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山を登る厳しさの中で出会ったもの

はじめまして!都内のIT企業でデザイナーをしながら、ライフコーチとしても活動しています、すぐ(水野 直)と申します。

この記事は、「美しい旅」プロジェクトのマガジンの第一弾の記事です。

まず初めに、私たちのプロジェクトに関して簡単に説明させていただき、次に僕が先日友人と登った富士山の旅の記録をここに紡ぎたいと思います。


美しい旅とは?

「美しい旅」はコロナ禍の2年前、SHIFT-xの代表すぐるさんが立ち上げたプロジェクト。


美しいだけで、何もいらない


このキャッチコピーと、サイトの素敵な写真、文章に惹かれ、集まったメンバーと共に、美しい旅を作るプロジェクトが始まりました。


アルケミストという本をオマージュした第一弾の旅「星と砂と少年」を12人のメンバーで構想し、今はその意志を引き継いで、すぐる、ゆき、むぎ、すぐの4人で旅を完成させ、参加者を募り、エジプトに行くという一つの旅路にいます。

私たちは本当にとても奇妙なことをしています。お互いに異なる職業の本業がありながら、アルケミストという本が好き、美しい旅を作るという目的で繋がり、一つの作品を作り出そうとしています。

ましてや、12人のメンバーが4人になったり、コロナ禍でなかなか旅をすることが難しかったり、2020年に立ち上がったプロジェクトで2週間に1度ミーティングをしているのに、世の中にまだ何も生み出されていないのですから…!

ここまでにもたくさんの紆余曲折がありました。そんな中、始まろうとしているのがこのマガジンです。ここでは

  • 私たちがどんな思いでこの旅を作ろうとしているか?

  • 作品を作る中で、私たち・旅人にどんな変化が起きているか?

  • 美しさとは何か?

  • 錬金術師であるとはどういうことか?

  • なぜ人は旅に出るのか?

このようなテーマで、美しい旅に関わるメンバーのそれぞれの視点で、世界で何が起き、何が生まれ、何を私たちが受け取ったのか、自由に文章を紡いでいこうと思います。もしよければ一緒に旅すること・美しさについて考え、皆さんの声も聞かせてくださいね。

人生の未完了について考え、登ることにした富士山

ここからは、僕の旅の記録。

僕は今年の3月から、コーチングスクールにて5ヶ月間で自己の器を育み、本質的変容を届けるコーチとなるため、当スクールのプロコース修了しました。

コースの中ではいくつかのワークに取り組むのですが、その一つが「未完了・完了ワーク」というものです。人生の中で、完了していないものを洗い出し、5ヶ月間で独自のペースで取り組んでいくというもの。

たくさんの未完了を書き出しました。親に感謝の手紙を書く、人前で踊ってみる、髪を金髪にする、困っている人がいれば人目を気にせず声をかける、などなど。

こんな感じで未完了を書いていきます

自分にとってはやりたいのにできない、そう在りたいのに振るまえていない、他の人から見れば大したことないかもしれないけど、未完了にはいくつもの思いが込められていることに書き出して気づきます。

その中で書いたひとつが「富士山に登る」。この未完了を同期の友人が見てくれて、「よかったら一緒に登らない?」と声をかけてくれて、このプロコースが終わる直前に仲間と3人で登ることになりました。

世界の美しさに出会ったけれど…

社会人になる前、就職活動を終え余った学生生活の時間で、僕はバックパックを背負い4ヶ月の旅に出ました。

昔アルケミストという本を読んでから、いつか世界を巡る旅にずっと憧れていた衝動を思い出し、ほとんど何の計画も立てずに、とりあえずAmazonでバックパックを買い、ユニクロで服を揃え、パソコンと2冊の本を詰め込みました。

旅に出る前に撮った7Kgのバックパック

慣れ親しんだアジアを周り、友人の勧めでイランを巡り、デザイナー師匠に会いゆき、ホロコーストの歴史を学んで、最後は旅をするきっかけになった小説の主人公が旅したモロッコとサハラ砂漠へ行って、たくさんの世界の美しさに巡り合った後に、日本へ帰りました。

旅先で撮った写真は今でも宝物

旅を終え帰国した途端、日本では緊急事態宣言が発令され、世界にパンデミックが訪れました。

大学を2年休学した末に、世界を旅して学生生活を終えられた自分は、何と幸運なことだったかと思います。そして、日本に帰国し気づいたことは、

「たくさんの世界の美しい景色に出会ったけれど、僕は日本の美しさを全然知らない!」

ということでした。そんなこんなで、この未完了・完了ワークで思い浮かんだのが日本の美しさを体験すること、富士山に登ることだったのです。

日本で一番高い山、日本人なのに富士山に登ったことがない、一生のうちには登ってみたい、けどそんなのいつになることやら。富士山に登ることは、日本人最大の未完了であるといってもいいのではないでしょうか?

しんどさと高山病への不安、そして現実

友人にパッケージのツアーを予約してもらい、登山までの日数が近づくなか、ワクワクと思いきや、正直乗り気じゃありませんでした笑

とりあえず、頂上を目指して登るワクワクよりも、しんどそうという気持ちが勝る。また、周りに聞いてみると結構高山病にかかるよ〜という声も多く、特に今の時期は低気圧に弱い自分には、不安しかありませんでした。

そして、実際に登ってみると、富士山の道中の景色というのはほぼ変わらん!ずっと岩!ずっと似たような花、草!

こんな景色がずっと続きます

登っている途中も、何でみんなこんなしんどい山を登るんだ…と心の中で呟いていた自分がここにいます…

そして、8合目まで登り、ちゃんと高山病にかかりました…、さらに頂上を目指す2日目は厳しい雨風で、登頂は中断…なんということでしょう。

必死に登り振り返って気づく世界の美しさ

めちゃくちゃしんどくて、高山病にもちゃんとかかり、頂上に登れなかった富士登山。

でも、やっぱり登ってよかったと心から思うのです。今回はツアーに申し込みガイドさんとグループでみんなで頂上を目指します。みんな必死です。

必死に今この瞬間に集中して、一歩一歩進んでいく。そこには競争なんて言葉はない。それぞれがそれぞれのペースでゆっくりと、でもみんなで同じ目標に向かっていく。

この社会に生きていると、デザイナーとして働いていても、コーチとして新しく駆け出しても、どんな職業でもどうしても周りはどうかと気にしてしまう。

でも、旅をしている時は、そんなことは全く関係ない。それぞれが行きたい場所に、自分のペースで歩めばいいのです。

そして、必死に登った後、ふと振り返った時の景色は、まるで映画君の名はで見たような、まるで夢の景色のように、美しい眺めだった。

大切なことは、どれだけ高い山に登ったという記録ではなく、どんな山に誰と登り、そして何を見たいか。それに尽きるのではないかと、この旅は教えてくれた気がします。

実はぼく、プライベートにおける集団行動があんまり得意ではないのです。決して嫌いというわけではなく、周りに合わせようとして疲れてしまい、全然楽しめないのです。

最後の下山道、高山病にかかったせいで歩くのが遅くなり、グループから少しはぐれてしまいました。「あー、みんなとはぐれちゃったな。友達も先に行ってしまった」と少し悲しくなりました。

でも、割り切ってゆっくり歩くと心は軽くなりました。降りる場所は一緒なのだから、自分のペースでゆっくり歩けばいい、そう思うと今まで下を向いてた目線が前に向いて、景色の美しさを味わいながら歩くことができました。そして、ちゃんとグループに追いつき、友人が迎えてくれた時はうれしかったです。

高山病でダウン寸前の金髪のぼく。目を凝らすと虹が見えそう。

結局頂上までいけなかった、富士登山。だけど、この度は大切な何かを教え、思い出させてくれた気がします。

未完了は、完全には完了にはならなかったけれど、自分の中の何かが完了された気がします。そして、味わいがいのある新しい未完了が生まれた。

もし、次に富士山に登るときも、きっと辛い登山になるでしょう。でも、今回見れなかったからこそ、次に頂上でみる景色を拝めた時には、


「美しいだけで、やっぱり何もいらない」

そう言って登ってよかったぁ〜と言っている自分が、きっといるような気がします。

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