浮かび上がる樫の木。

私が特に心掴まれたところだ。
画面を通して観ているだけでも鳥肌が止まらないのに、生で見ていたらどうなっていたんだろう…

舞台『ゲルニカ』
生で見てみたかったという思いは今も消えない。

とにかくこの作品が凄い衝撃だった。

人の手でつくられたなまもの。
画面を通して観ているのに伝わってくる熱量。

伝えたいことをいかにして伝えるか。
表現するか。

自分の中でひとつ扉が開いた気がした。



そしてもうひとつのきっかけが
恩田陸さんの小説『チョコレートコスモス』。

芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを――。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう!興奮と感動の演劇ロマン。

―『チョコレートコスモス』あらすじより

私は元々、恩田陸さんが手がけた「蜜蜂と遠雷」という小説が凄く好きだった。4人のピアニストが目指すピアノコンクールの物語だ。

読んでいると、目から飛び込んできた文字が音に変わり、脳内に響く。実際に彼らの音を聴いているような感覚になるのだ。

この『チョコレートコスモス』を読んでいるとき、同じような感覚に陥った。

まるで実際に舞台を観ているのではないかという感覚なのである。今度は目から飛び込んできた文字が音となり、色や光となり、脳内に溢れる。

あの読んだ時の高揚感を上手く言葉にできないのがもどかしい…。


実はこの本、夜に読み始め、途中で読むのを一旦止めた。

ネタバレになってしまうので細かいことは伏せることにするが…
主人公 佐々木飛鳥が「死」の概念を演じる舞台の場面。

(エリザベートを観たあとに読み返すと、トート…??となるが、トートとはまたひと味違う。)

読んでいる間 変な鳥肌が止まらず、冷や汗が出てくるくらい怖くなって思わず本を閉じた。

決して、ホラー小説ではない。
ただただ舞台の描写を読んでこうなった。

その夜はそれ以上読み進められず後日読み切ったわけだが、恐ろしくなるのと同時に、リアルな舞台を観てこういう経験をしてみたい!!という気持ちはどんどん大きくなった。

まだ生で見たことのない「舞台」に魅せられていく不思議な感覚。

この本と出会わなかったら、ここまで“舞台を観たい…!!”という欲に駆られることは無かったかもしれない。


舞台『ゲルニカ』に出会って、あと少しで1年。

『チョコレートコスモス』を読んでから約3ヶ月…。

先日初めてミュージカルを観劇し、今週末は「ゲルニカ」を演出した栗山民也さんが手がけるストレートプレイの舞台を観劇予定。
そして、今月末には「オペラ座の怪人」で四季デビュー。

舞台への興味は尽きることがなく、むしろ増すばかり。

新しい扉を開くことができて幸せだ。

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